182 / 212
誕生日と成人祝い
2
しおりを挟む
よほど悔しかったのかエイデンを飲ませて潰そうとしたライリーは逆に催眠薬を飲まされてぐうぐう寝てしまった。――馬鹿だ。意外だったのはイーサンで飲んだら泣き上戸だったらしく、「我も……我も……。」と鬱陶しく呟きながらこちらも撃沈した。
「上の階に部屋が取ってあるから二人で今夜はそっちで過ごしといで。こっちは片付けとくから。」
リアムが片付けと酔っぱらいの介抱をしながらそう言ってエイデンにルームキーを渡した。
「ありがと、リアム。」
エイデンがそれをなんとなくためらうように受け取って私の手を引いた。ラウカーバンが親指を立てていたのにちょっとイラっと来たがまあ、協力してくれたのだから許す。
無言で手を繋いだままのエイデンと階段を上がった。その手は緊張で汗ばんでいる様だった。
ヤバイ。エイデンの緊張が移って私もドキドキしてきた。
「うわ、この階、部屋一つだけじゃない。」
VIP過ぎる部屋にビビりながら豪華なドアの前に立つ。エイデンがルームキーをさしてドアを開けると広い部屋はとても豪華だった。
「す、すごい……。」
めっちゃ奮発してくれている。奥に見えるベッドには天蓋がついていて踏みいれた絨毯もふかふかだった。調度品も一級品だと分かる木目の美しい椅子やテーブルが揃えられている。
「え、エイデン……ど、どうする?」
「き、キモうさ……えと、お、お風呂、入ろうか……。」
「う、うん。」
あわあわと二人で部屋に入る。キョロキョロお風呂を探すと猫足のバスタブには暖かい湯が泡と共にすでに用意されていた。
「は、入る?」
「う、うん。」
いつも一緒に入っていると言うのになんだか恥ずかしい。エイデンはさっさと裸になって湯船に浸かった。エイデンが後ろを向いている間に私も服を脱いでエイデンの横に浸かった。
ぽちゃん。
いつもなら今日会った事とか冗談交じりに話すんだけど……沈黙。
「エイデン?」
声をかけるとエイデンの肩がびくりと動いた。
「ちょ、パオラ……!?」
声で私がキモうさ姿からパオラに分かったのかエイデンの声が震えた。
「え、だって……き、キモうさのほうが良かった……?」
「い、いや。そりゃ、パオラじゃないと……。」
そうだよね。ちょっとホッとした。そしてまた沈黙。ちらりとエイデンを見ると耳まで真っ赤にして下を向いていた。それを見て私もなんだかぶわっと恥ずかしくなった。もー。何でよ。グイグイ来るものだと思っちゃってたよー。
「い。いつもみたいに、か、体洗う?」
「あ、うん……いいの?」
「う、ん。」
「さ、触るよ?」
いつもは何にも言わないで進んで洗ってくれるのに、いちいち聞いてくるエイデン。その動きもぎこちなくてこっちも心臓が口から出そう。いつものエイデンの手なのに背中をそろりと撫でられると違う人の手の様に感じた。
「す、スポンジ使わないの!?」
「キモうさ、毛が絡まるからっていつも素手でしょ!?」
「あ、そか……。」
「や、優しくする……。」
ぬるりと石鹸をつけた手が私の背中をほぐすように動く。
「あ、や……ぁん。」
その手が脇腹をかすめた時、変な声が出てしまった。それに気づいたエイデンの手がそうっと前に回ってくる。下から持ち上げるように胸に触れられる。やわやわと弾力を楽しむようにエイデンの指が動く。
「ふ、あ。」
動いた指が立ち上がった乳首をかすめる。
「気持ちいい?パオラ。」
恥ずかしいけどこくんと頷く。さらに刺激してくるかと思えた手は真面目に体を洗う動きだ。ちょっともどかしい。
「今日はここも洗うね。」
下肢に伸びてきた手は遠慮がちにいつもは決して触れない場所を前後する。期待して濡れてくるのが自分でも分かった。
「パオラ……ぬるぬるしてる。」
エイデンが嬉しそうに指摘する。そういう事は黙っててほしい。一通り私を洗い終えたエイデンもさっと自分の体を洗った。
「さ、上がろうか。湯あたりしちゃうよ。」
ザバリと浴槽から私を抱っこしたままエイデンが立ち上がった。正直筋肉のないエイデンが私をお姫様抱っこできるのかと驚いた。
