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最終章
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しおりを挟むーside 水野慶太ー
「…ん……ちゃん……慶ちゃん!」
はっとして顔を上げる。
「どうしたの?…ご飯、おいしくなかった?」
「あ…違います。ごめんなさい。おいしいですよ、すごく」
「そーお?それならいいんだけど…」
「慶太、何か悩み事とかあるのか?」
「いえ…なんでもないです」
僕と冴香さんと父。
三人で食べる食事。
でも僕が気になってたのは佐倉さんからのメールだ。
プレゼントって…。
住所も教えてないし。
てことは送ってくるはずもないし。
うーん、よく分からない。
「慶ちゃん、何か悩み事?あるなら言ってちょうだいよ」
「悩み?…いや、悩みと言うほどでも…」
「あ、もしかして…恋の悩みとか?」
「ち…違います!」
「あー、そんなに慌てるってことは、そうなの、やっぱり」
「お、そうなのか?どんな子だ?バイト先の子か?」
「だから、違うんです。…そんなんじゃ…」
「ふふっ、剥きになっちゃって。慶ちゃん、かわいいんだから」
「…からかったんですね」
「ごめんね?…でも、本当に悩みがあるなら言ってよね?」
「はい…分かりました」
「よし、じゃ、ご飯食べちゃいましょう。…慶ちゃん、おかわりは?」
「いただきます!」
「おい…冴香。俺にもおかわり…」
「あ、あなたは後ね。慶ちゃんが先」
最近冴香さんが前に言ってた事がちょっと分かる気がする。
冴香さんの前だと父はなんと言うか…本当に…うん。
耳垂れてる感じ?
しょぼくれてる父がおかしくって思わず笑ってしまった。
「おい、慶太…何笑ってんだ」
「何でも…ないです…あははっ!」
「はい、慶ちゃん、いっぱい食べてよね。…ほら、あなたも、お茶碗貸して」
「…あ、あぁ」
佐倉さんからのメール。
きっと考えたって答えは出ないよね。
もしかしたら特に意味はないのかもしれないし。
でも。
あの人にそう言われて。
なんかいいことが起こりそうな気がして。
ちょっとだけワクワクしてるんだ。
だから、僕はまだ分かってなかったんだ。
この「プレゼント」の本当の意味するところを。
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