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四章
衝撃と衝動 1
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不意に何かが途切れる。順の身体はその瞬間、意志とは裏腹に完全に脱力してしまった。その途端に風がぴたりと止む。周囲を取り巻いていた激しい物音も唐突に消えた。
「……クソが。好き放題やりやがって」
毒づきながら和也が無造作に腕を後ろに向かって払う。顔面をつかまれていた順の身体は力なくベッドに放り出された。
「な……ん、で」
順は布団に這いつくばりながら薄く目を開けた。荒れた部屋の様子と傷ついた和也の姿が目に留まる。和也は全身に小さな切り傷を幾つも負っていた。手首にある傷痕を舐めながら和也が身を屈める。
「覚悟は出来てんだろうな!?」
怒鳴った和也がベッドの下に手を伸ばす。引っ張り出したアタッシュケースを和也が強引に足でこじ開ける。順は震える身体に力をこめて何度も起き上がろうとした。だがどうしても身体に力が入らない。
うつ伏せになっていた順の肩をつかみ、和也が片手で身体を転がす。仰向けにされた順は和也が手にしている物を見て目を見張った。持っているのは小さな穴が幾つも開いたピンポン球ほどの大きさのボールがついた細いベルト状の何かだった。必死で逃げようとする順にまたがり、和也が片手で順の顎を握る。
強引に口を開けられボールを歯の間に挟まれる。順は和也の手から逃れようとして懸命に首を振った。その途端、和也の右手が頬に飛んでくる。強烈に顔を張られた順の頭の中が一瞬、真っ白になった。
「動くんじゃねえ!」
怒声を張り上げて和也がさらに腕を振るう。立て続けに何度も頬を張られる。歯の間に挟まっていたボールがその拍子にベッドに落ちる。順はかたく瞼を閉じて痛みを堪えた。口がこじ開けられ、ボールを挟まれ、ベルトを後頭部で留められる。
口枷をつけられた順は朦朧としつつも何とか意識を保っていた。抵抗を試みるたびに容赦のない平手が飛んでくる。耳元で炸裂する音も最初は激しく鼓膜を打っていたのだが、やがてその音も遠くなっていった。
何でこんな目に合わなきゃならないんだ。ぼんやりと天井を見上げて順はそう思った。和也はまだ怒り狂っているらしく、少しでも順が抵抗しようとすると遠慮もなく暴力を揮う。
「丁度いい。いいものつけてやる」
すっかり抵抗する気力を失った順に和也がにやりと嗤ってみせる。順は目を細めてぼんやりと和也を見つめた。何度も殴られたためか意識に薄い膜がかかっているような気がする。
和也はアタッシュケースからロープを取り上げた。順の身体を横向きに転がして手際よく拘束していく。順は腕を背に回され、胴ごと上半身を縛られた。手首も縛られているために殆ど自由には動かせない。無気力に横たわる順に低い笑い声を向けてから和也は再度、床に広げたケースに手を伸ばした。一体、何本入れてあるのか、また別のロープを取り上げる。
再び仰向けに転がされる。順は目だけを動かして和也の動きを追った。すっかり傷だらけになったスラックスに和也が手をかける。順は目を細めて天井を見た。金属が触れ合う音がしてベルトが外れ、続いてスラックスがゆっくりとずり下がっていく。
下半身を完全に剥き出しにされたところで順ははっと我に返った。このままでいれば和也は挿入しかねない。
待て、と順は言おうとした。だが口枷のおかげで言葉がはっきり出ない。順は必死で身をよじって和也の手から逃れようとした。
このまま身体を重ねたらまた和也の具合は悪くなるだろう。どういう訳かは判らないが、和也が交わった後に体調を崩しているのは間違いない。そんなことになったら。
何とか身体をよじろうとしつつ順は心の中で自問した。
……何で俺、こんな酷いことをする奴のことなんて気遣ってるんだ。
「てめえ……性懲りもなく暴れやがって」
怒りのこもった声で言いながら和也が腕を振り下ろす。腿を激しく打たれ、順は息を飲んだ。立て続けに何度も打たれる。だがそれでも順は懸命に和也の下から逃れようとした。
不意に息の止まるほどの衝撃に襲われる。順の意識は酷い痛みに一瞬、闇に沈みかけた。だがすぐに頬を張られて我に返る。その途端に言いようのない痛みが全身を襲った。順の左の脛に和也が手刀を入れて折ってしまったのだ。
順は目を見張って声にならない叫びを上げた。全身にどっと冷たい汗がふきだす。
「手間取らせやがって」
悪態をつきながら和也があらぬ方向に曲がった順の足に手をかける。痛みに仰け反る順を無視して和也は足をロープで縛り上げた。膝を曲げて腿と脛とを一緒に結わえる。あらかじめ膝裏に通しておいた別のロープは順の頭の傍にあるベッドのパイプに括りつけられた。
「うるせえ!」
叫び続けていた順の頬に手が飛んでくる。順は枕に反対側の頬を押し付けたまま声を殺した。痛みが強すぎて段々と感覚が判らなくなる。
「その程度じゃ死にやしねえよ。化け物なんだから」
容赦のない嘲りに順は目を見開いた。意志を半ば失いかけた目から自然と涙が伝う。強烈な身体の痛みと心の痛みに全ての感覚が麻痺していく。
「徹底的に判らせてやんないとな……おお、あったあった」
