とける。

おかだ。

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第34話

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「ん、?あれ、着いた?」

急ブレーキを踏んだ運転手に、助手席で俯き静かに寝息を立てていた善が顔を上げた。

「いや、あれ。なんか面倒事みたいですよ。男が四人、ラブホに入っていきます。ここら一帯はうちのシマですし・・・・」

「あ?・・あのな、人には嗜好があって、現にウチの若頭は・・・・・ん?」

運転席側の窓から身を乗り出して男四人を見る。

三人は二十代後半~三十代前半だが、残りの一人は十代後半だ。
そして一番善を驚かせたのは、見覚えのある背格好やフードから覗く赤い髪。

「あの若いの、未成年ですね。かなり酔っ払ってるみたいですけど」

「アイツは・・・・」

職業柄、記憶力はいい方だ。

喜島に言われて、一度車をある田舎の宿の前まで運んだ事があった。
善も一度顔を合わせた事がある。

金髪の男が珍しかったのか、伊武会の人間だと知られてしまったのか、はたまた男に怯えているだけか、顔を合わせた途端に逃げられてしまったがよく覚えている。

「・・・アイツ、喜島兄さんのお気に入りじゃね???」

「「「え?」」」

ホテルに消えていった四人を見送り、車内がしんと静まりかえる。

「どうするんすか、善さん・・・止めに入りますか?」

「いや、もし合意だったら、他人だったら、店に傷がつく上に『ヤクザがラブホに乗り込み』なんて記事にされるのはごめんだ」

深いため息をついて車から降りる。

「おい、お前らでジャンケンしろ。勝ったやつだけ俺と着いてこい」

「「「え?」」」

「いいから。早くしろ、言うこと聞けねぇの?」

もし連れ込まれた青年が顔見知りの青年だったら、喜島のお気に入りだったら。

「・・・指詰めるだけじゃすまないだろうな」

無表情でホテルを見上げる善の横顔を、車の中から男三人が引きつった表情で見つめた。
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