22 / 89
肆
第22話
しおりを挟む
シンと静まり返った薄暗い和室で、喜島が目を覚ます。
唯一坪庭から聴こえる虫の音が和室にこだまして聴こえた。
「・・・昔を思い出すよな、この音。嫌に外の音が聞こえて、真っ暗闇で・・・聴こえる虫の音が怖くて嫌いだった」
伊武の声に上半身をそちらに向けると、寝巻きの浴衣姿の伊武が頬杖をついてじっと坪庭を見つめていた。
いつの間にか伊武の寝室で眠っていたらしい。
「怖くて泣いて駄々をこねる度に慰めに来てくれた。優しく声をかけてくれて添い寝してくれたよな。ほら、ここイカつい男所帯だろ?」
こちらを振り向いた伊武がニコリと笑う。
元々幼さの残る伊武の顔つきが、笑う事によって更に幼く映る。
「恭介、、」
「怖いんだ。また慰めてくれよ、兄貴」
伊武に足で押し倒され、よろけた喜島の体が布団に沈む。力を入れた伊武の足の爪が喜島の少し汗ばんだ胸にくい込み、喜島が眉間に皺を寄せ、うっと小さな声を漏らした。
「はは、えろ・・・。あのガキにもこんな顔したんだ。俺の事は拒絶したのにな」
「恭介、」
祈る様な喜島の視線に伊武が小さく舌打ちをする。
「そんなにアイツが大事かよ」
「・・・大事だよ。お前と同じくらい大事だ」
喜島の掌が慰めるように優しく伊武の頭を撫でる。
いつもこの顔だ。この男が兄の顔をする時は、いつも申し訳なさそうに笑うだけだ。
気に食わない。
「じゃあ、俺とも出来るよな?」
「・・・」
伊武が喜島の少しカサついた唇を甘く啄むと、無防備なまま伊武を見上げた喜島が観念したかの様にゆっくりと瞼を閉じた。
「ははは、それ受け入れてくれたつもり?」
「・・・」
「?・・・どっちが感じる?前と後ろ」
喜島の下腹部に伸びた伊武の手がまだ反応を示していない喜島の陰茎を下着の上から包みこみ、下着に浮き上がった形に沿って上下に手を動かす。
「・・・っう、ぁ」
「へぇ・・・。きもちいい?」
下着の中に侵入した冷たい手が喜島の尻を撫で、後孔に中指を当てた。
「きょうすけッ、やめ・・・ッぐ、ぅ」
「は?お前が俺を受け入れたんだろ?」
上下する手の動きに呼応するように喜島の吐息が荒くなっていく。苦しそうに喘ぐ声と濡れた粘着質な音が静かに部屋に響く。
「ゔ、ぐッぁ・・・」
「きもちいいなぁ、兄貴。我慢してないでもっと声出せよ」
「ッ恭すけ、ぇ、あっゔ」
「ケツきもちいい?腰、揺れてる」
耳元で囁いた馴染みのある弟の声が艶やかに鼓膜に響き、平静を保っていた思考がゆっくりと蕩けていく。
頭の中で快感と混乱とがごちゃ混ぜになって、涙が滲む。視界にうつる上気した伊武の表情に気まづくなり顔を逸らすと、涙が頬を伝って枕にシミをつくった。
「あーにき、泣かないでよ。今日は俺が挿れるからな?忘れらんねぇくらい気持ちよくしてやる・・・ッから、さ」
「ッひ、ぐぁ?!」
情けなく絞り出すような悲鳴をあげた。
強引に挿入された伊武のかたい陰茎が喜島の肉壁をこじ開けて内蔵を押し上げる。
床に両肩を押し付けられ、ぐったりとする喜島の喉仏に伊武の親指が触れる。
「きもち良くトばせてやるよ、っ大好きな俺の兄貴」
霞む視界に昔見た男の姿が浮かぶ。
口角を上げていやらしく笑う男が喜島の首に少しずつ力を入れていく。
体が小さく痙攣し、視界がチカチカと点滅する。
「ぁ、きとら・・・さ?」
「・・・・・・」
唯一坪庭から聴こえる虫の音が和室にこだまして聴こえた。
