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最終章

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ーside 水野慶太ー


今日の仕事が終わって。

なんとなく足がそちらの方向へ向いた。


自分の家へ向かうバスとは違うナンバーのバスに乗って。

窓の外を流れる風景はいつもと違って。

そしてたどり着いた先は。


セントエリザベスパーク。


実施にやって来たのはこれが初めて。

自分の想像のものよりもはるかにキレイで。

すごく幻想的で。


今年の冬になったらライトアップされたのを見に来たいな、なんて。

ぼんやりと思いながら、どんどん進んでいった。


行き着いた先には、大きな石像が立っていて。

「これ誰なんだろ?」なんてのんきに考えてた。

そしたら。



「…慶太」



今…何か聞こえた?

それは確かに耳になじんだ声だった。


僕はゆっくりと振り返る。


「玲人……なんで…」

「ここ…夏でもきれいだな」

「ぇ…」

「日本でも見れるなんて言ったけどさ。無理だよな、これは」

「……」

「冬、ライトアップもすげぇよな。きっとさ」

「…」

「お前、言ってたもんな。見たいって」



聞いて…た?

聞いてない感じだったのに。

全然興味なさそうだった、つまらなそうにしていたのに。

上の空だったくせに。



僕から決して目をそらさず穏やかな表情で笑う玲人から。

僕も目を離すことができない。



「慶太…俺、やっぱり好きだ」



玲人はそう言いながら。

ゆっくりと。

でも確実に一歩一歩。


僕に近づいてくる。


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