72 / 212
温泉でハプニングが起きないわけがない
1
しおりを挟む
ーーぎゅんと体が引っ張られて
ボチャン!!
ななな、なに!?
ブクブク……
「ぷはぁあああああ!!」
「ガハハハッ。うさ公!」
沈んだ体を首の後ろを掴んで引き上げてくれたのはライリーだった。
「ちょっとぉ!!なに!?いきなり!!びしょ濡れになったじゃん!」
「怒るな、エイデン。偶にはみんなで風呂もいいだろ?」
視界がボンヤリしていたのはどうやら湯気のせいらしかった。暖かい……湖?池?見渡せば木々が茂る山の中に岩に囲まれる池が見えた。--まるで
「おっきなお風呂みたい。」
突然呼び寄せられてお湯に沈められ、どれだけ罵ろうかと思い浮かんだ言葉を飲み込んだ。
「うさ公は初めてか?「温泉」っていうんだ。天然の風呂だな。」
「へええ!!温泉!!これ、どうやって沸かしてるの?」
「だからっていきなりここに呼ばなくてもいいのに。僕たち服もびしょ濡れだよ。」
「まあまあ。こうでもしないとエイデンもうさちゃんも一緒に入らないじゃない?偶にはみんなで親睦深めるのもいいかと思ってさ。うさちゃん、沸かしてるんじゃないんだよ。ほら、あそこから大地の熱が湧き出てきているんだ。」
「ふわぁあああ!!」
いたずらが成功した子供みたいにリアムがケラケラと笑って私とエイデンを見ていた。
「……まあ、いいけど。」
リアムに言われると嫌な気もしないようでエイデンも服を脱いで岩の向こうに荷物と一緒にポイっと投げた。
ーーしかし、天然のお風呂ってどうなってるんだ?すごいぞ!こんなに大きなお湯に入ったことなんて未だかつてない!泳げてしまうぞ!
「ハハハ!うさ公、気に入ったか?よし、あっちの端まで泳ぐか?」
はしゃいでお湯を手に救う私を見てライリーも笑う。
「向こうまで暖かいの!?」
「おうよ!」
「わーい!!」
ライリーの提案で私もカボチャパンツ一枚になって泳ぐ。すごーい!端までライリーと泳ぎ着くとふとライリーが真顔になった。
「エイデンの里に行ってきたろ?エイデンの母親の墓まいりは出来たか?」
「え?あ、うん。そっちこそ竜人はどうなったの?」
「そうか。墓参りできたんだな。ーー竜人なあ。あいつ、身体能力半端ないのな。俺、ズバーっと切られちまってよ。」
「ええ!!」
「ま、リアムがいなかったら死んでたな。戦って分かったんだが竜人ってのは飛べるし、身体能力もすごいが魔法はからきし使えないようなんだ。だから、勝ちたいなら魔法を鍛えろってリアムに言われた。まあ、二人がかりだっから楽勝で拘束したんだけど、いつの間にやら逃げられてさ。俺も治癒はしてもらったけど随分血がなくなったから少し休もうってことで山ん中歩いてたらここを見つけたわけ。すまんが2、3日はここで休むことになる。リアムが結界を張ってくれたから見つかることもないだろう。」
「そうだったのか。こっちは……。」
エイデンと結婚してきたとは言えん……。そして、パオラだとバレたとも、今この風呂に入った状態では言えない。
「リアムがな。何度言っても墓参りしないエイデンを気にかけてたんだ。うさ公逃がすのが一番だったけど、ついでに、あくまでも副産物として、うさ公がいたら墓参りする気になるんじゃないかって。」
「そっか。エイデンのママのお墓にちゃんと挨拶してきたよ。エイデンの親戚の人もすごく親切だった。」
そういうとライリーが「よくやったな、うさ公。」と私の頭をガシガシと撫でた。なんだかんだ言ってもこの三人には強い絆を感じる。なんか、こういうの、悪くないと思う。ライリーもエイデンの事心配していたんだな。この、この~~。
「おいこら、乳首つつくのヤメロ!」
ライリーの膝に乗りながらライリーの乳首をつついていると、向こうから焦ってエイデンがバシャバシャとやってきた。
「キモうさ、こっち!」
「ええ?」
「うさちゃんは俺んとこ~~。」
「ほれ、リアム!」
ライリーが私をリアムに放り投げてパスする。スポッと今度はリアムの膝の上に載せられた。エイデンが今度はリアムから私を取り返そうとして、気づいたリアムがまたライリーに私をパス。二人は完全にエイデンをからかっていた。
「ダメダメ!!キモうさと僕はもう、夫婦なんだから!他の男の人に抱っこされちゃダメなんだ!」
とうとう、地団駄踏みながらエイデンがそう言った。
リアムとライリーは間抜けな顔をしてポカンと口を開けて私とエイデンを何度も視線を往復させていてーー私は頭の中が真っ白になった。
ボチャン!!
