貴方の鳥籠に喜んで囚われる私の話

刹那

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第三話─好奇心─

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 ぴちぴち。

 雀の鳴き声で目を覚ます。

「んー。よく寝たー」

 まだ、半分意識が覚醒しておらず、とりあえず起きたということしか認識できていない。そんな、ふわふわした意識の中、あるものが目にとまる。

「………………」

 言わずもがな、あのノートである。
ノートのおかげか、恐怖という有難くない気持ちのせいで一気に脳が覚醒した。凄いな、ノート。どれだけ私を怖がれせれば気が済むんだ。明堂院よ。

「! 時間は!?」

 急いで時計を確認する。時刻は午前8時。我ながら健康的である。
あ、でも今日予定無かった。大学も休みだった。まだ、寝ぼけているのかも。

 二度寝しようにも、もう眠気はないし、何よりノートの存在を認識してしまった今、安眠なんて出来るわけがない。

「はぁ、取り敢えず朝ご飯食べよう」

 話はそれからだ。


 朝ご飯を食べ、少しばかり冷静になった頭でこれからどうしようと考える。今日は大学の授業がないからノートを返しにいこうと思えば、わざわざ第二図書館へ行くことになる。
 ......昨日の今日で流石にそんな余裕は私にはない。
 幸い、明日には授業があるので、明日返しにいけばいいかと思い、今日はのんびり家で過ごすことにする。
 そんなことを考えながらも、私の目は、ずっとノートに釘漬けだ。いくら、私の恐怖対象である、明堂院 凛翔のノートでも、その内容はとても興味深かった。

 なんというか、認めたくはないが、彼と私のアイデンティティはとても似通ったものがあるのではないかと思うほどに。
 ノートを見ながら、私はもう一人の私を見つけたような気がした。

 好奇心には負けられず、ノートを手に取る。
別にやましい気持ちはちっともない。言うなれば敵の情報を掴むためだ。うん。などと言い訳を頭の中でぶつくさ考えながら、ノートを開く。

 昨日のうちに、心理学についてのまとめは読んでいるので、後は次の項目の部分を読むだけだ。
これは昨日確認できていなかったので、一体どんなことが書かれているのだろうと思いながら読み始める。

 1ページ目には、丁寧で綺麗な字で『日記』と書かれていた。
これは、結構重要なものではないだろうか?私は普段彼が何を考えているのかさっぱりわからない。その不気味さが余計に恐怖を煽るのだけれども、もしかしたら、私の知りたい彼の内面がここには書かれているのでは?

 そう思うと、期待と恐怖で喉がなった。

 ペラリとページをめくると、私は硬直した。
何故なら、日記の初めの日付が丁度、私が初めて彼を見かけた時期と重なっていたからだ。

 もしかして、私のこと書かれてる?いや、そんな馬鹿な。
私と彼では月とすっぽんほども距離がある。私からは彼を認識することはあれど、彼が私を知るはずがない。
そう、気持ちを落ち着かせて日記を読む。

 ただ、私は日記を最後まで読んだ後、戦慄することになるとは知らずに。
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