乙女ゲームに転生したらチートだったけど平凡に生きたいのでとりあえず悪役令息付きの世話役になってみました。

ゆずれないもの

71.

…








「お世話になりました。」


ヤナの黒髪と同じくらい学生用黒いローブ。そこには2学年の印である赤いリボンと、自由で決められるからとアメジストにしたブローチ。


「楽しんできなね。体調には気をつけて。

いじめられたら、」

「「倍返し！」」

イオとヤナは顔を見あわせて笑った。




明日はダヴェール学院での入学式。





ヤナは入学の付与を受けたら、成績通りの2学年から始まる。

荷物はルルーシアにきてからずいぶんと増えた。

なんだかそれが嬉しくて、ヤナは心が暖かくなった。



「…ヤナぁ。」

まあ1番驚いたのはこの人だ。


「どうせ長期休みでも帰ってこないんでしょ！イオのように!!!!!!」

「根に持ってんなぁ。」

気まずそうにイオは頭の後ろをかく。

「フレドリック様大丈夫だよ。

友だちだろ。離れても手紙書くから。」

「うう～。」

そう。



俺たちは友だちというものになった。






「大丈夫。俺はお兄ちゃんみたいな魔道士になるから。」


「そしたらうちで雇ってあげるよ。」

「それは遠慮しとく。」


フレドリックはショックで口をぱくぱくさせた。

「ええ!!!!!!」


それに対してヤナはにやっと笑う。

「俺は新しい世界にお兄ちゃんが連れてきてくれて嬉しんだ。
ここにはもう俺を縛り付けるものは無い。

だから自分の可能性をみたい。

自分の道をいきたい。」


お兄ちゃんとは違うけど……。


「それでいつかお兄ちゃんの役に立てるような弟になりたい。応援してくれる？」


「うん！ヤナがそうしたいなら。」






ヤナは最後に満面の笑みで魔方陣の中に入った。眩い光が放たれ、

そして、ヤナはダヴェール学院に行った。