ななな、なに!?
ブクブク……
「ぷはぁあああああ!!」
「ガハハハッ。うさ公!」
沈んだ体を首の後ろを掴んで引き上げてくれたのはライリーだった。
「ちょっとぉ!!なに!?いきなり!!びしょ濡れになったじゃん!」
「怒るな、エイデン。偶にはみんなで風呂もいいだろ?」
視界がボンヤリしていたのはどうやら湯気のせいらしかった。暖かい……湖?池?見渡せば木々が茂る山の中に岩に囲まれる池が見えた。--まるで
「おっきなお風呂みたい。」
突然呼び寄せられてお湯に沈められ、どれだけ罵ろうかと思い浮かんだ言葉を飲み込んだ。
「うさ公は初めてか?「温泉」っていうんだ。天然の風呂だな。」
「へええ!!温泉!!これ、どうやって沸かしてるの?」
「だからっていきなりここに呼ばなくてもいいのに。僕たち服もびしょ濡れだよ。」
「まあまあ。こうでもしないとエイデンもうさちゃんも一緒に入らないじゃない?偶にはみんなで親睦深めるのもいいかと思ってさ。うさちゃん、沸かしてるんじゃないんだよ。ほら、あそこから大地の熱が湧き出てきているんだ。」
「ふわぁあああ!!」
いたずらが成功した子供みたいにリアムがケラケラと笑って私とエイデンを見ていた。
「……まあ、いいけど。」
リアムに言われると嫌な気もしないようでエイデンも服を脱いで岩の向こうに荷物と一緒にポイっと投げた。
ーーしかし、天然のお風呂ってどうなってるんだ?すごいぞ!こんなに大きなお湯に入ったことなんて未だかつてない!泳げてしまうぞ!
「ハハハ!うさ公、気に入ったか?よし、あっちの端まで泳ぐか?」
はしゃいでお湯を手に救う私を見てライリーも笑う。
「向こうまで暖かいの!?」
「おうよ!」
「わーい!!」
ライリーの提案で私もカボチャパンツ一枚になって泳ぐ。すごーい!端までライリーと泳ぎ着くとふとライリーが真顔になった。
「エイデンの里に行ってきたろ?エイデンの母親の墓まいりは出来たか?」
「え?あ、うん。そっちこそ竜人はどうなったの?」
「そうか。墓参りできたんだな。ーー竜人なあ。あいつ、身体能力半端ないのな。俺、ズバーっと切られちまってよ。」
「ええ!!」
「ま、リアムがいなかったら死んでたな。戦って分かったんだが竜人ってのは飛べるし、身体能力もすごいが魔法はからきし使えないようなんだ。だから、勝ちたいなら魔法を鍛えろってリアムに言われた。まあ、二人がかりだっから楽勝で拘束したんだけど、いつの間にやら逃げられてさ。俺も治癒はしてもらったけど随分血がなくなったから少し休もうってことで山ん中歩いてたらここを見つけたわけ。すまんが2、3日はここで休むことになる。リアムが結界を張ってくれたから見つかることもないだろう。」
「そうだったのか。こっちは……。」
エイデンと結婚してきたとは言えん……。そして、パオラだとバレたとも、今この風呂に入った状態では言えない。
「リアムがな。何度言っても墓参りしないエイデンを気にかけてたんだ。うさ公逃がすのが一番だったけど、ついでに、あくまでも副産物として、うさ公がいたら墓参りする気になるんじゃないかって。」
「そっか。エイデンのママのお墓にちゃんと挨拶してきたよ。エイデンの親戚の人もすごく親切だった。」
そういうとライリーが「よくやったな、うさ公。」と私の頭をガシガシと撫でた。なんだかんだ言ってもこの三人には強い絆を感じる。なんか、こういうの、悪くないと思う。ライリーもエイデンの事心配していたんだな。この、この~~。
