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弐
第12話
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「それ、癖なの・・・?」
「え?」
「あ、ぇえっと、そのクイってやつ。サングラス」
喜島の真似をして、サングラスがある体で顔に持ってきた手をクイクイっと動かし真似してみる。
「ぶッ、あははは!」
「えっ、ご、ごめんなさい」
「くせかなぁ~?初めて指摘されたなそんな事」
声を上げて笑う喜島に、陽真が口をあんぐりとあけた。
「んふふ、ふ、わるい。ふふっ、笑いすぎて涙出た。ティッシュ頂戴!あはっあははは!ダメだ止まらね、あはは」
片手で目を擦りながらもう片方の手を陽真に突き出し、頂戴頂戴と手を振る。
背中を丸めて肩を震わしながら笑う喜島に、なんだか毒気を抜かれた気がして陽真が深いため息をついた。
「・・・はぁ」
「あ、そうだった。ここからは仕事のオハナシなんだけど、陽真悠太君、父親の借金総額幾らか知ってる?」
「え・・・」
「五千万。ここまでダイタンに来たからにはもう気付いてるんだと思うけど、君のお父さんがお金を借りた"いぶきファイナンス"俺の上司が幾つも経営してる金融会社のひとつなんだよね。そんでそのいぶきファイナンスは俺が取締り任されてるってわけ」
扇風機の風にそよそよあたりながら喜島が飄々と答える。
あまりの額に頭がクラクラした。
「普通、現金で払えない場合はヤクザが店を紹介する形で借金返済まで働いてもらう事になる。ホストクラブでもAVでも兎に角ガッツリ稼いでくれりゃァ何でもいい」
「っ・・・」
スススっと喜島の指が陽真の固まった指に絡みついた。さっきまで腹を抱えて大爆笑していた人物とはまるで別人の様な、艶かしい仕草にドキリとした。
「まぁ、お前はもう十二の頃から俺のだけどな」
陽真の指に絡みついた喜島の指にキュッと力が入る。陽真が呆然と喜島の顔を見て、気の抜けた声を出した。
「・・・・・・・・、へ、ぇ??」
「へぇ?ってお前。約束したろ?六十万。約束通り迎えに来たよん♡」
「へ?ぁ、ああ、まえきん。にじゅっかいぶん??」
覚えてたんだ。怖い人だ。
また、イタズラっぽい笑顔を陽真に向ける。サングラスをクイッと持ち上げるんだ。
「やっぱり。会った時に気付いた?それとも思い出したからさっき俺の事確かめに来たの?」
「っ、、"迎えに来た"じゃなくて"ヤリに来た"だろ」
「オジサンは一目見て気づいたけどね~!赤髪にピアスバチバチで一瞬別人かと思ったけど。あ、これは禁句か・・・」
顔を真っ赤にした陽真が、恥ずかしそうに伏し目がちの顔を更に俯かせた。
「おれ、どうされるの・・・喜島さんに」
ブツブツ唸るように呟いた陽真に、喜島が意外そうな顔をした。
「あれ、もっと怯えて嫌な顔されると思ってたのになぁ、俺の紫の上計画も順調か~」
ニマニマ笑って陽真の背をポンポン叩く。
「むらさきのうえけいかく?なにそれ?」
「ん~??内緒」
喜島が陽真の腕をクンッと引いて敷布団の上に引き倒す。
「わっ?!ぇ、っえ、え、いまから??っでも俺久しぶりで、せめておふろ・・・」
「今日は寝るだけだ。まだね。そうだ、借金は俺が肩代わりする様にしておく。五千万分、楽しませてもらうけどね」
陽真の腕を喜島が両腕で抱えたまま欠伸を一つした。
まだ眠いのか、慌てる陽真の横でキュッと丸くなると、すうすうと寝息を立ててまた寝付いてしまった。
「・・・喜島、、下の名前聞きそびれたな」
「え?」
「あ、ぇえっと、そのクイってやつ。サングラス」
喜島の真似をして、サングラスがある体で顔に持ってきた手をクイクイっと動かし真似してみる。
「ぶッ、あははは!」
「えっ、ご、ごめんなさい」
「くせかなぁ~?初めて指摘されたなそんな事」
声を上げて笑う喜島に、陽真が口をあんぐりとあけた。
「んふふ、ふ、わるい。ふふっ、笑いすぎて涙出た。ティッシュ頂戴!あはっあははは!ダメだ止まらね、あはは」
片手で目を擦りながらもう片方の手を陽真に突き出し、頂戴頂戴と手を振る。
背中を丸めて肩を震わしながら笑う喜島に、なんだか毒気を抜かれた気がして陽真が深いため息をついた。
「・・・はぁ」
「あ、そうだった。ここからは仕事のオハナシなんだけど、陽真悠太君、父親の借金総額幾らか知ってる?」
「え・・・」
「五千万。ここまでダイタンに来たからにはもう気付いてるんだと思うけど、君のお父さんがお金を借りた"いぶきファイナンス"俺の上司が幾つも経営してる金融会社のひとつなんだよね。そんでそのいぶきファイナンスは俺が取締り任されてるってわけ」
扇風機の風にそよそよあたりながら喜島が飄々と答える。
あまりの額に頭がクラクラした。
「普通、現金で払えない場合はヤクザが店を紹介する形で借金返済まで働いてもらう事になる。ホストクラブでもAVでも兎に角ガッツリ稼いでくれりゃァ何でもいい」
「っ・・・」
スススっと喜島の指が陽真の固まった指に絡みついた。さっきまで腹を抱えて大爆笑していた人物とはまるで別人の様な、艶かしい仕草にドキリとした。
「まぁ、お前はもう十二の頃から俺のだけどな」
陽真の指に絡みついた喜島の指にキュッと力が入る。陽真が呆然と喜島の顔を見て、気の抜けた声を出した。
「・・・・・・・・、へ、ぇ??」
「へぇ?ってお前。約束したろ?六十万。約束通り迎えに来たよん♡」
「へ?ぁ、ああ、まえきん。にじゅっかいぶん??」
覚えてたんだ。怖い人だ。
また、イタズラっぽい笑顔を陽真に向ける。サングラスをクイッと持ち上げるんだ。
「やっぱり。会った時に気付いた?それとも思い出したからさっき俺の事確かめに来たの?」
「っ、、"迎えに来た"じゃなくて"ヤリに来た"だろ」
「オジサンは一目見て気づいたけどね~!赤髪にピアスバチバチで一瞬別人かと思ったけど。あ、これは禁句か・・・」
顔を真っ赤にした陽真が、恥ずかしそうに伏し目がちの顔を更に俯かせた。
「おれ、どうされるの・・・喜島さんに」
ブツブツ唸るように呟いた陽真に、喜島が意外そうな顔をした。
「あれ、もっと怯えて嫌な顔されると思ってたのになぁ、俺の紫の上計画も順調か~」
ニマニマ笑って陽真の背をポンポン叩く。
「むらさきのうえけいかく?なにそれ?」
「ん~??内緒」
喜島が陽真の腕をクンッと引いて敷布団の上に引き倒す。
「わっ?!ぇ、っえ、え、いまから??っでも俺久しぶりで、せめておふろ・・・」
「今日は寝るだけだ。まだね。そうだ、借金は俺が肩代わりする様にしておく。五千万分、楽しませてもらうけどね」
陽真の腕を喜島が両腕で抱えたまま欠伸を一つした。
まだ眠いのか、慌てる陽真の横でキュッと丸くなると、すうすうと寝息を立ててまた寝付いてしまった。
「・・・喜島、、下の名前聞きそびれたな」
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