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温泉でハプニングが起きないわけがない
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ーーぎゅんと体が引っ張られて
ボチャン!!
ななな、なに!?
ブクブク……
「ぷはぁあああああ!!」
「ガハハハッ。うさ公!」
沈んだ体を首の後ろを掴んで引き上げてくれたのはライリーだった。
「ちょっとぉ!!なに!?いきなり!!びしょ濡れになったじゃん!」
「怒るな、エイデン。偶にはみんなで風呂もいいだろ?」
視界がボンヤリしていたのはどうやら湯気のせいらしかった。暖かい……湖?池?見渡せば木々が茂る山の中に岩に囲まれる池が見えた。--まるで
「おっきなお風呂みたい。」
突然呼び寄せられてお湯に沈められ、どれだけ罵ろうかと思い浮かんだ言葉を飲み込んだ。
「うさ公は初めてか?「温泉」っていうんだ。天然の風呂だな。」
「へええ!!温泉!!これ、どうやって沸かしてるの?」
「だからっていきなりここに呼ばなくてもいいのに。僕たち服もびしょ濡れだよ。」
「まあまあ。こうでもしないとエイデンもうさちゃんも一緒に入らないじゃない?偶にはみんなで親睦深めるのもいいかと思ってさ。うさちゃん、沸かしてるんじゃないんだよ。ほら、あそこから大地の熱が湧き出てきているんだ。」
「ふわぁあああ!!」
いたずらが成功した子供みたいにリアムがケラケラと笑って私とエイデンを見ていた。
「……まあ、いいけど。」
リアムに言われると嫌な気もしないようでエイデンも服を脱いで岩の向こうに荷物と一緒にポイっと投げた。
ーーしかし、天然のお風呂ってどうなってるんだ?すごいぞ!こんなに大きなお湯に入ったことなんて未だかつてない!泳げてしまうぞ!
「ハハハ!うさ公、気に入ったか?よし、あっちの端まで泳ぐか?」
はしゃいでお湯を手に救う私を見てライリーも笑う。
「向こうまで暖かいの!?」
「おうよ!」
「わーい!!」
ライリーの提案で私もカボチャパンツ一枚になって泳ぐ。すごーい!端までライリーと泳ぎ着くとふとライリーが真顔になった。
「エイデンの里に行ってきたろ?エイデンの母親の墓まいりは出来たか?」
「え?あ、うん。そっちこそ竜人はどうなったの?」
「そうか。墓参りできたんだな。ーー竜人なあ。あいつ、身体能力半端ないのな。俺、ズバーっと切られちまってよ。」
「ええ!!」
「ま、リアムがいなかったら死んでたな。戦って分かったんだが竜人ってのは飛べるし、身体能力もすごいが魔法はからきし使えないようなんだ。だから、勝ちたいなら魔法を鍛えろってリアムに言われた。まあ、二人がかりだっから楽勝で拘束したんだけど、いつの間にやら逃げられてさ。俺も治癒はしてもらったけど随分血がなくなったから少し休もうってことで山ん中歩いてたらここを見つけたわけ。すまんが2、3日はここで休むことになる。リアムが結界を張ってくれたから見つかることもないだろう。」
「そうだったのか。こっちは……。」
エイデンと結婚してきたとは言えん……。そして、パオラだとバレたとも、今この風呂に入った状態では言えない。
「リアムがな。何度言っても墓参りしないエイデンを気にかけてたんだ。うさ公逃がすのが一番だったけど、ついでに、あくまでも副産物として、うさ公がいたら墓参りする気になるんじゃないかって。」
「そっか。エイデンのママのお墓にちゃんと挨拶してきたよ。エイデンの親戚の人もすごく親切だった。」
そういうとライリーが「よくやったな、うさ公。」と私の頭をガシガシと撫でた。なんだかんだ言ってもこの三人には強い絆を感じる。なんか、こういうの、悪くないと思う。ライリーもエイデンの事心配していたんだな。この、この~~。
「おいこら、乳首つつくのヤメロ!」
ライリーの膝に乗りながらライリーの乳首をつついていると、向こうから焦ってエイデンがバシャバシャとやってきた。
「キモうさ、こっち!」
「ええ?」
「うさちゃんは俺んとこ~~。」
「ほれ、リアム!」
ライリーが私をリアムに放り投げてパスする。スポッと今度はリアムの膝の上に載せられた。エイデンが今度はリアムから私を取り返そうとして、気づいたリアムがまたライリーに私をパス。二人は完全にエイデンをからかっていた。
「ダメダメ!!キモうさと僕はもう、夫婦なんだから!他の男の人に抱っこされちゃダメなんだ!」
とうとう、地団駄踏みながらエイデンがそう言った。
リアムとライリーは間抜けな顔をしてポカンと口を開けて私とエイデンを何度も視線を往復させていてーー私は頭の中が真っ白になった。
ボチャン!!