「・・・昔を思い出すよな、この音。嫌に外の音が聞こえて、真っ暗闇で・・・聴こえる虫の音が怖くて嫌いだった」
伊武の声に上半身をそちらに向けると、寝巻きの浴衣姿の伊武が頬杖をついてじっと坪庭を見つめていた。
いつの間にか伊武の寝室で眠っていたらしい。
「怖くて泣いて駄々をこねる度に慰めに来てくれた。優しく声をかけてくれて添い寝してくれたよな。ほら、ここイカつい男所帯だろ?」
こちらを振り向いた伊武がニコリと笑う。
元々幼さの残る伊武の顔つきが、笑う事によって更に幼く映る。
「恭介、、」
「怖いんだ。また慰めてくれよ、兄貴」
伊武に足で押し倒され、よろけた喜島の体が布団に沈む。力を入れた伊武の足の爪が喜島の少し汗ばんだ胸にくい込み、喜島が眉間に皺を寄せ、うっと小さな声を漏らした。
「はは、えろ・・・。あのガキにもこんな顔したんだ。俺の事は拒絶したのにな」
「恭介、」
祈る様な喜島の視線に伊武が小さく舌打ちをする。
「そんなにアイツが大事かよ」
「・・・大事だよ。お前と同じくらい大事だ」
喜島の掌が慰めるように優しく伊武の頭を撫でる。
いつもこの顔だ。この男が兄の顔をする時は、いつも申し訳なさそうに笑うだけだ。
気に食わない。
「じゃあ、俺とも出来るよな?」
「・・・」
伊武が喜島の少しカサついた唇を甘く啄むと、無防備なまま伊武を見上げた喜島が観念したかの様にゆっくりと瞼を閉じた。
「ははは、それ受け入れてくれたつもり?」
「・・・」
「?・・・どっちが感じる?前と後ろ」
喜島の下腹部に伸びた伊武の手がまだ反応を示していない喜島の陰茎を下着の上から包みこみ、下着に浮き上がった形に沿って上下に手を動かす。
「・・・っう、ぁ」
「へぇ・・・。きもちいい?」
下着の中に侵入した冷たい手が喜島の尻を撫で、後孔に中指を当てた。
「きょうすけッ、やめ・・・ッぐ、ぅ」
「は?お前が俺を受け入れたんだろ?」
上下する手の動きに呼応するように喜島の吐息が荒くなっていく。苦しそうに喘ぐ声と濡れた粘着質な音が静かに部屋に響く。
「ゔ、ぐッぁ・・・」
「きもちいいなぁ、兄貴。我慢してないでもっと声出せよ」
「ッ恭すけ、ぇ、あっゔ」
「ケツきもちいい?腰、揺れてる」
耳元で囁いた馴染みのある弟の声が艶やかに鼓膜に響き、平静を保っていた思考がゆっくりと蕩けていく。
頭の中で快感と混乱とがごちゃ混ぜになって、涙が滲む。視界にうつる上気した伊武の表情に気まづくなり顔を逸らすと、涙が頬を伝って枕にシミをつくった。
「あーにき、泣かないでよ。今日は俺が挿れるからな?忘れらんねぇくらい気持ちよくしてやる・・・ッから、さ」
「ッひ、ぐぁ?!」
情けなく絞り出すような悲鳴をあげた。
強引に挿入された伊武のかたい陰茎が喜島の肉壁をこじ開けて内蔵を押し上げる。
床に両肩を押し付けられ、ぐったりとする喜島の喉仏に伊武の親指が触れる。
「きもち良くトばせてやるよ、っ大好きな俺の兄貴」
霞む視界に昔見た男の姿が浮かぶ。
口角を上げていやらしく笑う男が喜島の首に少しずつ力を入れていく。
体が小さく痙攣し、視界がチカチカと点滅する。
「ぁ、きとら・・・さ?」
「・・・・・・」
0
お気に入りに追加
104
あなたにおすすめの小説
【変態医師×ヤクザ】高飛びしたニューヨークで出会いからメスイキ調教までノンストップで行われるえげつない行為
ハヤイもち
BL
