乙女ゲームに転生したらチートだったけど平凡に生きたいのでとりあえず悪役令息付きの世話役になってみました。

ちょっと寄り道

85.イオの朝～２〜

朝から部屋にいい匂いが漂っていて、誘われるようにサファイアの瞳がひらく。

「おはようございます。フレディ様。」

爽やかなイオの笑みに眠気まなこだった瞳が大きく開いた。そして、天使のような笑みをみせる。

「おはよう、イオ。」


(う！寝起きのフレディ様かわいい/////)

(朝からイオの笑顔は眩しいよ/////)


…。うん。

幸せそうで何より。





机の上に料理を並べてる間にフレドリックは着替える。


本当はイオがやるべきなんだけど、わがままな子に育つといけないからと最低限のことは自分でやらせる。


「イオーー。」

赤いリボンを手に持ちフレドリックがよってきた。

「やって。」

うん。

イオはフレドリックの胸元まで屈んで、リボンを結ぶ。

最低限はやらせてる。最低限は。


顔を洗い、クシで髪をすいてやる。

そしてからようやくフレドリックは朝食にたどり着ける。

「わーい！おいしそう。」

バランスよく作られた朝食に手をつける。

それを横目に見ながらイオは腕時計に目をやった。

あと3・2・1…

「おわっと！(サバサバ)………コンコン！おはようございます！」


手に書類を持ったマルルが入ってくる。


「12秒遅刻です。ペナルティとして今日は2階校舎のトイレ掃除を。自ら進んでやってくれますよね？」

最近汚れが目立っている。

まぁ、掃除婦の方々はいらっしゃいますが些か詰めが甘いですね。

「ええ～！せっかく朝食も抜いて急いできたのに!!」


「そうですか。では、私の代わりにフレディ様の身の回りのお世話、あなたが今しがた持ってきた付き人集会の書類と集会の司会者としての出席、
フレディ様の授業のまとめと、あ、今日の授業の予習はできてますよね？

お昼にはサラダとフルーツ、あとメインと副菜を付けてくださいね。出来たてでお出ししてください。でも、待たせるのはなしです。

２階のトイレですと、午前中には終わるのでとりあえずここまでやってくれれば私が引き継ぎますがなにか？」

これでも今日はやること少ないんですが。

さすがカタールということだろうかトイレが多い。全個室(男子トイレ)にいちいち飾ってる花やコサージュ。お高い花瓶は取り扱いに十分注意。2階だけでも10数箇所もあるから大変だ。

「ひぃ！アニキいつのまに付き人集会の司会引き受けてんですか？！」

付き人集会とはそのままの意味。 
  主についてきた付き人同士で情報共有をし、より過ごしやすい空間を主に提供するための集まり。

先輩方の話はホントためになる。


「今日の題材は学食のメニュー考案に向けてです。」

「それ付き人の仕事じゃなくない？！」



(…僕のランチ全部イオの手作りなんだけど？？？？)


なんでそんな仕事引き受けてるんだろ？？



イオとは長い付き合いになったと思ったがフレドリックにもまだまだ分からないことだらけだ。。。