59 / 94
April
〔チーム2-A〕腐男子たちの使命①
しおりを挟む
「そういや、どこまで聞いてたんや? 俺の話」
「ん? あ、全く聞いてねーよ」
「お前……、そんな酷いことをさらっとゆうなや。俺が傷つくとか思わんのか」
「うん」
「ほんまに酷いな!?」
真顔で告げる俺に、陽希は大袈裟な仕草でため息をつく。髪をくしゃりと鷲掴み、「まったく蒼葉は……」と呟かれた。
どこか憐れまれている気がする。陽希にそんなふうに思われるだなんて、なんて屈辱。
「ま、この話はお終いや。ほんなら気ぃ取り直して、4つ目のグループの話すんで~!」
「あいよ」
今度こそさっきまでの情報の続きを聞こうと、姿勢を正したその時。
──ガシャン!!!
激しい金属音が鳴り響く。
音の鳴った方に目を向けると、ドアが破壊されそうな勢いで何度も押し開かれていた。バリケードである机や椅子たちが、悲鳴をあげるように大きく揺れている。
「ほー……。なかなかアグレッシブやな~」
「過激派じゃんか。もしかして大軍か?」
目を離さないよう後退りながら、ドアとの距離を確保する。
転落防止の柵が背中に当たると、陽希と視線を交わらせる。
「陽希は逃げ道あんの?」
「あったり前田のクラッカーやん!」
「なにそれおもんね」
「うるさいわ! まぁ、ここは俺にとって庭みたいなもんやで。逃げ道の1つや2つ、もちろん用意してあるわ」
「そりゃよかった。俺が放って行ったせいで捕まったーみたいな、後味悪い思いはしたくなかったんでね」
「なるほど? 俺のこと甘く見んといてや。伊達にこの学園で生きてないで。飛び抜けた能力はあらへんけど、俺かてそれなりに動けるんやから」
横に並ぶと少しだけ高い位置にある陽希の顔。長いまつ毛の奥にある、茶色の瞳が心底楽しそうに燃えていた。
さすがお祭り男だな。
そう思ったのと同時に、轟音を撒き散らしながらバリケードが崩れた。
立ち込める煙の中から、複数人の生徒がこちらに向かってくる。
「やっぱりここだったんっすね、陽希さま!! って、うお!? 《女神様》もいるなんて超ラッキーっ!」
「え!? 《女神様》!?」
「嘘だろ、もう《女神様》見つけたのかよ!?」
「巴山、お前すげーな!!」
「っていうか、《女神様》と陽希様、こんな場所でこの1時間ちょっと、何をされていたのでしょう……っ!?」
「お邪魔してほんっとーに申し訳ありません!!!! ナニかされるなら、俺たちのことは気にせずに続けてくださいね! あ、逃げるのだけは勘弁です!」
バリケードを崩した時の轟音に負けないくらいのうるささで現れたのは、陽希曰く〔チーム2-A〕。6人組らしい。
どうやら会話の内容から鑑みると、陽希目当てで、巴山くんがここを提案したらしい。マジかよ。俺、巻き込まれ損じゃん。
見覚えしかない6人は、逃げ道を塞ぐように横に広がって俺たちと対峙する。
結構絶体絶命な状況。にも関わらず、隣から聞こえてきたのは、心底楽しそうな笑い声だった。
「あはは! やっぱ光くんらか~。この短時間でわざわざここに目ぇつけるやなんて、同類やろうと思ったで!」
「へへ! 伊達に腐男子やってませんからね!」
「っす!」
得意げに笑う巴山くんたちが、あまりにも年相応のDKで可愛く感じるんですけど。陽希に褒められて嬉しかったんだな。あぁ、またもや新たな可能性が。
腐男子×腐男子もいいよな。いいんだけど、それはまた後で考えることにして、今はこの状況から逃れる方法を考えないと。
妄想の世界に行きそうになる思考を理性で何とか押し留め、状況を俯瞰する。
巴山くんたちはそれぞれに目配せすると、大きく頷く。何か仕掛けてくるようだ。
「それではお2人とも。ここであったが100年目! 神妙にお縄についてください!」
「って、なんで時代劇風やねん!!」
関西人の血が騒いだのか、陽希が大声で突っ込んだと同時に、巴山くんたちがタックルしてくる。なるほど、これは確かに賢い方法だ。
俺はともかく、明らかに反応の遅れた陽希。かなりギリギリで躱すことになったみたいで、軽く焦りの色を浮かべている。
「っぶな~!! やめてやもー!! 関西人たるもん、あんなんされたら突っ込まざるをえやんねん! でも残念やったな! 俺はこんなところで捕まる男と違うんやで! ほんなら!」
どこかダサい捨て台詞を残して、屋上の反対側に走っていった陽希。あっちには飛び降りれそうなベランダや、非常階段なんかがある。それらで逃げるのだろう。
陽希を追っていったのは3人。
巴山くん含む残り3人は、改めて俺と対峙してくる。
「割とガチで、《女神様》がいらっしゃるなんて驚きでした! 嬉しいです!」
