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最終章
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しおりを挟むーside 日比野敦ー
慶太が出て行ったと玲人から聞かされたとき。
もちろん、玲人に対する怒りはあった。
あいつが浮気なんてしなければ。
ただ愛するという事に背を向けなければ。
今でも慶太は玲人の隣にいた。
だから、殴りたい衝動に駆られたけど。
でも「とうとうこの時が来たんだな」というその思いのほうが強かった。
それと同時に。
四年前、慶太は俺に言ってくれたのに。
今回は何も言ってもらえなかった。
そう。さよならさえ。
そんな不甲斐ない、情けない自分がいて。
あいつの事をただ責める事もできなかった。
慶太。
なぁ。玲人が浮気を始めて。
お前の笑顔が減っていって。
表情をなくしていって。
慶太。
今度は、玲人だ。
あいつから表情が無くなっていったよ。
本人は気づいてないんだろうな。
笑えてるつもり。
冗談を言えてるつもり。
怒ってるつもり。
他人には気づかないかもしれない。
でも俺には分かるんだ。
なぁ、慶太。
今でも俺はやっぱりこう思わずにはいられないよ。
玲人にはお前が必要だと言う事。
慶太、お前もそうじゃないのか?
違うのか?
お前が笑うには。
泣くには。怒るには。
そして、愛するには。
玲人が必要なんじゃないのか?
それとも。
お前は今あいつのそばにいるのか?
別の誰かを見つけたのか?
佐倉伊織。
あいつの元で笑っているのか?
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