とける。

おかだ。

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第27話

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ボロボロのアパート、父親は酒が切れるとすぐに暴力を振るい、母親は金の為なら息子だって金に変える人だった。

物心ついた頃から心の底からの笑顔なんて知らなくて、誰かの笑顔をコピーしてはロボットのように義務的に腰を振ってご機嫌取りをしていた。それが与えられた仕事で当たり前の事だったから。

俺が男に抱かれ傷付く度に母親は笑顔になり、父親は優しくなった。
母は俺を一日五百円の端金で近所の男や変態に売った。終いには取り立てに来るヤクザにまで。

母親の商品は思いもよらずとても人気になって、高校に男が札束抱えて数人押しかけてきたこともあった。




高校三年生の春、卒業生に渡される賞状が入った筒と小さな花束を持って家に帰宅すると、両親は忽然と消えていた。変わりに、がいた。

''「お前の両親は死んだよ。自殺だ」''あの日あの人はそう言ったけど、俺はそうは思わなかった。

そんな勇気がある人達じゃない。息子に全部なすり付けて、どこか遠くにでも行ってしまったんだろう。

──でオッサンは?誰?

──へぇ、親が死んだってのに動じないな

──母さんが端金のために呼んだ今日の相手だと思ったけど、違うのか。なんだ、大勢で楽しくなりそうだと思ったんだけどな

自虐する様に右手で輪を作り、''しゃぶってやろうか?''と手を上下させながら男達に目配せをする。怒って掴みかかろうとする男もいたが、喉を鳴らしてこちらに釘付けになる男を何人か目の端でとらえて、ふんっと鼻を鳴らして笑った。

大の大人が何人も居るのに相も変わらず虚勢を張る俺に、目の前のあの人は豪快に笑うと''「面白い。気に入った」''と言った。




広いお屋敷、暖かくて豪快な新しい親父、俺を慕ってくれる義弟。

''「これからはここが家で、お前の家族だ」''なんて言われる始末。

初めは受け入れられずに組の人間を避けたり、勘違いをして親父を困らせたりもしたが、全て優しく受け止めて最後に必ず豪快に笑う。

きっとそれはあの人の癖で、笑うと目尻に笑いジワが出来るんだ。

俺はその姿に憧れた。

闇金は嫌いだ。でも、闇金なんかに手を出して、関係の無い子供に悲しい思いをさせる身勝手な親が一番嫌いだった。

俺はここで生き抜いて、そう言う奴らを助けてやりたかった。死ぬはずだった命は誰かの為に使えるだろうか。
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