とける。

おかだ。

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第28話

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「ぅ''・・・やめ、、かあさっ・・・・ぃ・・たすけッ」

布団の上でうなされる喜島を恭介が茫然と見つめる。胸を上下させて必死に息をしているようだ。

初めての高校の制服姿を義兄あにに一番に見て欲しくて、登校前に喜島の部屋に寄ったのだ。

うなされて苦しそうな喜島の顔に釘付けになり、へたへたと枕元に座り込む。

「・・・・にい、さん?」

「ぁッ、、ぐっ・・・」

ジットリと汗をかいていて、襟足や前髪が肌にくっついている。
手を伸ばして額に張り付いた髪の毛を退け、じっと喜島の顔を覗き込んだ。

「っん、・・・・ぁ、え?恭介?・・・おはよう、もう行くのか?」

「っあ、うん。兄さんの顔が見たくて、でも入ったらまだ寝てたから・・・えっと、、」

「?俺の顔??毎日見てるだろ?それよりどうした、神妙な顔して」

「っ、いや・・・」

喜島の額を撫でた恭介の掌がジンジンと熱くなり、心臓がバクバクと脈を打つ。

どうやら喜島はうなされていた事を覚えていないらしい。


「''制服姿を見せに来た''?アハハ!」

「っ笑うなよ!」

「ふふ。かっこいいよ、恭介。似合ってる」

目尻に皺を寄せて快活に笑ってみせる姿に恭介の心臓がきゅっと痛む。喜島が恭介の頭をくしゃくしゃと撫でて、大きな背伸びをした。

「でも、態々わざわざあんな高校選ばなくても良かったのに。お前ならもっといい高校行けたろ?」

「俺はあそこの高校がいいんだ。兄さんと一緒がいい」

「・・・・」

一瞬暗い顔をした喜島に、恭介が目ざとく気づく。喜島は時々この顔をするらしかった。

''どうかした?''

何度かそう聞いた事もあったが、答えはいつも同じで、苦しそうに笑って''「なんでもない」''と言うだけだった。

「あーあ。お前は俺以外に全然懐かないから、お兄ちゃん心配だなぁ。ちゃんと友達作れるか?」

「なっ。・・・そんな事ねぇし、わかってるよ!」

喜島が恭介をからかう様に首を傾げ、いたずらっぽく微笑んだ。

「俺もう行くけど、兄さんは?まだ寝てる?寝るなら父さんは俺が起こすよ」

「ん、悪いな。頼む」

恭介が頷いて立ち上がると、背後で布団のこすれる音がして暫くするとすぅすぅと寝息が聞こえた。
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