とける。

おかだ。

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第49話

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「そっか。父さん、俺の事ちゃんと大事だと思ってくれてたんだ・・・」

不意に隣から聞こえた小さな声に、生え際から黒が覗く赤毛を喜島が意外そうに見下ろした。

「・・・・怒らないのか?」

「なんで?喜島悪くないじゃん」

喜島の声に顔を上げた陽真が柔らかく微笑む。

「喜島は変わらないね、昔から」

「え、?」

「俺、助けられてばっかりだ。それなのにワガママ言ってごめん。教えてくれて、ありがと」

陽真の柔らかい髪が喜島の手のひらに触れる。

「?」

陽真が、開きかけた喜島の口を塞ぐようにキスをする。
無邪気に笑った青年の表情が一瞬暗く沈むが、喜島の視線に気づき取り繕うように再度ニコリと笑った。

「・・・俺もケジメつけないとね!」

涙で赤く腫れた陽真の瞳は揺るぎなく、言葉はなかったが「何も言わないで」と言っているようだった。

喜島が何も言えずにいると、陽真が思い出した様に口を開いた。

「そうだ、結局橘って人はどうなったの?今は喜島が金融事業を任されてるって言ってたよね?」

「・・・え?あぁ、あの後直ぐに組を追放されたんだ。あのおとこを俺が殴って定例会で問題になったんだが、子供の件が明らかになってオヤジがキレてな。その後釜が俺って訳だ」

「じゃあ被害にあった子供は?どうなったの?」

「店で働かされていた子供は出来るだけ元の親を探したが、大半は子供の稼いだ金で生活していたのに困るってやつばかりだったよ。小さい子供は大半施設に入ったけど、残りは資金を渡して独り立ちした。橘の別荘に軟禁されていた連中は何人かウチで引き取ったんだ。勿論、俺は反対したけどな」

そう話を締めくくって車を発進させた。

「助けられたその子たちも、きっと喜島がヒーローに見えたろうね。喜島は俺のヒーローだけどね!ふふ」

「・・・疲れたろ、少し寝とけ。おじいさんと民宿にはもう連絡してあるから。着いたら起こすよ」

「・・・帰ったら、じいちゃんに怒られちゃうね」

「そうだな」

こちらに背を向けて体を丸めた陽真を横目に、喜島が小さくほっと息をつく。
カタカタと揺れる車内で、橘の捨てられた別荘に居た青年の事を思い出していた。
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