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愛を掴み取れ<その後のオマケ話:ロイ視点>
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「ロイさんのこれからの時間を奪っちゃったからって、言ってたよ。それでもロイさんのこと好きだから離れられないんだって。だからせめて子供を産みたいって。」
「そんなこと!」
「分かってるよ! 周りはさあ! いっちゃあ、悪いけど、あんたたち夫婦には当てられっぱなしなんだからさ! まあ~~、あんたたちといったら、どこでもかしこでも、イチャイチャ、イチャイチャと……。店で買い物する時のスウちゃんの真似してあげようか??『これってロイが喜ぶかなぁ、こっち食べた時喜んでたけど、でも、新しいものも試したいし』とかさ」
「そ、そんなこと……言ってますか……」
「言ってるともさ! 魚屋でワカメとか海藻しか買わないのによ! まー、何十分とロイさんが喜ぶかどうかでどんだけ悩むんだか! まったく!」
「す、すみません……」
「まあ、いいんだよ、スウちゃんが店頭で長い間いるとファンの子が寄ってきてうちのもん買うからさあ。営業妨害って事はないし、むしろ宣伝になるから」
「……」
「それはそうと子供のことはスウちゃんだけの問題じゃないだろう? 焦らなくてもいいって言ってもなんか、スウちゃん必死だしさ。妊娠体操とか怪しい事したり、食べ物工夫したりしてるだろ? そこんとこ、どうなのよ、ちゃんと話し合ってるの? ロイさんが欲しいってスウちゃんに無理強いしてるなら私たちだって考えがあるよ?」
「え、いや……その、そもそもそんな話は」
「そうだと思った! ちょっとさ、あの子は自信がないんだと思うよ。あんなに端から見たら異常なほどロイさんに愛されてんのに、それを素直に受け取れてないのよ。愛情表現は夜の催しだけじゃないのよ! ちゃんと話合わないと夫婦ってものは上手くやってけないんだから! 相手を思いやることが長続きする秘訣なんだからね! 一方通行じゃダメなんだよ!」
しっかりやんな、と土産だとワカメと昆布を両手に持たされて私は店をでる。
スウは……子どもが欲しかったのか。
それは素直に嬉しい。
だが……
私との未来をつなぐ存在として欲しかったのだとしたら……
夫失格だな。
トボトボと歩いていると声をかけられた。
「ちょうどいい、スウちゃんにこれ持っていってやってくれ」
そう呼び止められたのは以前大いにお世話になった医者だった。
「痛み止めだ。あんたの店には生理痛に効くのはまだ置いてなかったろ? レシピも中に入れてあるから」
「ああ、助かります」
「そんで……」
医者が私の肩を掴んで医院の壁際に誘導して小声で囁くように言った。
「初潮も来たんだから完全に女の機能も大丈夫だろうといっといてくれ。でもな、あんたも知ってるだろうが異種間では子供が出来にくいんだ。ましてエルフは同族でも難しいだろ? 欲しいのはわかるけど、出来る可能性は低いからな。ついでに都合のいい薬もないってよ!」
「ええ」
「あんまりスウちゃんに無理させないでくれよ」
「はい」
両手のワカメと昆布に白い袋が加わって、なんだかスウにすまない気持ちでいっぱいになった。一人で随分悩んでいたんだ。
「お、珍しいね! エルフの旦那!!」
「ロイさん、スウちゃん調子悪いんだって!?」
「これ、お見舞い!!」
通りを歩くだけで私の荷物はいっぱいになった。しかもどの店もスウにと言って渡してくるものは私の好物ばかりなのだ。スウが私のことをどれだけ考えてくれているかがわかる。
「馬鹿だな、私は」
躊躇しないで様子がおかしかったら皆に聞けばよかったのだ。スウはこの町でこんなも慕われている。それは、家族のように。ここはスウの親戚みたいなものなのだ。だったら私もそれなりに付き合っていけばいい。ここでひきこもる必要はないんだ。
両手いっぱい荷物を抱えて帰り道を急ぐ。
こんなに荷物を持って帰ったらスウは驚くだろう。スウがいつもわたしの里からの荷物や手紙を羨ましそうに見ていたのを思い出す。そうか、こんな気持ちだったのだな、と私は独りごちる。羨ましくて、でもスウが誇らしい。
