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最終章
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しおりを挟む「あーあ、最低」
「……」
「最低だわ、お前。…………けど…」
「…なんすか?」
「好きな奴を誰かの手に任せるような情けない奴じゃない事が救い…かな」
「あんた…」
「そんなくだらねぇ事言い続けるようなやつだったら殴り飛ばしてたわ」
「………」
「言っとくけどな、俺は絶対にお前を許さない。ケイが苦しんだ事考えたら許せるわけもねぇ。最低な奴だよ。最低な浮気野郎だ、お前は」
「…そうですね。許してくれるとは、許してもらおうとは…思いません。ずっとその事を一生言われ続けたとしても、それでもやっぱり慶太とこれからを歩いていきたいから」
俺の未来へ続く道。
慶太の未来へ続く道。
その道を二人して歩んでいきたい。
「ケイは……俺のところにはいねぇよ」
「え?じゃ…どこに…」
「さぁね」
「さぁね、って知ってんだろ?」
「…ケイは、日本にいないんだ」
「日本に…いない?」
どういうことだ?
頭の中がぐちゃぐちゃでなんかよく理解できない。
日本にいないって……
「カナダ。バンクーバー。カフェ。」
「…何言って…」
「その三つだ。俺がお前に与えるアドバイスはその三つだけ。」
「カナダ…バンクーバー……カフェ?」
「探せるもんなら探してみな」
「探すって…は?」
「どんくらいあんだろうな。百ってことはねぇだろう」
「………」
「俺が教えるのはココまで。…大体何が悲しくってお前にこんな事教えなきゃいけねぇんだっつーの」
心底嫌そうな顔をしている目の前の男。
苦々しそうな表情で頭を掻いている。
唖然とする俺をちらりと横目で伺って。
ふぅ、と一度息を吐いた。
「探してみろよ」
「…」
「見つけてみろ」
「……あんた…」
「見つけろ。お前の思い、本気なんだと、ウソじゃないんだと、俺に証明してみろや。…見つけきれないなら…もうそこまでだ。もう二度と、お前がケイに会うことはない」
「………」
「ま、俺にとってはそっちの方が都合がいいけどな」
「……てやる」
「は?」
「…絶対、見つけてやる」
「へぇ、どっからその自信は来るんだろうな」
「見つけるっつったら見つけんだよ!」
「……あっそ。………じゃ、俺帰るわ」
ひらひらと手を振りながら。
踵を返し去っていく男に心の中でもう一度誓う。
絶対に慶太を見つけてみせる。
お前には渡さない。
誰にも、渡しはしないんだ。
そのまま去るかと思った男は五メートルほど歩いてからまた俺の前に戻ってきた。
「そういえばさ、俺忘れてたんだけど…」
「…何を?」
次の瞬間、そいつのこぶしが俺の顔めがけて飛んできた。
避ける暇さえなくて見事に食らう。
「一発殴らせろや」
「…殴ってから言うなよ。つか、殴んねぇんじゃなかったのか」
「殴らねぇとは言ってないだろ」
「……」
「本当は一発なんかじゃ全然物足りねぇけど、ま、今のところはこれでいいわ。じゃな」
そして今度こそ本当に去っていく。
カナダ。
バンクーバー。
カフェ。
絶対に見つけてやる。
慶太。
お前に会いに行くよ。
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