棘バラの口付け

おかだ。

文字の大きさ
上 下
22 / 63
past1 (シーヴァ)

episode22

しおりを挟む
真っ黒なシーツに横たわる男をウットリと眺める。

汗でしっとりと湿った日焼けした肌が、はだけたクリーム色のブラウスから覗く。

胸元で中途半端に編み上げられた紐を引っ張り全てとってしまうと、満足そうにシーヴァがほほ笑んだ。

「きれいだよ、僕のエド・・・」

エドウィンの胸板に手を添え、シーヴァが感嘆のため息を漏らす。

横たわったまま反応を示すことのない男の胸は上下することがなく、耳を当てるとやっと小さな心音が聞こえる程度だった。所謂仮死状態というやつだ。

エドが目を覚ます予兆は全く見られない。

義弟アルマにだけ君を独り占めできるなんてズルいよね?僕の方がお兄ちゃんなんだから・・・兄弟で仲良くシェアしなきゃ、エドもそう思うよね?」

エドのかさついた唇をシーヴァが指でなぞり、口付ける。

唇を何度か啄みながらぢゅっと強く吸うと、シーヴァの口内に血の味が広がりエドの唇の端が赤く染る。

「本当に起きないや。・・・僕がこのまま君をここに放置していたら、君は眠ったまま為す術なく死んでしまうのかな?」

今日はこの後ヴァルアロに向かう為だったのか何時もよりかなり軽装だった。

折角の休日をアルマのお守りとヴァルアロ生の稽古で消費するつもりだったらしい。

「エド~、今君の生死を握ってるのは僕なんだよ?・・・命乞いして見せてよ」

「・・・・」

皮膚を抓っても、叩いても、ナイフで切りつけてもピクリとも動かず、本当に死んでしまったと錯覚してしまう。

「今だけ・・・。今だけはやっと僕のものだ」

愛おしそうに相手の身体を抱き寄せたシーヴァが、起きることの無い男の耳元で嬉しげに囁いた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?

寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。 ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。 ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。 その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。 そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。 それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。 女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。 BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。 このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう! 男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!? 溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。

淫らな粒は次々と押し込まれる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...