170 / 327
過去~高校生編2
74
しおりを挟む「あっちゃん、行っちゃった…」
「行ったな」
そして僕らは二人きり。
とりあえず何か言わなきゃと思って出た言葉がこれだった。
「あの…玲人。卒業おめでとう」
「いや卒業おめでとうって…お前もだろ?」
「ぁ……そうだった」
ははは、と玲人は大きな声を上げて笑う。
先ほどまであっちゃんに触られていた髪に今度は玲人が触れた。
わしゃわしゃと僕の髪は乱された。
「ちょ…と、玲人、もうやめてよ」
「悪ぃ悪ぃ。敦の言うようにお前の髪触り心地よすぎなんだよ」
「褒め…てるの?」
「あぁ、褒めてる」
「ありがと…」
「どういたしまして」
あちこちにツンツンと乱れまくってる髪を今度は優しくなでて整えてくれる。
「…ていうか、それにしても玲人、荷物大変そうだね」
そんな玲人の足元やもう一歩の手には花やらプレゼントやらたくさんだ。
僕はジーっとそれに目をやる。
「なんか…すげぇよな…。あ!よかったらさ、この花とか慶太どう?家に飾る?」
そう言っていくつかの中から一つ選んで僕に差し出してきた。
「…だめだよ!玲人がもらったんでしょ?もらったからには玲人が責任もってちゃんとお世話するの」
「……そうだな」
「そうだよ」
「俺が花の世話か。……なんか想像つかねぇ」
「………確かに」
「おい!慶太、なんつった?」
「何も言ってません……」
これだけたくさんのお花が玲人の家の中に所狭しと飾られる。
そしてそのお花たちのお水を毎日代えてあげて。
もしかして話しかけたりなんかして?
どうしよ。
なんか…笑いが。
「ふ……ふふっ…ははっ」
「慶太お前…変な想像したろ」
「して…なぃよ?あははは!」
「こら!笑うのやめろよ」
「ふふ…分かった!ははっ…は…は~あ」
「こんなに花いっぱい。俺にどうしろって言うんだよな?」
眉間に皺を寄せながら、ちょっと睨む感じで花たちを見てる。
「じゃあさ…慶太。毎日水代えに来てくれよ」
「え?」
びっくりした。
まさかそんな展開になるなんて。
でも。
今が言い出すタイミングなのかもしれないと思った。
12
お気に入りに追加
247
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
その日君は笑った
mahiro
BL
大学で知り合った友人たちが恋人のことで泣く姿を嫌でも見ていた。
それを見ながらそんな風に感情を露に出来る程人を好きなるなんて良いなと思っていたが、まさか平凡な俺が彼らと同じようになるなんて。
最初に書いた作品「泣くなといい聞かせて」の登場人物が出てきます。
※完結いたしました。
閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。
拙い文章でもお付き合いいただけたこと、誠に感謝申し上げます。
今後ともよろしくお願い致します。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
紹介なんてされたくありません!
mahiro
BL
普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。
けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。
断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる