棘バラの口付け

おかだ。

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棘バラの口付け

episode5

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「ん゛っ?!」

男が唇を乱暴に奪い、ワイシャツの中に男の手が無理矢理滑り込む。

必死に抵抗する少年は目に涙をためていて、乱れる赤いローブが揉みくちゃになってひとつの塊のように見える。まるで赤ずきんが狼に襲われているようだった。

黒の編み上げブーツが男の股の間でじたばた暴れる。

「やだ・・・!!エディ!エドウィンッ!」

ギュッと目を閉じて叫ぶ。
次の瞬間、さっきまで耳元で聞こえていたハアハアと言う気色の悪い吐息が聞こえなくなっていた。
呆れたような乾いた笑い声が微かに聞こえた。低い_別人の声だ。

「学校から抜け出してフラフラどこに遊びに行ったかと思えば・・・、ヤラシ―。この国の王子様なのに学校はどうしたんですか?」

新たな人間の登場に身体をビクつかせた男が顔を上げると、凛々しく整った顔の男が眉間に深くしわを刻んで腰の剣に手をかけていた。

「エディ・・・!」

「え、ぇえ、王子・・・?王子様?そんなはず、、」

かすれる声で繰り返す男に、剣の切っ先を向ける。

紫の瞳から流れる涙をエドが指で拭ってやり、小さな顎を摑まえると薄く濡れた唇をふさいだ。

「俺はこの御方、ローゼン国王ご子息、アルマ殿下の盾でありつるぎである。この国の宝である王子をあろう事か穢し、辱めようとした罪・・・死に値する」

「ひいぃ」

静かに怒るエドを困惑した顔で心配そうにアルマが見上げる。

「・・・だめだよ、エディ」

「ッ帰るぞ。あとでみっちり説教だ」

赤のフードを無理矢理被せると細い腕を引っ張って迎えの馬車に乗せる。
アルマが馬車の車窓からそっと先程の男を盗み見ると、腰を抜かしたのかよたよたと四つん這いで影の方に消えて行った。
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