とける。

おかだ。

文字の大きさ
上 下
32 / 89

第32話

しおりを挟む
「名前は?」

「・・・ん、ゆうたぁ」

「ゆうた君かぁ。歳いくつかなぁ?」

「ん~?んふふふ・・・」

ベッドサイドテーブルに置かれた酒に陽真が手を伸ばし、男が酒を取り上げる。

「おおっと。さすがに飲みすぎだぞ?なあ、こいつに酒どんだけ飲ませた?」

「あぁ?ボトル半分は飲んだんじゃねぇの?」

「大丈夫かそれ。ぶっ倒れても知らねぇぞ」

「大丈夫大丈夫。本人嬉しそうだし」

男が陽真から取り上げた酒を煽ると、ほの赤く染った青年の頬をぺちぺちと叩いた。

「ゆうたく~んまだ寝ないでよ。反応無いとつまんないでしょ~」

「ンッ、んん"~・・・、」

ギシギシとベッドが軋む。
一人の男が陽真の身体を抱き上げベッドに寝かせると、恭しく手を取り指先にキスを落とした。薄いピンクのカーテン越しに残りの男二人が口惜しそうにそれを見つめる。

「久しぶりの当たりだったのについてねぇな」

「コイツに声掛けたのは俺なんだから黙って見てろよ。俺の後なら使わせてやる」

ニヤリと笑った男が陽真のズボンをずり下ろしパーカーをたくし上げ、ゆっくりと上下する腹にそっと顔を寄せた。

「スベスベで暖かくて、やっぱり若いガキに限るよな~」

「おいおい!なにやってんだよ変態」

「そーだそーだ。ゆうたくんのストリップ!早くミセロー」

「うるせーな。ちょっと待ってろ」

陽真の胸を男が指で強く弾くと、寝かされていた青年が切なそうにくぐもった声を上げる。

「んッ、ぁ・・・、」

「ヒュ~!可愛いじゃん」

「あれ?もしかしてコイツ既に?」

「あーもーとろいなぁ!そっちのが都合いいだろ!早くヤッてずらかるぞ」

男が強引に陽真の腕を引く。

ベルトの金属が擦れるカチャカチャと言う音に陽真が眉を寄せ小さく唸った。

「・・・・・ぅ"、、え?」

ボヤけてくにゃくにゃ歪む視界に男が一人見える。

一面ピンク色の室内に甘ったるい香りが充満して、頭がフワフワする。つけっぱなしのテレビからは急かすような男女の嬌声が響き、陽真の息も自然と早まっていく。

「・・・きっ、じま??」

「?・・・あ?」

陽真の手が弱々しく男の頬に触れて男が顔を上げると、後ろに流した前髪が前に流れて陽真の脇腹を撫でた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

青年は淫らな儀式の場に連行される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

処理中です...