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最終章

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「変わろうと思った。慶太、お前だけを愛してるから…っ」

「……っ」

「お前にも、俺だけを見て欲しかった。俺がお前だけを見てるようにお前にも。お前の友達にも敦にも嫉妬して…そんな感情初めて持って。…お前は、楽しそうにそいつらの中で笑ってて…そしたら俺、分かんなくなって…愛し方が分かんなくって…」


一つ一つ。

振り絞るように言葉を紡ぐ。


「浮気した。女抱いたよ…。俺の誕生日。お前が来てくれた日。初めて浮気した」


あの日。

目の前で何が起こってるのか分からなかったあの日。

今でも鮮明にに僕の頭によみがえる。

苦しくって胸をぎゅっと掴んだ。


「泣くかな?って。喚いて叫んで、『別れたくない』とか言うんじゃないかって。お前の気持ち、分かんじゃねぇか、なんて、思って…」

「…最低だよ」

「だよな。…ホント…最低だよ、俺」

「…」

「お前、どんどん人の事避けるようになって、敦も離れて、慶太には俺しかいなくなって。…俺だけのお前にしたくって…浮気、やめなくて」

「……僕のことは…考えてくれなかった…ってことでしょ?」

「……慶太…」

「僕が、どんなに辛かったか、それは考えてくれなかったんでしょ!」

「…」

「そんなの…玲人が楽になる…それだけじゃないか」


辛かったんだ。

愛されてないのではないかと。

いつも疑心暗鬼で。

玲人の『愛』が分かんなくって。


「その通りだよな、本当に。……お前の事、離してやれって敦に言われた事あるんだ」

「あっちゃんが…」

「お前が高校卒業で俺と別れようとしてるって事、気づいた時。…ここで離してやれって、もう慶太のこと解放してやれって。俺もそうすべきだって思ったんだよ…でも…無理なんだ」

「……」

「離してやれないんだ。俺…お前がいないと、ダメなんだ」

「…勝手だよ…」

「分かってる。それでもダメなんだ。…お前といると苦しい。でもいないともっとずっと苦しいんだよ!」


これ以上後ろには下がれなくて。

もう。

逃げられなくて。


「来ない…で」

「お前が横にいるだけで、よく寝れるんだ」

「…来ないでよ…」

「メシ、慶太のじゃないと味がしねぇよ」

「来ちゃ…だめ…」

「お前が「ただいま」って「お帰り」って言ってくんねぇと、あそこは俺の家じゃないんだ」

「…ぅ…っ」


じりじりと。

玲人が目の前まで歩み寄ってきて。


「迷惑かもしんねぇ。こんな自分勝手で独りよがりな俺になんて、二度と会いたくなかったかもしんねぇ。でも…お前を愛する事、俺には止められないんだ」


そして。

僕の事を抱き寄せる。


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