「……パオラ。僕だって男だよ?パオラくらい抱き上げられる。」
私をフワフワのタオルでくるんだエイデンはそっとベッドの上に下ろした。
「ちょっと、待っててエイデン。」
タオルで体を隠したまま、私は昼間買ったプレゼントをエイデンに渡した。
「プレゼント。」
「これ、くれるの?開けていい?」
戸惑いながら受け取ったエイデンが嬉しそうに包装紙を開けると例のものが出てくる。
「黒……。」
「エイデンは黒が良いってライリーが。因みにリアムが青でライリーが赤。イーサンが紫。」
箱から取り出してエイデンが広げて見ている。それは夫たちのお揃いのベビードール。勿論着るのは私だ。
透けたベビードールの向こう側に息を飲んだエイデンが見えた。
「上の階に部屋が取ってあるから二人で今夜はそっちで過ごしといで。こっちは片付けとくから。」
リアムが片付けと酔っぱらいの介抱をしながらそう言ってエイデンにルームキーを渡した。
「ありがと、リアム。」
エイデンがそれをなんとなくためらうように受け取って私の手を引いた。ラウカーバンが親指を立てていたのにちょっとイラっと来たがまあ、協力してくれたのだから許す。
無言で手を繋いだままのエイデンと階段を上がった。その手は緊張で汗ばんでいる様だった。
ヤバイ。エイデンの緊張が移って私もドキドキしてきた。
「うわ、この階、部屋一つだけじゃない。」
VIP過ぎる部屋にビビりながら豪華なドアの前に立つ。エイデンがルームキーをさしてドアを開けると広い部屋はとても豪華だった。
「す、すごい……。」
めっちゃ奮発してくれている。奥に見えるベッドには天蓋がついていて踏みいれた絨毯もふかふかだった。調度品も一級品だと分かる木目の美しい椅子やテーブルが揃えられている。
「え、エイデン……ど、どうする?」
「き、キモうさ……えと、お、お風呂、入ろうか……。」
「う、うん。」
あわあわと二人で部屋に入る。キョロキョロお風呂を探すと猫足のバスタブには暖かい湯が泡と共にすでに用意されていた。
「は、入る?」
「う、うん。」
いつも一緒に入っていると言うのになんだか恥ずかしい。エイデンはさっさと裸になって湯船に浸かった。エイデンが後ろを向いている間に私も服を脱いでエイデンの横に浸かった。
ぽちゃん。
いつもなら今日会った事とか冗談交じりに話すんだけど……沈黙。
「エイデン?」
声をかけるとエイデンの肩がびくりと動いた。
「ちょ、パオラ……!?」
声で私がキモうさ姿からパオラに分かったのかエイデンの声が震えた。
「え、だって……き、キモうさのほうが良かった……?」
「い、いや。そりゃ、パオラじゃないと……。」
そうだよね。ちょっとホッとした。そしてまた沈黙。ちらりとエイデンを見ると耳まで真っ赤にして下を向いていた。それを見て私もなんだかぶわっと恥ずかしくなった。もー。何でよ。グイグイ来るものだと思っちゃってたよー。
「い。いつもみたいに、か、体洗う?」
「あ、うん……いいの?」
「う、ん。」
「さ、触るよ?」
いつもは何にも言わないで進んで洗ってくれるのに、いちいち聞いてくるエイデン。その動きもぎこちなくてこっちも心臓が口から出そう。いつものエイデンの手なのに背中をそろりと撫でられると違う人の手の様に感じた。
「す、スポンジ使わないの!?」
「キモうさ、毛が絡まるからっていつも素手でしょ!?」
「あ、そか……。」
「や、優しくする……。」
ぬるりと石鹸をつけた手が私の背中をほぐすように動く。
「あ、や……ぁん。」
その手が脇腹をかすめた時、変な声が出てしまった。それに気づいたエイデンの手がそうっと前に回ってくる。下から持ち上げるように胸に触れられる。やわやわと弾力を楽しむようにエイデンの指が動く。
「ふ、あ。」
動いた指が立ち上がった乳首をかすめる。
「気持ちいい?パオラ。」
恥ずかしいけどこくんと頷く。さらに刺激してくるかと思えた手は真面目に体を洗う動きだ。ちょっともどかしい。
