とける。

壱

第5話

『お父さんは具体的にどんな人が怖いって言ってた？君も会ったことある人？見た目とか覚えてるかなぁ？』

『スキンヘッドの人は何時も取り立てに来てました。あの人は一番殴るから、父さんも怖がってたと思う』

近所の公園のベンチに腰掛けて刑事さんから事情聴取を受けた。

時折、『辛かったね』だとか『偉いね』だとか言葉を挟みながら熱心にメモをとっていた刑事さんは、夕方のチャイムがなる頃に帰って行った。

俺は小さな旅館を経営している母方の祖父に引き取られる形で、その土地を離れた。

父さんがいなくなった日、アイツらから開放された。