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大学生編
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しおりを挟む機嫌をよくしたそいつは菓子やらジュースやらたくさん選んでかごに入れていく。
鼻唄なんか歌って。
支払おうとするそいつの横に入って俺が払った。
その行為に別に意味はない。
レジに立ってる間、なぜかチラチラ外を気にするあいつ。
「なんかあんの?」
「…え、何?」
「外。お前外ばっか見てんじゃんさっきから」
「なんでもない!…あ、ほら、終わったし行こ?」
ごまかされた感はあったが別に突っ込む事でもないし。
たいしてこいつのしてることにも興味なかったからそのままにする。
コンビニを出て、そこからすぐ近くのそいつもマンションへと向かった。
ひたすら話しかけてくるそいつに俺はただ相槌を打って。
ときにはちゃんと聞いてるようにふるまって。
そしてマンションに着いたとき。
急に腕が引っ張られる。
突然の事で。
避ける暇もなすぎて。
唇が触れた。
そして何事もなかったかのようにそいつは俺をマンションの中へと押しやる。
「おい…なんだよ、今の」
「なにって?キ・ス?」
「だれがしていいって言ったよ?」
「えーだって、デートでしょ、これ?キス位するよね、デートだもん」
まさか慶太がいるなんて。
一部始終を見てるなんて。
俺の意思じゃない。
いくらそう言ったって、今の俺は信じてもらえないだろうけど。
部屋に入るなり今度はベッドに向かって押された。
「いい加減にしろ!…お前とはしねぇ」
「…知りたくないの?」
「それとこれとは…」
「一緒だよ。ねぇ、抱いて?そしたら…全部教えてあげる」
全…部?
相手の事も、なにもかも?
どんなやつだ?
どんな顔をしてる?年は?何をしてるやつ?
なんで慶太はそんなやつと?
ひきつけられずにはいられない。
知りたい。
今こいつを抱けば…
今迄だって何度も抱いたじゃねぇか。
後一回くらい…
けど。
「…無理」
「なんで?教えるって言ってるんだよ?知りたくないの?」
「知りてぇよ…けどさ…もう無理だわ」
「そんなことない。…きっと僕の身体に触れたら…思い出させてあげる!」
(断られたことなんかないんだろうな、こいつは。)
興奮しながら俺のジーンズに手をかける。
「何してんだ…やめろ!」
「レイは、今日は何もしなくていいよ?僕がしたげるね」
「…無理だから…やめろよ」
ジッパーを下げられて。
中から俺のモノを取り出して。
シュッシュと上下に扱き出す。
「……」
「ぇ…なんで?」
俺のモノは萎えたまま反応を見せない。
口に含まれても何をされても。
今までだったら絶対にここでアウトだった。
ましてやもう一ヵ月以上誰ともしていない。
こんな風に奉仕されれば絶対に勃ってたはずだ。
でも、最後だと思ったんだ。
ここが最後のポイントだと。
ここを過ぎてしまえばもう戻れないと。
慶太は絶対に戻ってこないと。
遅すぎる。
そんなのは分かってるけど。
ここだけはどうしても越したくはなかった。
着衣の乱れを直して俺は静かに立ち上がる。
「悪い…もういい。帰るわ。…これが最後だから」
部屋のドアを出るその時。
後ろで呟きが聞こえる。
「……家の近くのファミレス。六時くらいに明日行ってみたら?」
(ファミレス?…あ、あそこのか。)
「もう無理だと思うけど?」
涙を瞳いっぱいにためて、それでも意地でそいつは俺を睨みながら笑った。
見たくない。確かめたくない。
でもやっぱり知りたい。
明日、行ってみようか。
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