「おいこら、乳首つつくのヤメロ!」
ライリーの膝に乗りながらライリーの乳首をつついていると、向こうから焦ってエイデンがバシャバシャとやってきた。
「キモうさ、こっち!」
「ええ?」
「うさちゃんは俺んとこ~~。」
「ほれ、リアム!」
ライリーが私をリアムに放り投げてパスする。スポッと今度はリアムの膝の上に載せられた。エイデンが今度はリアムから私を取り返そうとして、気づいたリアムがまたライリーに私をパス。二人は完全にエイデンをからかっていた。
「ダメダメ!!キモうさと僕はもう、夫婦なんだから!他の男の人に抱っこされちゃダメなんだ!」
とうとう、地団駄踏みながらエイデンがそう言った。
リアムとライリーは間抜けな顔をしてポカンと口を開けて私とエイデンを何度も視線を往復させていてーー私は頭の中が真っ白になった。
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
オークションで競り落とされた巨乳エルフは少年の玩具となる。【完結】
ちゃむにい
恋愛
リリアナは奴隷商人に高く売られて、闇オークションで競りにかけられることになった。まるで踊り子のような露出の高い下着を身に着けたリリアナは手錠をされ、首輪をした。
※ムーンライトノベルにも掲載しています。
クズな少年は新しい世界で元魔獣の美少女たちを従えて、聖者と呼ばれるようになる。
くろねこ教授
ファンタジー
翔馬に言わせるとこうなる。
「ぼくは引きこもりじゃないよ
だって週に一回コンビニに出かけてる
自分で決めたんだ。火曜の深夜コンビニに行くって。
スケジュールを決めて、実行するってスゴイ事だと思わない?
まさに偉業だよね」
さて彼の物語はどんな物語になるのか。
男の願望 多めでお送りします。
イラスト:イラスト:illustACより沢音千尋様の画を利用させて戴きました
『なろう』様で12万PV、『カクヨム』様で4万PV獲得した作品です。
『アルファポリス』様に向けて、多少アレンジして転載しています。
【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜
櫛田こころ
ファンタジー
料理人の人生を絶たれた。
和食料理人である女性の秋吉宏香(あきよしひろか)は、ひき逃げ事故に遭ったのだ。
命には関わらなかったが、生き甲斐となっていた料理人にとって大事な利き腕の神経が切れてしまい、不随までの重傷を負う。
さすがに勤め先を続けるわけにもいかず、辞めて公園で途方に暮れていると……女神に請われ、異世界転移をすることに。
腕の障害をリセットされたため、新たな料理人としての人生をスタートさせようとした時に、尾が二又に別れた猫が……ジビエに似た魔物を狩っていたところに遭遇。
料理人としての再スタートの機会を得た女性と、猟りの腕前はプロ級の猫又ぽい魔物との飯テロスローライフが始まる!!
おっかなびっくり料理の小料理屋さんの料理を召し上がれ?
【R18】騎士たちの監視対象になりました
ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。
*R18は告知無しです。
*複数プレイ有り。
*逆ハー
*倫理感緩めです。
*作者の都合の良いように作っています。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる