4 / 21
第三話─好奇心─
しおりを挟む
ぴちぴち。
雀の鳴き声で目を覚ます。
「んー。よく寝たー」
まだ、半分意識が覚醒しておらず、とりあえず起きたということしか認識できていない。そんな、ふわふわした意識の中、あるものが目にとまる。
「………………」
言わずもがな、あのノートである。
ノートのおかげか、恐怖という有難くない気持ちのせいで一気に脳が覚醒した。凄いな、ノート。どれだけ私を怖がれせれば気が済むんだ。明堂院よ。
「! 時間は!?」
急いで時計を確認する。時刻は午前8時。我ながら健康的である。
あ、でも今日予定無かった。大学も休みだった。まだ、寝ぼけているのかも。
二度寝しようにも、もう眠気はないし、何よりノートの存在を認識してしまった今、安眠なんて出来るわけがない。
「はぁ、取り敢えず朝ご飯食べよう」
話はそれからだ。
朝ご飯を食べ、少しばかり冷静になった頭でこれからどうしようと考える。今日は大学の授業がないからノートを返しにいこうと思えば、わざわざ第二図書館へ行くことになる。
......昨日の今日で流石にそんな余裕は私にはない。
幸い、明日には授業があるので、明日返しにいけばいいかと思い、今日はのんびり家で過ごすことにする。
そんなことを考えながらも、私の目は、ずっとノートに釘漬けだ。いくら、私の恐怖対象である、明堂院 凛翔のノートでも、その内容はとても興味深かった。
なんというか、認めたくはないが、彼と私のアイデンティティはとても似通ったものがあるのではないかと思うほどに。
ノートを見ながら、私はもう一人の私を見つけたような気がした。
好奇心には負けられず、ノートを手に取る。
別にやましい気持ちはちっともない。言うなれば敵の情報を掴むためだ。うん。などと言い訳を頭の中でぶつくさ考えながら、ノートを開く。
昨日のうちに、心理学についてのまとめは読んでいるので、後は次の項目の部分を読むだけだ。
これは昨日確認できていなかったので、一体どんなことが書かれているのだろうと思いながら読み始める。
1ページ目には、丁寧で綺麗な字で『日記』と書かれていた。
これは、結構重要なものではないだろうか?私は普段彼が何を考えているのかさっぱりわからない。その不気味さが余計に恐怖を煽るのだけれども、もしかしたら、私の知りたい彼の内面がここには書かれているのでは?
そう思うと、期待と恐怖で喉がなった。
ペラリとページをめくると、私は硬直した。
何故なら、日記の初めの日付が丁度、私が初めて彼を見かけた時期と重なっていたからだ。
もしかして、私のこと書かれてる?いや、そんな馬鹿な。
私と彼では月とすっぽんほども距離がある。私からは彼を認識することはあれど、彼が私を知るはずがない。
そう、気持ちを落ち着かせて日記を読む。
ただ、私は日記を最後まで読んだ後、戦慄することになるとは知らずに。
雀の鳴き声で目を覚ます。
「んー。よく寝たー」
まだ、半分意識が覚醒しておらず、とりあえず起きたということしか認識できていない。そんな、ふわふわした意識の中、あるものが目にとまる。
「………………」
言わずもがな、あのノートである。
ノートのおかげか、恐怖という有難くない気持ちのせいで一気に脳が覚醒した。凄いな、ノート。どれだけ私を怖がれせれば気が済むんだ。明堂院よ。
「! 時間は!?」
急いで時計を確認する。時刻は午前8時。我ながら健康的である。
あ、でも今日予定無かった。大学も休みだった。まだ、寝ぼけているのかも。
二度寝しようにも、もう眠気はないし、何よりノートの存在を認識してしまった今、安眠なんて出来るわけがない。
「はぁ、取り敢えず朝ご飯食べよう」
話はそれからだ。
朝ご飯を食べ、少しばかり冷静になった頭でこれからどうしようと考える。今日は大学の授業がないからノートを返しにいこうと思えば、わざわざ第二図書館へ行くことになる。
......昨日の今日で流石にそんな余裕は私にはない。
幸い、明日には授業があるので、明日返しにいけばいいかと思い、今日はのんびり家で過ごすことにする。
そんなことを考えながらも、私の目は、ずっとノートに釘漬けだ。いくら、私の恐怖対象である、明堂院 凛翔のノートでも、その内容はとても興味深かった。
なんというか、認めたくはないが、彼と私のアイデンティティはとても似通ったものがあるのではないかと思うほどに。
ノートを見ながら、私はもう一人の私を見つけたような気がした。
好奇心には負けられず、ノートを手に取る。
別にやましい気持ちはちっともない。言うなれば敵の情報を掴むためだ。うん。などと言い訳を頭の中でぶつくさ考えながら、ノートを開く。
昨日のうちに、心理学についてのまとめは読んでいるので、後は次の項目の部分を読むだけだ。
これは昨日確認できていなかったので、一体どんなことが書かれているのだろうと思いながら読み始める。
1ページ目には、丁寧で綺麗な字で『日記』と書かれていた。
これは、結構重要なものではないだろうか?私は普段彼が何を考えているのかさっぱりわからない。その不気味さが余計に恐怖を煽るのだけれども、もしかしたら、私の知りたい彼の内面がここには書かれているのでは?
そう思うと、期待と恐怖で喉がなった。
ペラリとページをめくると、私は硬直した。
何故なら、日記の初めの日付が丁度、私が初めて彼を見かけた時期と重なっていたからだ。
もしかして、私のこと書かれてる?いや、そんな馬鹿な。
私と彼では月とすっぽんほども距離がある。私からは彼を認識することはあれど、彼が私を知るはずがない。
そう、気持ちを落ち着かせて日記を読む。
ただ、私は日記を最後まで読んだ後、戦慄することになるとは知らずに。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説


思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ホストな彼と別れようとしたお話
下菊みこと
恋愛
ヤンデレ男子に捕まるお話です。
あるいは最終的にお互いに溺れていくお話です。
御都合主義のハッピーエンドのSSです。
小説家になろう様でも投稿しています。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる