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最終章
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しおりを挟む慶太を探し始めて二日目。
俺はホテル近くのカフェで慶太を見つけた。
二人で話し合って、慶太は俺の元へ戻ってきてくれた。
なんてそんな簡単にいくわけもなくて。
すでにこっちに来て十日が経っている。
もうどれだけのカフェを回ったのだろうか。
毎日毎日。
それこそ文字通り朝から晩まで。
受付の人が言ったのは大げさなんかじゃなくて。
チェーン店なんかを入れれば本当に1ブロックごとに店はある。
そして今日もその中の一店へ足を踏み入れた。
『あ…すみません』
『なにか?』
『ここで、ミズノケイタは働いてないでしょうか?』
『…いや、いないけど』
『そうですか…あの、他の店舗で働いてないかどうか調べてもらう事とかできませんか?日本人の男なんですよ。二十二歳で…身長は…』
『ちょ、ちょっと待って。…調べるって言ったって、うちチェーン店で、多分100はあるよ?一つ一つと連絡取ったりなんかしないって。それに今は日本人もそんなに珍しくないしさ…』
『…そう、なんですね。わかりました。ありがとうございます』
『役に立てなくてごめんね』
はぁ。また収穫なし、か。
ショックはショックだけど、少しだけ慣れだしたような気もしなくはない。
毎回同じような答えだから。
けれど、前へと進む足は一向に止まらない。
探せば。
探し続ければ。
その長い道の先には、きっと慶太がいるんだ。
だから。
『すみません』
『どうしました?』
俺はまた違うカフェへと入っていく。
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