「本来なら、俺たちみたいなのが貴方様に触れるだなんて烏滸がましいかもしれませんが、今の俺たちの最大の目的は貴方様を捕まえること。ここで捕まえさせてもらいます!」
「お願いです、捕まってください《女神様》!」
「……ごめんね。そんな簡単に捕まるわけにはいかないよ」
手を横に広げ、逃げ道を塞ぎながら徐々に徐々に近づいてくる。陽希のような逃げ方は、流石にもう無理だろう。
俺が眉を下げながら告げた声は、届いているのかいないのか。3人の会話は突然横道に逸れた。
「いやさ、でもここで簡単に捕まえちまっていいのか……? このゲーム的に。というか、俺たちの萌え的に!」
「巴山。邪念は捨てろ。全ては明日最高の萌えを堪能するためだ。今この時は、心を鬼にしなければならないんだよ」
「その通り。このゲームで僕らの目の届かないところで絡まれるよりも、望みを明日へ繋げるべきだ! ここで《女神様》を捕まえることこそ、2-A腐男子たる僕たちがすべき使命だよ!」
「使命、か。なるほどな、確かに!」
「これもし捕まえれたら、学園中のヒーローじゃね!?」
「いや、どっちかって言うと勇者だよ!!」
どっちでもいい。どっちでもいいし、何その不穏すぎるやりとり……。ってか君たちみんな腐男子だったんだね。知らなかったよ。
妄想のネタにされることに慣れないといけないと思った矢先にこれとは。ガッツリ声に出されている。まぁいいけどさ。今はまだ実害はないし。今はね?
兎にも角にも、捕まるわけにはいかない。
ジリジリと間合いを詰めてくる3人。
その手がこちらに向かって伸びてきた瞬間、俺はひょいっと後ろの柵へ飛び乗った。
「「「え?」」」
突然の俺の奇行に、目を見開いて固まる3人。
「ちょっ……あ、危ないですよ《女神様》!?」
「降りてください!!」
「早まらないでください! もしもの事があったらどうするんですか!?」
一時の後、止めようと慌てふためく3人に、俺は涼やかに微笑みかける。
そして──
「それでは皆様、ごきげんよう」
ひらひらと手を振りながら。
そのまま落ちるように後ろへと倒れ込んだ。
「「「《女神様》あああああああああぁぁぁ!!??」」」
「ん? あ、全く聞いてねーよ」
「お前……、そんな酷いことをさらっとゆうなや。俺が傷つくとか思わんのか」
「うん」
「ほんまに酷いな!?」
真顔で告げる俺に、陽希は大袈裟な仕草でため息をつく。髪をくしゃりと鷲掴み、「まったく蒼葉は……」と呟かれた。
どこか憐れまれている気がする。陽希にそんなふうに思われるだなんて、なんて屈辱。
「ま、この話はお終いや。ほんなら気ぃ取り直して、4つ目のグループの話すんで~!」
「あいよ」
今度こそさっきまでの情報の続きを聞こうと、姿勢を正したその時。
──ガシャン!!!
激しい金属音が鳴り響く。
音の鳴った方に目を向けると、ドアが破壊されそうな勢いで何度も押し開かれていた。バリケードである机や椅子たちが、悲鳴をあげるように大きく揺れている。
「ほー……。なかなかアグレッシブやな~」
「過激派じゃんか。もしかして大軍か?」
目を離さないよう後退りながら、ドアとの距離を確保する。
転落防止の柵が背中に当たると、陽希と視線を交わらせる。
「陽希は逃げ道あんの?」
「あったり前田のクラッカーやん!」
「なにそれおもんね」
「うるさいわ! まぁ、ここは俺にとって庭みたいなもんやで。逃げ道の1つや2つ、もちろん用意してあるわ」
「そりゃよかった。俺が放って行ったせいで捕まったーみたいな、後味悪い思いはしたくなかったんでね」
「なるほど? 俺のこと甘く見んといてや。伊達にこの学園で生きてないで。飛び抜けた能力はあらへんけど、俺かてそれなりに動けるんやから」
横に並ぶと少しだけ高い位置にある陽希の顔。長いまつ毛の奥にある、茶色の瞳が心底楽しそうに燃えていた。
さすがお祭り男だな。
そう思ったのと同時に、轟音を撒き散らしながらバリケードが崩れた。
立ち込める煙の中から、複数人の生徒がこちらに向かってくる。
「やっぱりここだったんっすね、陽希さま!! って、うお!? 《女神様》もいるなんて超ラッキーっ!」
「え!? 《女神様》!?」
「嘘だろ、もう《女神様》見つけたのかよ!?」
「巴山、お前すげーな!!」
「っていうか、《女神様》と陽希様、こんな場所でこの1時間ちょっと、何をされていたのでしょう……っ!?」
「お邪魔してほんっとーに申し訳ありません!!!! ナニかされるなら、俺たちのことは気にせずに続けてくださいね! あ、逃げるのだけは勘弁です!」
