上 下
208 / 212
新しい国

女王誕生と結婚式

しおりを挟む
どういう事よ!」

「はー。どうなるかと思ったけどパオラの魅了って凄いね。ラウカーバンが拡張する機械使ってくれたけど上手くいって良かった。」

「皆、アーロン神の加護を受ける美しい女王の誕生にうっとりだったよ。」

「まあ、いいんじゃね?こんな豪華な夫がいるんだし。しかもアーロン神の降臨を拝めるなんて生きててラッキーどころじゃないからな。」

「アーロン神て地上降りれたの?」

「バルコニーにちょっと細工して仮の祭壇にしたんだ。まあ、相当力使ったろうからアーロン神も二度としないだろうね。今後は竜の里みたいなちゃんとした祠作って神界の狭間を創るって約束した。今日は結婚式だから張り切ってくれたんだよ。本当はゼス神も降臨したいって言われたけどアーロン神に窘められて我慢してもらったみたい。」

「アーロン神が降臨した上にゼス神まで降臨したら流石に国民はパニックだろ……。」

「短時間だったがアーロン神も皆に知らしめることが出来たとご満足しておられた。良い式であった。」

「え?結婚式!?」

「人前式だね、パオラ♡ 国民みんなが証人だからね。」

 じゃ、これってウエディングドレスなわけ!?やけにドレスにアーロンの気合が入ってるのが不思議だったけどそうだったのか!

「どうして黙ってたのさ!みんなして!」

「言ったら、パオラは黙って女王になってくれた?」

「……くれない。」

「ほーらね。俺の妃も断るつもりだったよね。俺は『愛人』なんてお断りだけど?」

「まあ、これが一番収まりがいいってことだ。ややこしいことはリアムに丸投げしちまえばいいんだから。パオラはどーんと俺たちを可愛がってくれたらいいの。」

「……。」

 完全に嵌められている。しかも私だけが知らなかった状態だ。国名の王印だってすでにできてたし(結婚の書類に押したのはもうミレパオラになっていた。)規模が大きすぎるだけで結婚式と言われれば結婚式である。よく見れば来賓客も見知った顔ばかりだった。

「さ、披露宴の方に移動しようよ。新女王に挨拶したくて皆ウズウズしてるみたいだよ?」

 エイデンに手を繋がれて歩くのはいつも通り。でも頭の王冠が重いんですけど。いや、精神的に。ガヤガヤと聞こえる広間のドアを両方から衛兵が開く。またおおおおと声が上がるのにちょっと怯みながら平気そうな顔をして中央の席に皆と着いた。

「それでは女王陛下に祝辞を申し出る方はお並びください。」

 お客さんを並ばせるとは……と思いつつ祝辞を聞いていく。先頭はマイヤー大佐だった。

「我がトツェン国を代表してお祝い申し上げます。いやぁ。黒ウサギ様の本来のお姿はお美しすぎて目が潰れそうですな。それはそうと我が子への祝いの品もお手紙もユリイが大変喜んでおりました。パオラ様への祝いの品は後日改めて送らせていただきます。本日はおめでとうございます。」

