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最終章
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しおりを挟むーside 水野慶太ー
『…ケータ!』
『ハイ』
『ハイ、って…。大丈夫?ボーっとしてたけど』
『ぁ、うん。大丈夫だよ』
三日経った。
玲人は来なくなった。
自分が拒絶したんだ。
もう日本に帰ってしまったかもしれない。
お母さんが言ってた。
玲人の話。
僕はちゃんと聞いていたのか。
僕が聞いていなかった話。
玲人はそれをするために来たのだろうか。
わざわざ、こんな遠いところまで?
そんな思いを振り払うかのようにブンブンと頭を左右に振る。
「慶ちゃん、後悔、って言うのは、しないほうがいいわ」
「考えなさい。逃げずにちゃんと」
お母さんの声が頭の中で何度も繰り返し流れる。
後悔。って何?
だってもう逃げ出したんだもん。
楽になりたくて、逃げたんだもん。
考える。何を考えるの?
だって考えたら、溢れちゃうよ。
閉じ込めておかないといけない思いが。
でもね。
覚えてるんだ。
今日。
玲人の誕生日なんだよ。
玲人、君は覚えてないよね。
僕の話した事なんて。
あの時も上の空だった。
全然興味も示してくれなかった。
七月の今。
きっと今そこはたくさんの花が咲いていてそれは見事なものだろう。
十二月。
クリスマスが近づけば、色とりどりと飾り付けられる。
写真を目にした瞬間に目を奪われたんだ。
君と一緒に見たいと。
こんなに素敵なものを君と見られたら、どれだけ幸せなのだろうかと。
僕の好きなもの。
興味のある事。
君にも少しでもいいから知って欲しかった。
「セントエリザベスパーク」
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