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拾伍
第80話
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──数ヶ月前──
「喜島、昨日は随分暴れたな?あの橘がボコボコにされてタコみたいになってた」
愉快そうに笑った恭介が、机越しに座る喜島を見上げた。
「昨日の定例会は半月ぶりの親父が参加する日だった。お前、狙ったろ?」
「・・・さあ、若はどう思います?」
誤魔化すように薄く微笑んだ喜島が恭介の背後に視線を逸らす。
「・・・っ普通なら定例会での暴力はご法度。それも親父の目の前で急に暴れ出すなんてとんだ見世物だよ」
「橘は?・・・どうなったんですか」
「病院。目と鼻の骨を骨折。内臓は無事だったってさ。退院したら半殺しだって親父激怒してたよ」
先日の定例会には伊武聡一郎も参加していた。
恭介の言うように定例会での暴力はご法度。
それも喜島の教育係として任されていた男をタコ殴りにしたので、その場は騒然となった。
──消えた上納金の行方。
──海外のギャングと繋がり、子供を売り買いしていた事。
──子供に対する誘拐や性的暴行。
喜島の突然の言動に青筋を立てていた聡一郎だったが、薄ら笑いを浮かべた喜島が次々と橘の悪事を暴露していく。それも完璧な証拠付き。
初めは喜島がおかしくなっただの証拠がないだのと宣っていた橘も最後には否定をしなくなっていた。
「今日は渡したいものがあって来たんです」
「?」
机に出された茶封筒に恭介の表情が僅かに歪む。
「・・・親父にも若にも迷惑をかけた。この家に、この伊武会に拾われてここまで生きてくることが出来た。橘もこの一件で伊武会にはもう手は出せない。これが俺のケジメだ」
「・・・待てよ!アンタだって被害者なんだろ?」
喜島の肩がピクリと跳ねる。
「・・・は?」
「兄貴」
問い質すような恭介の声と真っ直ぐな視線に、喜島の繕う様な笑みが一瞬、引き攣る。
「・・・っ親父は橘を破門する気はないんだよ兄貴。アイツを破門にするには長くこの伊武会にいすぎた」
「・・・」
「今度は俺が兄貴を守るよ!だからっ」
「・・・っぶ、はは!なんだそれ」
「っす、好きなんだから、当たり前」
気恥しさから小さくボソリと呟気様子を伺うと、告白をされた当の本人は恭介の張り裂けんばかりの胸の内を知りもしないでニヤニヤと笑みを向けていた。
「昔はすっごい嫌ってたのに、俺もすっかり好かれたなぁ」
「・・・そうだよ、だから今更ここを出ていくなんて許さない───」
「え?」
──────────
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「喜島、昨日は随分暴れたな?あの橘がボコボコにされてタコみたいになってた」
愉快そうに笑った恭介が、机越しに座る喜島を見上げた。
「昨日の定例会は半月ぶりの親父が参加する日だった。お前、狙ったろ?」
「・・・さあ、若はどう思います?」
誤魔化すように薄く微笑んだ喜島が恭介の背後に視線を逸らす。
「・・・っ普通なら定例会での暴力はご法度。それも親父の目の前で急に暴れ出すなんてとんだ見世物だよ」
「橘は?・・・どうなったんですか」
「病院。目と鼻の骨を骨折。内臓は無事だったってさ。退院したら半殺しだって親父激怒してたよ」
先日の定例会には伊武聡一郎も参加していた。
恭介の言うように定例会での暴力はご法度。
それも喜島の教育係として任されていた男をタコ殴りにしたので、その場は騒然となった。
──消えた上納金の行方。
──海外のギャングと繋がり、子供を売り買いしていた事。
──子供に対する誘拐や性的暴行。
喜島の突然の言動に青筋を立てていた聡一郎だったが、薄ら笑いを浮かべた喜島が次々と橘の悪事を暴露していく。それも完璧な証拠付き。
初めは喜島がおかしくなっただの証拠がないだのと宣っていた橘も最後には否定をしなくなっていた。
「今日は渡したいものがあって来たんです」
「?」
机に出された茶封筒に恭介の表情が僅かに歪む。
「・・・親父にも若にも迷惑をかけた。この家に、この伊武会に拾われてここまで生きてくることが出来た。橘もこの一件で伊武会にはもう手は出せない。これが俺のケジメだ」
「・・・待てよ!アンタだって被害者なんだろ?」
喜島の肩がピクリと跳ねる。
「・・・は?」
「兄貴」
問い質すような恭介の声と真っ直ぐな視線に、喜島の繕う様な笑みが一瞬、引き攣る。
「・・・っ親父は橘を破門する気はないんだよ兄貴。アイツを破門にするには長くこの伊武会にいすぎた」
「・・・」
「今度は俺が兄貴を守るよ!だからっ」
「・・・っぶ、はは!なんだそれ」
「っす、好きなんだから、当たり前」
気恥しさから小さくボソリと呟気様子を伺うと、告白をされた当の本人は恭介の張り裂けんばかりの胸の内を知りもしないでニヤニヤと笑みを向けていた。
「昔はすっごい嫌ってたのに、俺もすっかり好かれたなぁ」
「・・・そうだよ、だから今更ここを出ていくなんて許さない───」
「え?」
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