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愛を掴み取れ<その後のオマケ話:ロイ視点>
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愛する我が息子ロイへ
お前が人族の娘を番に選び、里に帰って来ないことは承知していたのだが、ブレアを止めれなかったことに謝罪する。彼は彼なりに幼馴染のお前を気にかけていたのだから許してやってほしい。
だが、エルフ族にとって人族の娘を娶ることは中々受け入れがたいものであるのだ。分かってやって欲しい。お前がどんなにその娘を大切に思っているかはわかった。体を繋げられたのであればそれは本物の「番」で違いあるまい。しかし、里へは戻らず、そちらで生活するのがお前とお前の番の幸せだろう。幸せなお前たちの結婚式を見れないことがセイレーンと私の心残りであるが、お前たちの幸せを誰よりも願い、喜んでいることを伝えよう。
子が出来ずとも二人で支え合って互いを慈しむがいい。エルフの男は番に尽くす生き物だからお前の番も大切にするように。あと、少々嫉妬深くなるので気を付けるといい。守り抜くのはエルフの誇りともいうが、それを理由に「番」を閉じ込めようとするエルフも少なくない。大抵は夫が五人いるのでけん制し合って上手くやっていくがお前は一人なのだから気を付けるように。
では、心はお前の傍に。
祝いの品を喜んでもらえると嬉しい。
お前の父トロセラより
「なんて書いてあるんだ?」
里からの定期的な手紙を読んでいると私の肩にちょこんと愛しい番の顎がのってきた。取りあえず可愛すぎるのでそのまま頬を捕えて口付けをする。少し驚いて肩をビクリとさせても、その美味しそうな唇を味あわせてくれるスウが可愛くて仕方ない。
「ん、んー! ぷはっ! だから、ロイはチューが長ぇんだよ!」
真っ赤な顔でぷんすか怒るが、スウが可愛いのがいけない。
「近況を報告したら、両親が私たちに結婚祝いを贈ってくれたのです」
「へえ。ロイは家族と仲が良いもんな……」
いつも私が里からの手紙を読んでいると少しだけスウが羨ましそうにしている。スウは……多分太ももに残るやけど跡から考えても良い家族環境ではなかったようだ。スウとハンターをしていた頃にも何度かうなされていることがあった。「かあさん、やめて」「とうさん、ごめんなさい」と耳を疑いたくなる内容の寝言を聞いたのも一度や二度ではない。
「開けて見ましょう」
「いいの?」
「結婚祝いですから、私とスウへの贈り物ですよ」
それでも自分で箱を開けるのをためらうスウがまた可愛らしくて健気でギュギュウしたい。でもここでするとスウに怒られてしまうから我慢。包みを開けると色々と入っていた。
「これは葡萄酒ですね。あと、衣装? でしょうか。二人分ありますね。二人分のカップに食器。時計にこれはイニシャル入りのベットカバー。ジャムに香辛料……あ……。」
「いっぱい入ってるんだな」
「スウ、頼んでおいたものも届いたようです」
「?」
「左手を出して」
「こう?」
小さいが凝った作りの箱からエルフの夫婦が付ける伝統的な指輪が現れる。見た目はシンプルだが二人の真名がまじないで込められている。
「スウ、この指輪は一生添い遂げる者たちしかつけれないんです」
「え!?」
「愛してますよ」
「あ、いや、なんで着けてからいうかな……まあ、いいけど」
そんなの、拒否されたら嫌だからに決まってる。でも、それも許してくれるスウ。ほんと、愛しい。
「口付けしていいですか?」
「え、それは聞くの?ロイって……まあ、いいや」
その白い指に輝く揃いの指輪。揃いの指輪を見せつけるように私の手の甲とスウの手の甲が合わされる。
指輪の確認をするようなしぐさに満足すると今度は手を返してゆっくりと指を絡める。スウの指とわたしの指が絡まり合う感触を楽しみながらその手を絡み取ると今度はそのぽってりとした唇を食すように重ねた。
