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大学生編
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しおりを挟むあれから僕らはお互いの大学の入学式に間に合うように急いで引越しを済ませた。
僕ら二人の家。
まだ築三年という新しいマンションだった。
玲人はあまり広くないといっていたが僕には充分広くて。
リビングがあってキッチンがあって。
寝室があって、プラス小部屋?みたいなのがあって。
間取りとしては1SLDKになるのかな?
引っ越してすぐはやはりなんか落ち着かなくて、自分の居場所というものを確保するのに苦労した。
やっぱり一緒に暮らすというのはすごく特別なんだと思う。
毎日玲人が家に帰ってきて。
一緒にご飯を食べてテレビを見て。
お互いの体温を感じながら一緒のベッドで眠る。
同じ空気を吸っているんだとしみじみ感じた。
平和な時間。
とても穏やかな時間。
でもそれに終わりが来るという事もどこかで分かってはいた。
いったん大学が始まってしまえば玲人はあっという間に人気者になった。
それは高校のときと変わらずに。
そして、新歓だコンパだと彼は引っ張りだこになる。
帰りも必然的に遅くなって以前よりもずいぶん広い空間で僕は一人で過ごす時間が増えていく。
寂しさを紛らわすためにひたすら料理を作って掃除をしてお風呂を沸かして。
そうやっていつも玲人の帰りを待っていた。
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