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愛少女・姫菜
一
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困った……
どう扱ったらいいのかわからない。
床にうずくまっている性奴隷を前に途方に暮れている。
私の名は唐沐辰。シークレットリゾートの会員だ。少し前、親友に誘われて入会した。ホテルのBランク性奴隷で遊んだことはあっても、オークションで落札し、自分専用のAランクを手に入れることには二の足を踏んでいた。なにしろ、臆病な人間なのである。
「オークションがあるみたいだぞ」
親友であり、公私ともに兄貴分でもあるレオナルド・チャンが知らせてきた。
「君は参加するのか?」
「私は妻で手一杯だ」
相変わらずの嫁バカである。
経済戦争になれば世界最強であり、相手によっては冷酷非情なこともするが、嫁への溺愛ぶりは常軌を逸している。どうやら愛妻は元は性奴隷だったらしい。もちろん極秘事項であり、漏らせば命はないだろう。
ともあれ、出品された性奴隷のデータを見てみると、とても愛らしく、しかも処女という希少品であった。これは行くしかないと思い、気合を入れて入札したのだが、終了間際に油断した隙をつかれて逆転されてしまった。
「それは残念だったな」
クドクド愚痴を言う私を持て余し気味のチャンはふと言った。
「落札者は誰だ?」
「ゲランド共和国のレイと聞いたが」
「あいつか……」
チャンは一瞬沈黙した。
「あいつは残忍な男で、ビジネスでも卑劣なことをする。まるでハイエナような奴だ。何人破滅させられたか分からない」
「そんなやつに、あの良品を奪われてしまったのか……」
「ま、仕方ない。今回はあきらめろ」
「そうだな」
しかし翌日、レイが破産したという話を聞いた。もちろん性奴隷を買い取る余裕などなくなり、オークションは無効となった。なぜそんなことになったのか、誰も知らない。もしかしたら、あの男が何か手を回したのかとも思うが、そんなことは決して口にしてはいけない。
かくして「Bランクセレクション」という名目の再オークションが行われ、今度こそ私が勝った。しかし、これはチャンの圧力で行われた出来レースで「最高入札額プラス五千万」で私が勝つということが予め決まっていた。持つべきものは友である。出品者の万理華は高く売れるほうが良いに決まっているから、すぐに承知した。
商品は「フリージア」と呼ばれていたが、これはレイが付けた名前だから変えるつもりだ。
処女だったために、かなり前に性奴隷に堕ちたにもかかわらず肉体は全く手つかずだった。今回初めて、ホテルの一室で対面したのだがこちらの方が変に緊張してしまった。
(どうすりゃいいんだ?)
とその時、じっとうずくまっていたフリージアがパッと顔を上げ、すっと私の足元にひざまずくと、澄んだ目で私を見つめた。
「ご主人様」
「な、なんだ」
「大変申し訳ないのですが……」
「ん?」
「おなかが空きました、とても」
そ、そんなことか……
「よし、わかった。モーニングセットを取ってやろう」
「ありがとうございます」
ほどなく二人分の食事が届いた。
「さあ、来たぞ。お前も食え」
しかしフリージアは、私の足元に座ったまま動こうとしない。
(そうか……)
性奴隷は所有者と食事をする時は、自分の手で食べてはいけないのだ。あくまでも主人が差し出すものを床に座って食べなくてはならない。
(めんどくさいルールだな)
所有者の支配欲をくすぐる面はあるが、手間が掛かることこの上ない。仕方なくスクランブルエッグが乗ったスプーンをフリージアの目の前に出すと口を開ける。さらに近づけると、うれしそうに口に入れ、白い咽喉をコクリと動かし飲み込んだ。続けてソーセージやパンを食べさせ、いつの間にか自分の食事は忘れて、餌を与えていた。
(なかなか楽しいじゃないか)
そういえば子供の頃、同じようなことがあった。
(そうだ、手乗り文鳥だ)
ヒナ鳥に挿し餌をして慣らしたことがある。一日に五回も六回もやらなければならず大変だったが、やがて真っ白な羽毛と赤いくちばしを持った文鳥に成長し、妙に艶めかしく見えた。それがすっかり懐いたものだから、もう愛しくて仕方なかった。
「フリージア」
「はい、ご主人様」
「お前の名前を変える。今日からお前はヒナだ」
「ヒナ、ですか?」
ちょっと複雑な顔をする。まあ性奴隷になる前と同じ読み方だから、それもわかる。しかしもちろん拒否は許されない。
「わかったか、ヒナ」
「はい、ご主人様」
シークレットリゾートの主宰者である氷室万理華と動画コミュニケーションアプリを利用して話す。
「ということは、まだ肉体的には手をつけていないのですね」
「そうだ」
「タン様……」
万理華は呆れているようだ。
「早くズブっと止めを刺していただかないと。そんな状態で飼育場に置いておくと、他の性奴隷にも影響が出てしまいます」
「だから、ホテルの部屋で飼うことにした」
「まあ、それはご自由ですが」
万理華はため息をついた。
「それにしても処女のままなのに、メンタル的にはすっかり性奴隷になっているのだな」
「はい、厳しい馴致を行い、性奴隷としての心得や所作は叩き込んであります」
「そうか。それにしても、ものすごいギャップを感じるな」