外国人医師(美人系変態紳士)×ヤクザ(童顔だがひげを生やして眉間のシワで強面作っている)
あらすじ
高飛びしたヤクザが協力者である外国人医師に初めて会って、ハートフルぼっこで騙されて、ペットになる話。
無理やり、ひどいことはしない(暴力はなし)。快楽堕ち。
受け:名前 マサ
ヤクザ。組でへまをやらかして高飛びした。強面、顰め面。常に眉間にしわを寄せている。ひげ。25歳。
攻め:名前 リンク
サイコパス。ペットを探している。産婦人科医。紳士的で美しい見た目をしている。35歳。変態。
※隠語、モロ語。
※♡喘ぎ入ります。
※メスイキ、調教、潮吹き。
※攻めが受けをペット扱いしています。
上記が苦手な方、嫌悪感抱く方は回れ右でお願いします。
苦情は受け付けませんので、自己責任で閲覧お願いします。
そしてこちらpixivで投稿した作品になります。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16692560
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
僕はオモチャ
ha-na-ko
BL
◆R-18 エロしかありません。
苦手な方、お逃げください。
18歳未満の方は絶対に読まないでください。
僕には二人兄がいる。
一番上は雅春(まさはる)。
賢くて、聡明で、堅実家。
僕の憧れ。
二番目の兄は昴(すばる)。
スポーツマンで、曲がったことが大嫌い。正義感も強くて
僕の大好きな人。
そんな二人に囲まれて育った僕は、
結局平凡なただの人。
だったはずなのに……。
※青少年に対する性的虐待表現などが含まれます。
その行為を推奨するものでは一切ございません。
※こちらの作品、わたくしのただの妄想のはけ口です。
……ので稚拙な文章で表現も上手くありません。
話も辻褄が合わなかったり誤字脱字もあるかもしれません。
苦情などは一切お受けいたしませんのでご了承ください。
とろけてなくなる
瀬楽英津子
BL
ヤクザの車を傷を付けた櫻井雅(さくらいみやび)十八歳は、多額の借金を背負わされ、ゲイ風俗で働かされることになってしまった。
連れて行かれたのは教育係の逢坂英二(おうさかえいじ)の自宅マンション。
雅はそこで、逢坂英二(おうさかえいじ)に性技を教わることになるが、逢坂英二(おうさかえいじ)は、ガサツで乱暴な男だった。
無骨なヤクザ×ドライな少年。
歳の差。
純粋な男子高校生はヤクザの組長に無理矢理恋人にされてから淫乱に変貌する
麟里(すずひ改め)
BL
《あらすじ》
ヤクザの喧嘩を運悪く目撃し目を付けられてしまった普通の高校生、葉村奏はそのまま連行されてしまう。
そこで待っていたのは組長の斧虎寿人。
奏が見た喧嘩は 、彼の恋人(男)が敵対する組の情報屋だったことが分かり本人を痛めつけてやっていたとの話だった。
恋人を失って心が傷付いていた寿人は奏を試してみるなどと言い出す。
女も未体験の奏は、寿人に抱かれて初めて自分の恋愛対象が男だと自覚する。
とはいっても、初めての相手はヤクザ。
あまり関わりたくないのだが、体の相性がとても良く、嫌だとも思わない……
微妙な関係の中で奏は寿人との繋がりを保ち続ける。
ヤクザ×高校生の、歳の差BL 。
エロ多め。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる