僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

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大学生編

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玲人が笑って。

そんな玲人にあの子も笑い返して。

二人で買い物をして。

玲人が支払って。

二人で外に出てきた。


その一部始終を僕は見ていた。


コンビニから離れようとする二人。

僕は、二人の後をつけたんだ。

何をやっているのだろうか。

こんなのまるでストーカーだ。

でもやめられなかった。


かなり距離を開けて二人の後を追う。

だから会話の内容なんてまったく分からないし。

表情もあんまり見えない。


どっちかって言うと男の子の方が一方的に玲人に話しかけてる感じ。


そして、大きなマンションの前までやってきた。


その時。

男の子がこっちを向いたんだ。

ドクン、と心臓が騒ぐ。

きっと彼は僕がいるのに気づいてたんだと思う。


とびっきりの、誰が見てもかわいいと思う笑顔。

そんな顔して、僕に微笑んだんだ。


それから。

玲人の腕に自分の腕を絡めて。

すこし背伸びをして。


彼は玲人にキスをした。


ちゅっと口付けて。

すぐに離れて。


玲人をぐいぐいと引っ張るようにマンションの中へと入っていく。


彼は最後にもう一度こっちを振り返った。

そして彼の口が動いたんだ。


きっとこう言ったんだと思う。


「バイバイ」


二人がマンションに消えた後も、僕はしばらく動く事ができなかった。

少ししてはっと我に返って。

そして僕の足は動き出す。


無心でひたすら歩き続けて。

着いた先は、僕と玲人の部屋だった。

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