「だから早く……」
「わかったわかった」
どう扱ったらいいのかわからない。
床にうずくまっている性奴隷を前に途方に暮れている。
私の名は唐沐辰。シークレットリゾートの会員だ。少し前、親友に誘われて入会した。ホテルのBランク性奴隷で遊んだことはあっても、オークションで落札し、自分専用のAランクを手に入れることには二の足を踏んでいた。なにしろ、臆病な人間なのである。
「オークションがあるみたいだぞ」
親友であり、公私ともに兄貴分でもあるレオナルド・チャンが知らせてきた。
「君は参加するのか?」
「私は妻で手一杯だ」
相変わらずの嫁バカである。
経済戦争になれば世界最強であり、相手によっては冷酷非情なこともするが、嫁への溺愛ぶりは常軌を逸している。どうやら愛妻は元は性奴隷だったらしい。もちろん極秘事項であり、漏らせば命はないだろう。
ともあれ、出品された性奴隷のデータを見てみると、とても愛らしく、しかも処女という希少品であった。これは行くしかないと思い、気合を入れて入札したのだが、終了間際に油断した隙をつかれて逆転されてしまった。
「それは残念だったな」
クドクド愚痴を言う私を持て余し気味のチャンはふと言った。
「落札者は誰だ?」
「ゲランド共和国のレイと聞いたが」
「あいつか……」
チャンは一瞬沈黙した。
「あいつは残忍な男で、ビジネスでも卑劣なことをする。まるでハイエナような奴だ。何人破滅させられたか分からない」
「そんなやつに、あの良品を奪われてしまったのか……」
「ま、仕方ない。今回はあきらめろ」
「そうだな」
しかし翌日、レイが破産したという話を聞いた。もちろん性奴隷を買い取る余裕などなくなり、オークションは無効となった。なぜそんなことになったのか、誰も知らない。もしかしたら、あの男が何か手を回したのかとも思うが、そんなことは決して口にしてはいけない。
かくして「Bランクセレクション」という名目の再オークションが行われ、今度こそ私が勝った。しかし、これはチャンの圧力で行われた出来レースで「最高入札額プラス五千万」で私が勝つということが予め決まっていた。持つべきものは友である。出品者の万理華は高く売れるほうが良いに決まっているから、すぐに承知した。
商品は「フリージア」と呼ばれていたが、これはレイが付けた名前だから変えるつもりだ。
処女だったために、かなり前に性奴隷に堕ちたにもかかわらず肉体は全く手つかずだった。今回初めて、ホテルの一室で対面したのだがこちらの方が変に緊張してしまった。
(どうすりゃいいんだ?)
とその時、じっとうずくまっていたフリージアがパッと顔を上げ、すっと私の足元にひざまずくと、澄んだ目で私を見つめた。
「ご主人様」
「な、なんだ」
「大変申し訳ないのですが……」
「ん?」
「おなかが空きました、とても」
そ、そんなことか……
「よし、わかった。モーニングセットを取ってやろう」
「ありがとうございます」
ほどなく二人分の食事が届いた。
「さあ、来たぞ。お前も食え」
しかしフリージアは、私の足元に座ったまま動こうとしない。
(そうか……)
性奴隷は所有者と食事をする時は、自分の手で食べてはいけないのだ。あくまでも主人が差し出すものを床に座って食べなくてはならない。
(めんどくさいルールだな)
所有者の支配欲をくすぐる面はあるが、手間が掛かることこの上ない。仕方なくスクランブルエッグが乗ったスプーンをフリージアの目の前に出すと口を開ける。さらに近づけると、うれしそうに口に入れ、白い咽喉をコクリと動かし飲み込んだ。続けてソーセージやパンを食べさせ、いつの間にか自分の食事は忘れて、餌を与えていた。
(なかなか楽しいじゃないか)
そういえば子供の頃、同じようなことがあった。
(そうだ、手乗り文鳥だ)
ヒナ鳥に挿し餌をして慣らしたことがある。一日に五回も六回もやらなければならず大変だったが、やがて真っ白な羽毛と赤いくちばしを持った文鳥に成長し、妙に艶めかしく見えた。それがすっかり懐いたものだから、もう愛しくて仕方なかった。
「フリージア」
「はい、ご主人様」
「お前の名前を変える。今日からお前はヒナだ」
「ヒナ、ですか?」
ちょっと複雑な顔をする。まあ性奴隷になる前と同じ読み方だから、それもわかる。しかしもちろん拒否は許されない。
「わかったか、ヒナ」
「はい、ご主人様」
シークレットリゾートの主宰者である氷室万理華と動画コミュニケーションアプリを利用して話す。
「ということは、まだ肉体的には手をつけていないのですね」
「そうだ」
「タン様……」
万理華は呆れているようだ。
「早くズブっと止めを刺していただかないと。そんな状態で飼育場に置いておくと、他の性奴隷にも影響が出てしまいます」
「だから、ホテルの部屋で飼うことにした」
「まあ、それはご自由ですが」
万理華はため息をついた。
「それにしても処女のままなのに、メンタル的にはすっかり性奴隷になっているのだな」
「はい、厳しい馴致を行い、性奴隷としての心得や所作は叩き込んであります」
「そうか。それにしても、ものすごいギャップを感じるな」
「だから早く……」
「わかったわかった」
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