「今日はここも洗うね。」
下肢に伸びてきた手は遠慮がちにいつもは決して触れない場所を前後する。期待して濡れてくるのが自分でも分かった。
「パオラ……ぬるぬるしてる。」
エイデンが嬉しそうに指摘する。そういう事は黙っててほしい。一通り私を洗い終えたエイデンもさっと自分の体を洗った。
「さ、上がろうか。湯あたりしちゃうよ。」
ザバリと浴槽から私を抱っこしたままエイデンが立ち上がった。正直筋肉のないエイデンが私をお姫様抱っこできるのかと驚いた。
「……パオラ。僕だって男だよ?パオラくらい抱き上げられる。」
私をフワフワのタオルでくるんだエイデンはそっとベッドの上に下ろした。
「ちょっと、待っててエイデン。」
タオルで体を隠したまま、私は昼間買ったプレゼントをエイデンに渡した。
「プレゼント。」
「これ、くれるの?開けていい?」
戸惑いながら受け取ったエイデンが嬉しそうに包装紙を開けると例のものが出てくる。
「黒……。」
「エイデンは黒が良いってライリーが。因みにリアムが青でライリーが赤。イーサンが紫。」
箱から取り出してエイデンが広げて見ている。それは夫たちのお揃いのベビードール。勿論着るのは私だ。
透けたベビードールの向こう側に息を飲んだエイデンが見えた。
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【R18】騎士たちの監視対象になりました
ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。
*R18は告知無しです。
*複数プレイ有り。
*逆ハー
*倫理感緩めです。
*作者の都合の良いように作っています。
オークションで競り落とされた巨乳エルフは少年の玩具となる。【完結】
ちゃむにい
恋愛
リリアナは奴隷商人に高く売られて、闇オークションで競りにかけられることになった。まるで踊り子のような露出の高い下着を身に着けたリリアナは手錠をされ、首輪をした。
※ムーンライトノベルにも掲載しています。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
クズな少年は新しい世界で元魔獣の美少女たちを従えて、聖者と呼ばれるようになる。
くろねこ教授
ファンタジー
翔馬に言わせるとこうなる。
「ぼくは引きこもりじゃないよ
だって週に一回コンビニに出かけてる
自分で決めたんだ。火曜の深夜コンビニに行くって。
スケジュールを決めて、実行するってスゴイ事だと思わない?
まさに偉業だよね」
さて彼の物語はどんな物語になるのか。
男の願望 多めでお送りします。
イラスト:イラスト:illustACより沢音千尋様の画を利用させて戴きました
『なろう』様で12万PV、『カクヨム』様で4万PV獲得した作品です。
『アルファポリス』様に向けて、多少アレンジして転載しています。
【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜
櫛田こころ
ファンタジー
料理人の人生を絶たれた。
和食料理人である女性の秋吉宏香(あきよしひろか)は、ひき逃げ事故に遭ったのだ。
命には関わらなかったが、生き甲斐となっていた料理人にとって大事な利き腕の神経が切れてしまい、不随までの重傷を負う。
さすがに勤め先を続けるわけにもいかず、辞めて公園で途方に暮れていると……女神に請われ、異世界転移をすることに。
腕の障害をリセットされたため、新たな料理人としての人生をスタートさせようとした時に、尾が二又に別れた猫が……ジビエに似た魔物を狩っていたところに遭遇。
料理人としての再スタートの機会を得た女性と、猟りの腕前はプロ級の猫又ぽい魔物との飯テロスローライフが始まる!!
おっかなびっくり料理の小料理屋さんの料理を召し上がれ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる