僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

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大学生編

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ーside 水野慶太ー


ふらふら。

これが今の僕に一番当てはまる言葉なのかなぁ。


「別れたほうがいいかも」

玲人にそう言ったはずなのに、結局僕はまだあのマンションにいて。

玲人とは別々の部屋を使っているけど、でもまだずるずる一緒にいて。

彼にご飯を作って。

「おいしい」と言ってもらえるとやっぱり嬉しくて。

僕が「自分の」部屋に入るときに玲人が寂しそうな目をするのも嬉しくて。

そんな毎日を送っていて。


それと同時に。

佐倉さんと毎日会って、話をして。

彼は僕を楽しませてくれて。

僕は笑顔になって。

もしかしたら玲人は今頃…なんて考える時間を少なくしてくれて。


でも僕は彼の気持ちに何の答えも出していない。


佐倉さんと出会ってどれくらい?

アレが二月の頭だったから、約一ヶ月か。

彼に気持ちを告げられて…二週間くらい。


あれ以来佐倉さんは無理に僕の答えを聞いてこようとはしない。

だからそれに甘えて何も言わずにいる僕。

佐倉さんと会う一日一日はとても新鮮だったから。

僕のこの今までの生活になかったものだから。


だからとても楽しくて。

彼の手を離せなくて。

でも、玲人の手も離せなくて。


いいところばかりをとって僕は毎日を過ごしていた。

すごく楽になった気がしていた。


最低だと言われようが。

このままの生活が一番楽なのかも。

とか思ったりしてた。


調子に乗ってたんだ。

ふらふら。ふらふら。

愛する人との生活と。

愛してくれる人とのひと時の間で。


僕は。

ふらふらふらふら。


きっと神様はずっと見てたんだよね。

僕のそんなずるさを。


だからあんなものを。


玲人。

やっぱりもう。


僕らはきっと………


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