順は膝をロープに引っ張られて股間を剥き出しにされていた。背中に丸めた布団が当てられているために身体は殆ど動かせない。腿を開いたその格好は雄を誘う淫猥な獣のようだ。順は涙に濡れた目で和也を睨みつけた。
「……クソが。好き放題やりやがって」
毒づきながら和也が無造作に腕を後ろに向かって払う。顔面をつかまれていた順の身体は力なくベッドに放り出された。
「な……ん、で」
順は布団に這いつくばりながら薄く目を開けた。荒れた部屋の様子と傷ついた和也の姿が目に留まる。和也は全身に小さな切り傷を幾つも負っていた。手首にある傷痕を舐めながら和也が身を屈める。
「覚悟は出来てんだろうな!?」
怒鳴った和也がベッドの下に手を伸ばす。引っ張り出したアタッシュケースを和也が強引に足でこじ開ける。順は震える身体に力をこめて何度も起き上がろうとした。だがどうしても身体に力が入らない。
うつ伏せになっていた順の肩をつかみ、和也が片手で身体を転がす。仰向けにされた順は和也が手にしている物を見て目を見張った。持っているのは小さな穴が幾つも開いたピンポン球ほどの大きさのボールがついた細いベルト状の何かだった。必死で逃げようとする順にまたがり、和也が片手で順の顎を握る。
強引に口を開けられボールを歯の間に挟まれる。順は和也の手から逃れようとして懸命に首を振った。その途端、和也の右手が頬に飛んでくる。強烈に顔を張られた順の頭の中が一瞬、真っ白になった。
「動くんじゃねえ!」
怒声を張り上げて和也がさらに腕を振るう。立て続けに何度も頬を張られる。歯の間に挟まっていたボールがその拍子にベッドに落ちる。順はかたく瞼を閉じて痛みを堪えた。口がこじ開けられ、ボールを挟まれ、ベルトを後頭部で留められる。
口枷をつけられた順は朦朧としつつも何とか意識を保っていた。抵抗を試みるたびに容赦のない平手が飛んでくる。耳元で炸裂する音も最初は激しく鼓膜を打っていたのだが、やがてその音も遠くなっていった。
何でこんな目に合わなきゃならないんだ。ぼんやりと天井を見上げて順はそう思った。和也はまだ怒り狂っているらしく、少しでも順が抵抗しようとすると遠慮もなく暴力を揮う。
「丁度いい。いいものつけてやる」
すっかり抵抗する気力を失った順に和也がにやりと嗤ってみせる。順は目を細めてぼんやりと和也を見つめた。何度も殴られたためか意識に薄い膜がかかっているような気がする。
和也はアタッシュケースからロープを取り上げた。順の身体を横向きに転がして手際よく拘束していく。順は腕を背に回され、胴ごと上半身を縛られた。手首も縛られているために殆ど自由には動かせない。無気力に横たわる順に低い笑い声を向けてから和也は再度、床に広げたケースに手を伸ばした。一体、何本入れてあるのか、また別のロープを取り上げる。
再び仰向けに転がされる。順は目だけを動かして和也の動きを追った。すっかり傷だらけになったスラックスに和也が手をかける。順は目を細めて天井を見た。金属が触れ合う音がしてベルトが外れ、続いてスラックスがゆっくりとずり下がっていく。
下半身を完全に剥き出しにされたところで順ははっと我に返った。このままでいれば和也は挿入しかねない。
待て、と順は言おうとした。だが口枷のおかげで言葉がはっきり出ない。順は必死で身をよじって和也の手から逃れようとした。
このまま身体を重ねたらまた和也の具合は悪くなるだろう。どういう訳かは判らないが、和也が交わった後に体調を崩しているのは間違いない。そんなことになったら。
何とか身体をよじろうとしつつ順は心の中で自問した。
……何で俺、こんな酷いことをする奴のことなんて気遣ってるんだ。
「てめえ……性懲りもなく暴れやがって」
怒りのこもった声で言いながら和也が腕を振り下ろす。腿を激しく打たれ、順は息を飲んだ。立て続けに何度も打たれる。だがそれでも順は懸命に和也の下から逃れようとした。
不意に息の止まるほどの衝撃に襲われる。順の意識は酷い痛みに一瞬、闇に沈みかけた。だがすぐに頬を張られて我に返る。その途端に言いようのない痛みが全身を襲った。順の左の脛に和也が手刀を入れて折ってしまったのだ。
順は目を見張って声にならない叫びを上げた。全身にどっと冷たい汗がふきだす。
「手間取らせやがって」
悪態をつきながら和也があらぬ方向に曲がった順の足に手をかける。痛みに仰け反る順を無視して和也は足をロープで縛り上げた。膝を曲げて腿と脛とを一緒に結わえる。あらかじめ膝裏に通しておいた別のロープは順の頭の傍にあるベッドのパイプに括りつけられた。
「うるせえ!」
叫び続けていた順の頬に手が飛んでくる。順は枕に反対側の頬を押し付けたまま声を殺した。痛みが強すぎて段々と感覚が判らなくなる。
「その程度じゃ死にやしねえよ。化け物なんだから」
容赦のない嘲りに順は目を見開いた。意志を半ば失いかけた目から自然と涙が伝う。強烈な身体の痛みと心の痛みに全ての感覚が麻痺していく。
「徹底的に判らせてやんないとな……おお、あったあった」
順は膝をロープに引っ張られて股間を剥き出しにされていた。背中に丸めた布団が当てられているために身体は殆ど動かせない。腿を開いたその格好は雄を誘う淫猥な獣のようだ。順は涙に濡れた目で和也を睨みつけた。
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