霧雨奇談

猫又 十夜

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謙虚

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わたしは
幽霊やら心霊やらは信じていない。
そもそもがクリスチャンである。
キリスト教の教義には
霊の存在は認められていない。


カルチャースクールの講師を終え私は
帰り路を急いでいた。
急いでいたから久しぶりに高速を使った。

私は幽霊を信じない。
だが走らせている
この車の中に
どうしようもなく
自分以外の誰かの気配がしてならない。

何か音がする訳ではない。
バックミラーに何かが映る訳でもない。
気のせいに違いないのだ。
違いないのに。

バカバカしい話だが、
その気配に私は語りかけてしまった。
「申し訳ありませんが
  降りて頂けませんか?」





「すいません。」
背後から知らない男の声がして
バタン。と後ろのドアが閉まる音がした。








海沿いの高速道路でのおはなし。
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