どのみち、スウが愛おしくて敵わないんだ。
上手く伝えれるかわからない。けれど、スウは分かってくれる。
だから、話し合おう。
二人の為に。
「そんなこと!」
「分かってるよ! 周りはさあ! いっちゃあ、悪いけど、あんたたち夫婦には当てられっぱなしなんだからさ! まあ~~、あんたたちといったら、どこでもかしこでも、イチャイチャ、イチャイチャと……。店で買い物する時のスウちゃんの真似してあげようか??『これってロイが喜ぶかなぁ、こっち食べた時喜んでたけど、でも、新しいものも試したいし』とかさ」
「そ、そんなこと……言ってますか……」
「言ってるともさ! 魚屋でワカメとか海藻しか買わないのによ! まー、何十分とロイさんが喜ぶかどうかでどんだけ悩むんだか! まったく!」
「す、すみません……」
「まあ、いいんだよ、スウちゃんが店頭で長い間いるとファンの子が寄ってきてうちのもん買うからさあ。営業妨害って事はないし、むしろ宣伝になるから」
「……」
「それはそうと子供のことはスウちゃんだけの問題じゃないだろう? 焦らなくてもいいって言ってもなんか、スウちゃん必死だしさ。妊娠体操とか怪しい事したり、食べ物工夫したりしてるだろ? そこんとこ、どうなのよ、ちゃんと話し合ってるの? ロイさんが欲しいってスウちゃんに無理強いしてるなら私たちだって考えがあるよ?」
「え、いや……その、そもそもそんな話は」
「そうだと思った! ちょっとさ、あの子は自信がないんだと思うよ。あんなに端から見たら異常なほどロイさんに愛されてんのに、それを素直に受け取れてないのよ。愛情表現は夜の催しだけじゃないのよ! ちゃんと話合わないと夫婦ってものは上手くやってけないんだから! 相手を思いやることが長続きする秘訣なんだからね! 一方通行じゃダメなんだよ!」
しっかりやんな、と土産だとワカメと昆布を両手に持たされて私は店をでる。
スウは……子どもが欲しかったのか。
それは素直に嬉しい。
だが……
私との未来をつなぐ存在として欲しかったのだとしたら……
夫失格だな。
トボトボと歩いていると声をかけられた。
「ちょうどいい、スウちゃんにこれ持っていってやってくれ」
そう呼び止められたのは以前大いにお世話になった医者だった。
「痛み止めだ。あんたの店には生理痛に効くのはまだ置いてなかったろ? レシピも中に入れてあるから」
「ああ、助かります」
「そんで……」
医者が私の肩を掴んで医院の壁際に誘導して小声で囁くように言った。
「初潮も来たんだから完全に女の機能も大丈夫だろうといっといてくれ。でもな、あんたも知ってるだろうが異種間では子供が出来にくいんだ。ましてエルフは同族でも難しいだろ? 欲しいのはわかるけど、出来る可能性は低いからな。ついでに都合のいい薬もないってよ!」
「ええ」
「あんまりスウちゃんに無理させないでくれよ」
「はい」
両手のワカメと昆布に白い袋が加わって、なんだかスウにすまない気持ちでいっぱいになった。一人で随分悩んでいたんだ。
「お、珍しいね! エルフの旦那!!」
「ロイさん、スウちゃん調子悪いんだって!?」
「これ、お見舞い!!」
通りを歩くだけで私の荷物はいっぱいになった。しかもどの店もスウにと言って渡してくるものは私の好物ばかりなのだ。スウが私のことをどれだけ考えてくれているかがわかる。
「馬鹿だな、私は」
躊躇しないで様子がおかしかったら皆に聞けばよかったのだ。スウはこの町でこんなも慕われている。それは、家族のように。ここはスウの親戚みたいなものなのだ。だったら私もそれなりに付き合っていけばいい。ここでひきこもる必要はないんだ。
両手いっぱい荷物を抱えて帰り道を急ぐ。
こんなに荷物を持って帰ったらスウは驚くだろう。スウがいつもわたしの里からの荷物や手紙を羨ましそうに見ていたのを思い出す。そうか、こんな気持ちだったのだな、と私は独りごちる。羨ましくて、でもスウが誇らしい。
どのみち、スウが愛おしくて敵わないんだ。
上手く伝えれるかわからない。けれど、スウは分かってくれる。
だから、話し合おう。
二人の為に。
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