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3.父親
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目が覚めると、俺は裸。
そして隣に、同じように裸の男……真希さんがいた。
すぅすぅと気持ちよさげに眠っている。
……今の真希さんは静かであどけなくて、とてもじゃないけどあんなことをする父親には見えない。
まぁ、父親相手に言うことじゃないんだろうけど。
それでも、普通に生活していて、誰も思わないだろう。
この爽やかイケメンが、実の息子を暴力でも性的にも虐待・支配しているだなんて。
物心ついた時から、「お父さん」ではなく「真希さん」だった。
「父親」ではなく「支配者」だった。
幼い俺は何が正解なのかもわからないから、ただ言われた通りに従うしかなかった。
成長した今、この状況が普通でないことはわかっている。
でももう、自分ではどうしようもないんだ。
「……」
今、何時なんだろう。
そうは思っても、この部屋には窓もなければ時計もない。
真希さんがいるからきっと、夜なんだろうけど。
今の俺に時間を知る術はないから。
この人が起きない限り、俺は動くことも許されない。
起こしたりなんかすると、何をされるか……。
今まで嫌と言うほど思い知らされている。
……あー、腰が痛い。
風呂場でぶつけた頭もたんこぶができているよう。
とにかくまだ寝ていたくて目を閉じたその時、枕元に置かれた真希さんのスマホが鳴りだした。
うるさい……。
数分間鳴り続けるスマホ。
やっと起き出した真希さんは、電話を取った。
「……」
無言。
「あぁ……分かった」
一言で切ると、真希さんが立ち上がる気配がした。
「起きろ」
起き抜けの、最高潮に不機嫌そうな低い声。
刺激しないよう注意しながら、言葉に従いゆっくりと起き上がる。
身体中が痛い。
背も腹も頭も腰も穴も。
全てが痛い。
けど、そんな俺の意思は、この場に一切必要ない。
「おはよう……ございます」
ベッドに腰掛けた状態で、小さな声で挨拶をする。
真希さんはそれを完全にスルーし、部屋を出ていった。
なんだよ。言わないと態度が悪いとか言って殴るくせに。
心の中で悪態をついたが、戻ってきた真希さんの手に持たれたものを見て、俺の心は急浮上した。
「支度しろ」
「はい……っ!」
真希さんの手から制服を受け取った俺は、いそいそとそれに着替える。
さっき感じた痛みなんて何処へやら。
外へ出られる。
学校へ行って、アイツに会える。
そのことが、心から嬉しくて。
舞い上がっていた俺は、反応することができなかった。
鋭い蹴りが鳩尾に入る。
げほげほと蹲った俺を見て、真希さんは残酷に笑んだ。
「嬉しそうだな? そんなに元気なら、今から犯してやろうか?」
意味不明だ、その理由。
ただ、この質問はとても慎重に答えないといけない。
ここで「嫌だ」と言えば、逆らうなと暴力の雨が降ってくる。
首を縦に振れば間違いなく犯される。無言も肯定に入るだろう。
そうなると、学校へはいけなくなる。
ここは、
「ご…めんな、さい…」
謝るに限る。
謝罪の言葉は万能だ。
まぁ、逆に怒りを買って犯される可能性もあるけれど。
だけど今回は、最善の選択だったらしい。
「てめぇは謝るしか能がねぇのか? いいさ、帰ってきたらお望み通りヤってるからよ」
誰も望んでねぇよ。
心の中で反論しておいた。
これをもし口にしてしまったら、半年は外とは縁がなくなる気がする。
下手をしたら一生かもしれない。
結局、逆らうことなんて心の中でしか出来ない。
.
そして隣に、同じように裸の男……真希さんがいた。
すぅすぅと気持ちよさげに眠っている。
……今の真希さんは静かであどけなくて、とてもじゃないけどあんなことをする父親には見えない。
まぁ、父親相手に言うことじゃないんだろうけど。
それでも、普通に生活していて、誰も思わないだろう。
この爽やかイケメンが、実の息子を暴力でも性的にも虐待・支配しているだなんて。
物心ついた時から、「お父さん」ではなく「真希さん」だった。
「父親」ではなく「支配者」だった。
幼い俺は何が正解なのかもわからないから、ただ言われた通りに従うしかなかった。
成長した今、この状況が普通でないことはわかっている。
でももう、自分ではどうしようもないんだ。
「……」
今、何時なんだろう。
そうは思っても、この部屋には窓もなければ時計もない。
真希さんがいるからきっと、夜なんだろうけど。
今の俺に時間を知る術はないから。
この人が起きない限り、俺は動くことも許されない。
起こしたりなんかすると、何をされるか……。
今まで嫌と言うほど思い知らされている。
……あー、腰が痛い。
風呂場でぶつけた頭もたんこぶができているよう。
とにかくまだ寝ていたくて目を閉じたその時、枕元に置かれた真希さんのスマホが鳴りだした。
うるさい……。
数分間鳴り続けるスマホ。
やっと起き出した真希さんは、電話を取った。
「……」
無言。
「あぁ……分かった」
一言で切ると、真希さんが立ち上がる気配がした。
「起きろ」
起き抜けの、最高潮に不機嫌そうな低い声。
刺激しないよう注意しながら、言葉に従いゆっくりと起き上がる。
身体中が痛い。
背も腹も頭も腰も穴も。
全てが痛い。
けど、そんな俺の意思は、この場に一切必要ない。
「おはよう……ございます」
ベッドに腰掛けた状態で、小さな声で挨拶をする。
真希さんはそれを完全にスルーし、部屋を出ていった。
なんだよ。言わないと態度が悪いとか言って殴るくせに。
心の中で悪態をついたが、戻ってきた真希さんの手に持たれたものを見て、俺の心は急浮上した。
「支度しろ」
「はい……っ!」
真希さんの手から制服を受け取った俺は、いそいそとそれに着替える。
さっき感じた痛みなんて何処へやら。
外へ出られる。
学校へ行って、アイツに会える。
そのことが、心から嬉しくて。
舞い上がっていた俺は、反応することができなかった。
鋭い蹴りが鳩尾に入る。
げほげほと蹲った俺を見て、真希さんは残酷に笑んだ。
「嬉しそうだな? そんなに元気なら、今から犯してやろうか?」
意味不明だ、その理由。
ただ、この質問はとても慎重に答えないといけない。
ここで「嫌だ」と言えば、逆らうなと暴力の雨が降ってくる。
首を縦に振れば間違いなく犯される。無言も肯定に入るだろう。
そうなると、学校へはいけなくなる。
ここは、
「ご…めんな、さい…」
謝るに限る。
謝罪の言葉は万能だ。
まぁ、逆に怒りを買って犯される可能性もあるけれど。
だけど今回は、最善の選択だったらしい。
「てめぇは謝るしか能がねぇのか? いいさ、帰ってきたらお望み通りヤってるからよ」
誰も望んでねぇよ。
心の中で反論しておいた。
これをもし口にしてしまったら、半年は外とは縁がなくなる気がする。
下手をしたら一生かもしれない。
結局、逆らうことなんて心の中でしか出来ない。
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