ななな、なに!?
ブクブク……
「ぷはぁあああああ!!」
「ガハハハッ。うさ公!」
沈んだ体を首の後ろを掴んで引き上げてくれたのはライリーだった。
「ちょっとぉ!!なに!?いきなり!!びしょ濡れになったじゃん!」
「怒るな、エイデン。偶にはみんなで風呂もいいだろ?」
視界がボンヤリしていたのはどうやら湯気のせいらしかった。暖かい……湖?池?見渡せば木々が茂る山の中に岩に囲まれる池が見えた。--まるで
「おっきなお風呂みたい。」
突然呼び寄せられてお湯に沈められ、どれだけ罵ろうかと思い浮かんだ言葉を飲み込んだ。
「うさ公は初めてか?「温泉」っていうんだ。天然の風呂だな。」
「へええ!!温泉!!これ、どうやって沸かしてるの?」
「だからっていきなりここに呼ばなくてもいいのに。僕たち服もびしょ濡れだよ。」
「まあまあ。こうでもしないとエイデンもうさちゃんも一緒に入らないじゃない?偶にはみんなで親睦深めるのもいいかと思ってさ。うさちゃん、沸かしてるんじゃないんだよ。ほら、あそこから大地の熱が湧き出てきているんだ。」
「ふわぁあああ!!」
いたずらが成功した子供みたいにリアムがケラケラと笑って私とエイデンを見ていた。
「……まあ、いいけど。」
リアムに言われると嫌な気もしないようでエイデンも服を脱いで岩の向こうに荷物と一緒にポイっと投げた。
ーーしかし、天然のお風呂ってどうなってるんだ?すごいぞ!こんなに大きなお湯に入ったことなんて未だかつてない!泳げてしまうぞ!
「ハハハ!うさ公、気に入ったか?よし、あっちの端まで泳ぐか?」
はしゃいでお湯を手に救う私を見てライリーも笑う。
「向こうまで暖かいの!?」
「おうよ!」
「わーい!!」
ライリーの提案で私もカボチャパンツ一枚になって泳ぐ。すごーい!端までライリーと泳ぎ着くとふとライリーが真顔になった。
「エイデンの里に行ってきたろ?エイデンの母親の墓まいりは出来たか?」
「え?あ、うん。そっちこそ竜人はどうなったの?」
「そうか。墓参りできたんだな。ーー竜人なあ。あいつ、身体能力半端ないのな。俺、ズバーっと切られちまってよ。」
「ええ!!」
「ま、リアムがいなかったら死んでたな。戦って分かったんだが竜人ってのは飛べるし、身体能力もすごいが魔法はからきし使えないようなんだ。だから、勝ちたいなら魔法を鍛えろってリアムに言われた。まあ、二人がかりだっから楽勝で拘束したんだけど、いつの間にやら逃げられてさ。俺も治癒はしてもらったけど随分血がなくなったから少し休もうってことで山ん中歩いてたらここを見つけたわけ。すまんが2、3日はここで休むことになる。リアムが結界を張ってくれたから見つかることもないだろう。」
「そうだったのか。こっちは……。」
エイデンと結婚してきたとは言えん……。そして、パオラだとバレたとも、今この風呂に入った状態では言えない。
「リアムがな。何度言っても墓参りしないエイデンを気にかけてたんだ。うさ公逃がすのが一番だったけど、ついでに、あくまでも副産物として、うさ公がいたら墓参りする気になるんじゃないかって。」
「そっか。エイデンのママのお墓にちゃんと挨拶してきたよ。エイデンの親戚の人もすごく親切だった。」
そういうとライリーが「よくやったな、うさ公。」と私の頭をガシガシと撫でた。なんだかんだ言ってもこの三人には強い絆を感じる。なんか、こういうの、悪くないと思う。ライリーもエイデンの事心配していたんだな。この、この~~。
「おいこら、乳首つつくのヤメロ!」
ライリーの膝に乗りながらライリーの乳首をつついていると、向こうから焦ってエイデンがバシャバシャとやってきた。
「キモうさ、こっち!」
「ええ?」
「うさちゃんは俺んとこ~~。」
「ほれ、リアム!」
ライリーが私をリアムに放り投げてパスする。スポッと今度はリアムの膝の上に載せられた。エイデンが今度はリアムから私を取り返そうとして、気づいたリアムがまたライリーに私をパス。二人は完全にエイデンをからかっていた。
「ダメダメ!!キモうさと僕はもう、夫婦なんだから!他の男の人に抱っこされちゃダメなんだ!」
とうとう、地団駄踏みながらエイデンがそう言った。
リアムとライリーは間抜けな顔をしてポカンと口を開けて私とエイデンを何度も視線を往復させていてーー私は頭の中が真っ白になった。
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