バリケードを崩した時の轟音に負けないくらいのうるささで現れたのは、陽希曰く〔チーム2-A〕。6人組らしい。
どうやら会話の内容から鑑みると、陽希目当てで、巴山くんがここを提案したらしい。マジかよ。俺、巻き込まれ損じゃん。
見覚えしかない6人は、逃げ道を塞ぐように横に広がって俺たちと対峙する。
結構絶体絶命な状況。にも関わらず、隣から聞こえてきたのは、心底楽しそうな笑い声だった。
「あはは! やっぱ光くんらか~。この短時間でわざわざここに目ぇつけるやなんて、同類やろうと思ったで!」
「へへ! 伊達に腐男子やってませんからね!」
「っす!」
得意げに笑う巴山くんたちが、あまりにも年相応のDKで可愛く感じるんですけど。陽希に褒められて嬉しかったんだな。あぁ、またもや新たな可能性が。
腐男子×腐男子もいいよな。いいんだけど、それはまた後で考えることにして、今はこの状況から逃れる方法を考えないと。
妄想の世界に行きそうになる思考を理性で何とか押し留め、状況を俯瞰する。
巴山くんたちはそれぞれに目配せすると、大きく頷く。何か仕掛けてくるようだ。
「それではお2人とも。ここであったが100年目! 神妙にお縄についてください!」
「って、なんで時代劇風やねん!!」
関西人の血が騒いだのか、陽希が大声で突っ込んだと同時に、巴山くんたちがタックルしてくる。なるほど、これは確かに賢い方法だ。
俺はともかく、明らかに反応の遅れた陽希。かなりギリギリで躱すことになったみたいで、軽く焦りの色を浮かべている。
「っぶな~!! やめてやもー!! 関西人たるもん、あんなんされたら突っ込まざるをえやんねん! でも残念やったな! 俺はこんなところで捕まる男と違うんやで! ほんなら!」
どこかダサい捨て台詞を残して、屋上の反対側に走っていった陽希。あっちには飛び降りれそうなベランダや、非常階段なんかがある。それらで逃げるのだろう。
陽希を追っていったのは3人。
巴山くん含む残り3人は、改めて俺と対峙してくる。
「割とガチで、《女神様》がいらっしゃるなんて驚きでした! 嬉しいです!」
「本来なら、俺たちみたいなのが貴方様に触れるだなんて烏滸がましいかもしれませんが、今の俺たちの最大の目的は貴方様を捕まえること。ここで捕まえさせてもらいます!」
「お願いです、捕まってください《女神様》!」
「……ごめんね。そんな簡単に捕まるわけにはいかないよ」
手を横に広げ、逃げ道を塞ぎながら徐々に徐々に近づいてくる。陽希のような逃げ方は、流石にもう無理だろう。
俺が眉を下げながら告げた声は、届いているのかいないのか。3人の会話は突然横道に逸れた。
「いやさ、でもここで簡単に捕まえちまっていいのか……? このゲーム的に。というか、俺たちの萌え的に!」
「巴山。邪念は捨てろ。全ては明日最高の萌えを堪能するためだ。今この時は、心を鬼にしなければならないんだよ」
「その通り。このゲームで僕らの目の届かないところで絡まれるよりも、望みを明日へ繋げるべきだ! ここで《女神様》を捕まえることこそ、2-A腐男子たる僕たちがすべき使命だよ!」
「使命、か。なるほどな、確かに!」
「これもし捕まえれたら、学園中のヒーローじゃね!?」
「いや、どっちかって言うと勇者だよ!!」
どっちでもいい。どっちでもいいし、何その不穏すぎるやりとり……。ってか君たちみんな腐男子だったんだね。知らなかったよ。
妄想のネタにされることに慣れないといけないと思った矢先にこれとは。ガッツリ声に出されている。まぁいいけどさ。今はまだ実害はないし。今はね?
兎にも角にも、捕まるわけにはいかない。
ジリジリと間合いを詰めてくる3人。
その手がこちらに向かって伸びてきた瞬間、俺はひょいっと後ろの柵へ飛び乗った。
「「「え?」」」
突然の俺の奇行に、目を見開いて固まる3人。
「ちょっ……あ、危ないですよ《女神様》!?」
「降りてください!!」
「早まらないでください! もしもの事があったらどうするんですか!?」
一時の後、止めようと慌てふためく3人に、俺は涼やかに微笑みかける。
そして──
「それでは皆様、ごきげんよう」
ひらひらと手を振りながら。
そのまま落ちるように後ろへと倒れ込んだ。
「「「《女神様》あああああああああぁぁぁ!!??」」」
42
お気に入りに追加
1,648
あなたにおすすめの小説

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。
とうふ
BL
題名そのままです。
クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる