とける。

おかだ。

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第22話

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シンと静まり返った薄暗い和室で、喜島が目を覚ます。
唯一坪庭から聴こえる虫の音が和室にこだまして聴こえた。

「・・・昔を思い出すよな、この音。嫌に外の音が聞こえて、真っ暗闇で・・・聴こえる虫の音が怖くて嫌いだった」

伊武の声に上半身をそちらに向けると、寝巻きの浴衣姿の伊武が頬杖をついてじっと坪庭を見つめていた。

いつの間にか伊武の寝室で眠っていたらしい。

「怖くて泣いて駄々をこねる度に慰めに来てくれた。優しく声をかけてくれて添い寝してくれたよな。ほら、ここイカつい男所帯だろ?」

こちらを振り向いた伊武がニコリと笑う。
元々幼さの残る伊武の顔つきが、笑う事によって更に幼く映る。

「恭介、、」

「怖いんだ。また慰めてくれよ、

伊武に足で押し倒され、よろけた喜島の体が布団に沈む。力を入れた伊武の足の爪が喜島の少し汗ばんだ胸にくい込み、喜島が眉間に皺を寄せ、うっと小さな声を漏らした。

「はは、えろ・・・。あのガキにもこんな顔したんだ。俺の事は拒絶したのにな」

「恭介、」

祈る様な喜島の視線に伊武が小さく舌打ちをする。

「そんなにアイツが大事かよ」

「・・・大事だよ。お前と同じくらい大事だ」

喜島の掌が慰めるように優しく伊武の頭を撫でる。

いつもこの顔だ。この男が兄の顔をする時は、いつも申し訳なさそうに笑うだけだ。

気に食わない。

「じゃあ、俺とも出来るよな?」

「・・・」

伊武が喜島の少しカサついた唇を甘くついばむと、無防備なまま伊武を見上げた喜島が観念したかの様にゆっくりと瞼を閉じた。

「ははは、それ受け入れてくれたつもり?」

「・・・」

「?・・・どっちが感じる?前と後ろ」

喜島の下腹部に伸びた伊武の手がまだ反応を示していない喜島の陰茎を下着の上から包みこみ、下着に浮き上がった形に沿って上下に手を動かす。

「・・・っう、ぁ」

「へぇ・・・。きもちいい?」

下着の中に侵入した冷たい手が喜島の尻を撫で、後孔に中指を当てた。

「きょうすけッ、やめ・・・ッぐ、ぅ」

「は?


上下する手の動きに呼応するように喜島の吐息が荒くなっていく。苦しそうに喘ぐ声と濡れた粘着質な音が静かに部屋に響く。

「ゔ、ぐッぁ・・・」

「きもちいいなぁ、兄貴。我慢してないでもっと声出せよ」

「ッ恭すけ、ぇ、あっゔ」

「ケツきもちいい?腰、揺れてる」

耳元で囁いた馴染みのある弟の声が艶やかに鼓膜に響き、平静を保っていた思考がゆっくりと蕩けていく。

頭の中で快感と混乱とがごちゃ混ぜになって、涙が滲む。視界にうつる上気した伊武の表情に気まづくなり顔を逸らすと、涙が頬を伝って枕にシミをつくった。

「あーにき、泣かないでよ。今日は俺が挿れるからな?忘れらんねぇくらい気持ちよくしてやる・・・ッから、さ」

「ッひ、ぐぁ?!」

情けなく絞り出すような悲鳴をあげた。

強引に挿入された伊武のかたい陰茎が喜島の肉壁をこじ開けて内蔵を押し上げる。
床に両肩を押し付けられ、ぐったりとする喜島の喉仏に伊武の親指が触れる。

「きもち良くトばせてやるよ、っ大好きな俺の兄貴」

霞む視界に昔見た男の姿が浮かぶ。
口角を上げていやらしく笑う男が喜島の首に少しずつ力を入れていく。

体が小さく痙攣し、視界がチカチカと点滅する。

「ぁ、きとら・・・さ?」

「・・・・・・」
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