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past2(シーヴァ)
episode47
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「シヴァ、シヴァ!貴方もさあ!おいで」
自分とは違う褐色肌の母が泣きそうな声でシーヴァの名前を呼ぶ。
急いで母の元に駆けて行きたくても、小さな少年の腕は父王にキツく握られ、母が暗闇に消えるまでその手が離れることは無かった。
❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋
生まれつき両親とは異なる見た目をしていた。
髪は銀髪で、艶やかな黒髪の母とも栗色の父とも違う。
瞳はまるで満月を閉じ込めたような黄土色。
共に赤茶色の瞳の両親とも違う。
肌は透き通るように白くて、まるでこの国には無縁な雪のよう。
父も肌の色は明るかったがシーヴァ程ではなく、母は褐色肌だった。
母は信心深く、故郷の神を崇めては産まれてきたシーヴァを神の子を授かったのだととても喜んだ。
美しい母の容姿を受け継いだ男児の誕生に父も喜んだが、王の正妻のオリヴィアや側近達は父王の血を感じさせないシーヴァの容姿に母の不義を疑った。
「そんな!貴方様の愛に応えてこの地に留まる事を決めた私を疑われるのですか?!」
「・・・私は疑っていないよ、カンチャーナ。オリヴィアも拗ねているだけさ。放っておけばそのうち治まる。君はこの国の者じゃないからね。認められるのに時間がかかるのだろう」
日々の陰湿な虐めに疲れ果て涙を流す母親を、半分呆れた表情で見下ろした父王をシーヴァはよく覚えていた。
「・・・お母さん、泣かないで」
「っ、シヴァ・・・」
乳母の手を振り切って母の胸に顔を埋める。
まだ歩くのも覚束無いシーヴァが母にしがみついて、恐る恐る顔をあげる。
「シーヴァ、本当に雪のような子だ。・・・誰に似たのだか」
父王がシーヴァを抱き上げて小さく呟く。
「・・・・っ」
母はシーヴァの事をシヴァと呼んだ。
母の生まれ故郷の訛りでそうなるのだと言う。
シーヴァはその母の異国訛りの柔らかな話し方が好きだった。
自分とは違う褐色肌の母が泣きそうな声でシーヴァの名前を呼ぶ。
急いで母の元に駆けて行きたくても、小さな少年の腕は父王にキツく握られ、母が暗闇に消えるまでその手が離れることは無かった。
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生まれつき両親とは異なる見た目をしていた。
髪は銀髪で、艶やかな黒髪の母とも栗色の父とも違う。
瞳はまるで満月を閉じ込めたような黄土色。
共に赤茶色の瞳の両親とも違う。
肌は透き通るように白くて、まるでこの国には無縁な雪のよう。
父も肌の色は明るかったがシーヴァ程ではなく、母は褐色肌だった。
母は信心深く、故郷の神を崇めては産まれてきたシーヴァを神の子を授かったのだととても喜んだ。
美しい母の容姿を受け継いだ男児の誕生に父も喜んだが、王の正妻のオリヴィアや側近達は父王の血を感じさせないシーヴァの容姿に母の不義を疑った。
「そんな!貴方様の愛に応えてこの地に留まる事を決めた私を疑われるのですか?!」
「・・・私は疑っていないよ、カンチャーナ。オリヴィアも拗ねているだけさ。放っておけばそのうち治まる。君はこの国の者じゃないからね。認められるのに時間がかかるのだろう」
日々の陰湿な虐めに疲れ果て涙を流す母親を、半分呆れた表情で見下ろした父王をシーヴァはよく覚えていた。
「・・・お母さん、泣かないで」
「っ、シヴァ・・・」
乳母の手を振り切って母の胸に顔を埋める。
まだ歩くのも覚束無いシーヴァが母にしがみついて、恐る恐る顔をあげる。
「シーヴァ、本当に雪のような子だ。・・・誰に似たのだか」
父王がシーヴァを抱き上げて小さく呟く。
「・・・・っ」
母はシーヴァの事をシヴァと呼んだ。
母の生まれ故郷の訛りでそうなるのだと言う。
シーヴァはその母の異国訛りの柔らかな話し方が好きだった。
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