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最終章
3
しおりを挟む「で……どうなの?」
「…なにが?」
「いや、生活とか?ちゃんと出来てんのかなぁ、と」
「ガキかよ、俺は。……出来てなかったらお前と飯なんか食ってねぇよ」
本当にこいつはいつも急だ。
今日だって一時間前に電話かけてきて。
「あ、玲人?今日、暇だろ?メシいこうぜ」
まったくふざけてる。
でも、正直一人で食事をするよりは気がまぎれる。
このウザさに今は感謝をするべきなのかもしれない。
「あっそ。ま、げっそりしてるかと思いきや意外とそうでもねぇし。あっちゃん、安心!」
「…自分で自分の事あっちゃんとか呼んでお前空しくねぇの?」
「だって、もう俺のことそう呼んでくれる人いないんだもぉん」
「………」
「慶ちん…なにしてんだろうね」
「…さぁな」
「ふーん。興味もなくなっちゃったんだ」
「…違っ」
「愛想つかされて出て行かれて?そしたらもうどうでもいいんだぁ」
「………何が言いたいんだよ」
一見からかっているようだが実際はそうじゃない。
こいつはいたって真剣だ。
「別に…」
「…どうしようもねぇよ」
「諦めがいいんだね、玲人は」
「……」
諦め?そうなのか?
俺は慶太のこと、諦めてしまったのか?
だとしたら。
この寂しさも。この孤独感も。
なにもかも。
いずれ慣れる時が来るのだろうか?
身体にあいた目に見えない大きな穴。
それが塞がる時は来るのだろうか。
「部屋とか、散らかってたりすんじゃねぇの?」
「…いや、昨日掃除したよ」
「へぇ」
「ただ…」
「……ただなに?」
「引っ越そうかと思ってる。…やっぱ、一人であそこはでかいしな」
「別のやつ連れ込もうとかは思わないわけ?」
「…ない」
「ま、そこまでクズじゃねぇよな、いくらなんでも」
ちくりちくりと敦の言葉にとげがある。
こいつに慶太のことを言ったのは、慶太が出て行って一週間経ってからだった。
自分の気持ちの整理がつかなったのと。
いなくなったと言う現実を言葉にしたくなかった事と。
もしかしたら。
戻ってくるんじゃないかっていうのと。
俺が告げたとき。
敦、俺はお前に殴られるかと思ったよ。
なのに。
おまえはただ寂しそうに笑っただけだったな。
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