やっと捕まえた
私の番
お前が人族の娘を番に選び、里に帰って来ないことは承知していたのだが、ブレアを止めれなかったことに謝罪する。彼は彼なりに幼馴染のお前を気にかけていたのだから許してやってほしい。
だが、エルフ族にとって人族の娘を娶ることは中々受け入れがたいものであるのだ。分かってやって欲しい。お前がどんなにその娘を大切に思っているかはわかった。体を繋げられたのであればそれは本物の「番」で違いあるまい。しかし、里へは戻らず、そちらで生活するのがお前とお前の番の幸せだろう。幸せなお前たちの結婚式を見れないことがセイレーンと私の心残りであるが、お前たちの幸せを誰よりも願い、喜んでいることを伝えよう。
子が出来ずとも二人で支え合って互いを慈しむがいい。エルフの男は番に尽くす生き物だからお前の番も大切にするように。あと、少々嫉妬深くなるので気を付けるといい。守り抜くのはエルフの誇りともいうが、それを理由に「番」を閉じ込めようとするエルフも少なくない。大抵は夫が五人いるのでけん制し合って上手くやっていくがお前は一人なのだから気を付けるように。
では、心はお前の傍に。
祝いの品を喜んでもらえると嬉しい。
お前の父トロセラより
「なんて書いてあるんだ?」
里からの定期的な手紙を読んでいると私の肩にちょこんと愛しい番の顎がのってきた。取りあえず可愛すぎるのでそのまま頬を捕えて口付けをする。少し驚いて肩をビクリとさせても、その美味しそうな唇を味あわせてくれるスウが可愛くて仕方ない。
「ん、んー! ぷはっ! だから、ロイはチューが長ぇんだよ!」
真っ赤な顔でぷんすか怒るが、スウが可愛いのがいけない。
「近況を報告したら、両親が私たちに結婚祝いを贈ってくれたのです」
「へえ。ロイは家族と仲が良いもんな……」
いつも私が里からの手紙を読んでいると少しだけスウが羨ましそうにしている。スウは……多分太ももに残るやけど跡から考えても良い家族環境ではなかったようだ。スウとハンターをしていた頃にも何度かうなされていることがあった。「かあさん、やめて」「とうさん、ごめんなさい」と耳を疑いたくなる内容の寝言を聞いたのも一度や二度ではない。
「開けて見ましょう」
「いいの?」
「結婚祝いですから、私とスウへの贈り物ですよ」
それでも自分で箱を開けるのをためらうスウがまた可愛らしくて健気でギュギュウしたい。でもここでするとスウに怒られてしまうから我慢。包みを開けると色々と入っていた。
「これは葡萄酒ですね。あと、衣装? でしょうか。二人分ありますね。二人分のカップに食器。時計にこれはイニシャル入りのベットカバー。ジャムに香辛料……あ……。」
「いっぱい入ってるんだな」
「スウ、頼んでおいたものも届いたようです」
「?」
「左手を出して」
「こう?」
小さいが凝った作りの箱からエルフの夫婦が付ける伝統的な指輪が現れる。見た目はシンプルだが二人の真名がまじないで込められている。
「スウ、この指輪は一生添い遂げる者たちしかつけれないんです」
「え!?」
「愛してますよ」
「あ、いや、なんで着けてからいうかな……まあ、いいけど」
そんなの、拒否されたら嫌だからに決まってる。でも、それも許してくれるスウ。ほんと、愛しい。
「口付けしていいですか?」
「え、それは聞くの?ロイって……まあ、いいや」
その白い指に輝く揃いの指輪。揃いの指輪を見せつけるように私の手の甲とスウの手の甲が合わされる。
指輪の確認をするようなしぐさに満足すると今度は手を返してゆっくりと指を絡める。スウの指とわたしの指が絡まり合う感触を楽しみながらその手を絡み取ると今度はそのぽってりとした唇を食すように重ねた。
やっと捕まえた
私の番
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