僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

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過去~高校生編2

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そのまま冬休みも終わって、いよいよ大学入学共通テストがやって来た。

T大に行くにはここでしくじってちゃダメなんだ。


僕の高校から共通テストを受ける人たちがそこにたくさん集まっている。

僕ももちろんその中の一人で。

玲人もそうで。


「…緊張してんのか、慶太?」

「ぁ…うん、どうだろ」

「今日と明日の二日。これが勝負だよな」

「そうだね」

「自己採点するじゃん?……勝負しよっか、点数?」

「急にどうしたの?」

「…それで俺のがよかったらさ…そしたら…」

「……そしたら?」

「…いや、なんでもねぇ。ごめん、ちょっとあいつらんところ行って来るわ」


そう言って別の友達のところへと走り去ってしまった。

玲人はなんて言おうとしたのだろう。


『そしたら……なんか俺にプレゼントくれよ!』


これはないよね。

今まで一度ものねだられた事ないし。


『そしたら……飯俺のリクエストだらけにしろよ!』


ある…かも。

でもそんなのいつだってそうしてあげる。


『そしたら……そしたら…俺から離れるなよ?』


そんな答えを思いついたときにふっと笑いがこぼれた。


まさかね。

そんなわけないか。


もう抱いてもくれないのに。

もう興味さえなくなりかけてるのに。


友達と何かふざけて笑いあう玲人の事を見つめる。

とてもとても楽しそうな玲人を。


あの空間の中に僕はいない。


彼から目を反らして、今度は自分の手を見る。

右手中指にされたシルバーのリング。

片時もはずさずしてるものだから少しだけ傷がついてしまった。


それに手をやりくるくると回してみる。


(これとったらきっと日焼けの跡とか残ってるんだろうな…。)


そしてその日が近いことを僕は感じずにいられなかった。

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