「マイヤー大佐、色々協力してくれてありがとう。ユリイと仲良くね。それが一番嬉しい。」

 そう言うとマイヤー大佐はにっこり笑って隣のリアムたちの方に移った。

「おめでとうございます。黒ウサギ様。」

「あ、アスラン王子!ミルバも元気だった?」

「ええ。本日はおめでとうございます。次の年には私たちも結婚する予定です。」

「良かったね!ボソッ(セイランどうしてんの?)」

「あっちで料理食べてます。後で来ると思いますよ。」

 こちらも幸せそうで良かった。

「もしかしたら、セイランに頼み事するかも。その時はよろしくね。」

「貴方の望みとあらば協力しましょう。」

「ミルバ、結婚式は呼んでね。」

「もちろんです!」

 ミルバと熱いハグしてさて、次。

「おめでとうございます。モーラ様もまた会いに来るとのことですよ?」

「ひ、マリーシャ姫と来てくれたの?あのジェカが!?はるばるありがと。」

「おめでとうございます。パオラ様。貴方は大きな器。その器にはなみなみと輝く水があふれるばかりに注がれております。幸があらんことを。」

 姫様も相変わらず抽象的な占いを有難う。

「姫様も楽しんで帰ってね。」

 ジェカの笑顔が歪んでいて怖い。姫様、あっちのイケメンにロックオンだな。嵌め外しすぎなきゃいいけど。マティアたちにも会いたいな。

「あらあら。私に挨拶も無しに結婚とはね。」

 その声で一瞬場が凍った。リアムのお母さんである。

「ゴメンね。挨拶しなくて。祖国に帰る手配はリアムにしてもらったんだけど。改めて息子さん、ください。」

「ぷっ。黒ウサギ様って本当だったのね。良いわ、貴方にあげちゃう。けれど祖国には落ち着いてから帰ることにするわ。貴方、面白いし、当分退屈しないだろうしね。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

 私とがっつり握手するのを見て横でリアムが少しだけ動揺しているのが見て取れる。ぷぷぷ。

「パオラ!!」

 どしっ。と腹に衝撃が。目の前にはドルトがすまなさそうな顔をして立っている。

「え、もしかしてユノ王子!?随分大きくなって!」

「パオラは僕と結婚するんでしょ!?」

「えーあーそれはぁ。」

「いいよ、成人したら求婚しに来るからね!」

「お祝いにユノ王子を堪能してもいい?」

 手を広げるとユノ王子が私にぎゅっと抱き着いた。もう6歳くらいに見えるんだもん。すごいなぁ。あー可愛い。

「本日はおめでとう。フラ王からの祝いも持ってきた。フラ王もマーシャル様も来たがっていたが国は空けられないのでな。女王、頑張れ。ラウラも来ているから後で話でもしてやってくれ。」

「お、おぅ。」

 …その後竜の里のラーナシーの使者からと延々と大臣やら隣国のアレだの商人などに祝辞を貰った。


 はあ。


 結婚式、疲れた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【R18】騎士たちの監視対象になりました

ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。 *R18は告知無しです。 *複数プレイ有り。 *逆ハー *倫理感緩めです。 *作者の都合の良いように作っています。

オークションで競り落とされた巨乳エルフは少年の玩具となる。【完結】

ちゃむにい
恋愛
リリアナは奴隷商人に高く売られて、闇オークションで競りにかけられることになった。まるで踊り子のような露出の高い下着を身に着けたリリアナは手錠をされ、首輪をした。 ※ムーンライトノベルにも掲載しています。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜

櫛田こころ
ファンタジー
料理人の人生を絶たれた。 和食料理人である女性の秋吉宏香(あきよしひろか)は、ひき逃げ事故に遭ったのだ。 命には関わらなかったが、生き甲斐となっていた料理人にとって大事な利き腕の神経が切れてしまい、不随までの重傷を負う。 さすがに勤め先を続けるわけにもいかず、辞めて公園で途方に暮れていると……女神に請われ、異世界転移をすることに。 腕の障害をリセットされたため、新たな料理人としての人生をスタートさせようとした時に、尾が二又に別れた猫が……ジビエに似た魔物を狩っていたところに遭遇。 料理人としての再スタートの機会を得た女性と、猟りの腕前はプロ級の猫又ぽい魔物との飯テロスローライフが始まる!! おっかなびっくり料理の小料理屋さんの料理を召し上がれ?

クズな少年は新しい世界で元魔獣の美少女たちを従えて、聖者と呼ばれるようになる。

くろねこ教授
ファンタジー
翔馬に言わせるとこうなる。 「ぼくは引きこもりじゃないよ  だって週に一回コンビニに出かけてる  自分で決めたんだ。火曜の深夜コンビニに行くって。  スケジュールを決めて、実行するってスゴイ事だと思わない?  まさに偉業だよね」 さて彼の物語はどんな物語になるのか。 男の願望 多めでお送りします。 イラスト:イラスト:illustACより沢音千尋様の画を利用させて戴きました 『なろう』様で12万PV、『カクヨム』様で4万PV獲得した作品です。 『アルファポリス』様に向けて、多少アレンジして転載しています。 

処理中です...