僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

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過去~高校生編2

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玲人の唇が僕から離れた。

僕はそっと目を開けてみる。

目の前の玲人は少しいたずらっ子みたいな感じの笑いを浮かべていた。


「今年の慶太の初キスもーらい!」


玲人、僕のキスは初も二度目も三度目も玲人のなんだよ?


それは僕のセリフなんだ。

玲人の今年初めてのキス。

それは僕がもらったよ。


「それじゃ……二度目は?」

「慶太?」

「今年二度目の玲人のキスもらってもいい?」


そう言って今度は僕のほうからちゅっと軽く口付けた。

少しだけあっけに取られる玲人。

でも。


「3度目も俺のものにする」


次のキスはもっと深いキス。

僕の全てを奪っていくような激しいキス。

飲み込みきれない唾液がつーっとあごへと伝い落ちた。

四度目も五度めも。

抱き合うことはなく、僕らは何度もキスばかりを繰り返した。


てっきりそのままそういう方向へなだれ込むのかと思ってたけど。

「俺風呂行って来るわ。」と、お風呂場へ玲人は一人で行ってしまった。


その後も少し話をして、少し勉強して。

いつもみたいに身を寄せ合うみたいに狭いベッドに二人で入って。


でもやっぱり僕を抱きはしなかった。


ねぇ、玲人。

最近玲人は僕の事抱かないよね。

それは違う大学へ行くと僕が決めてしまったからなの?

僕が君と離れると気づいたからなの?

もう僕は用無しですか?

離れていく相手を抱くような時間はない?


玲人の今年初めてのキスは僕とだった。

でも。

君の今年初めてのセックスはきっと僕とじゃないよね。


きゅっと玲人に抱きつくと玲人も抱きしめ返してくれる。


ねぇ玲人。

僕、君と別れるよ。

離れるんだけど。


それでもやっぱりまだ君のぬくもりが欲しいって思う僕に君は気づいてますか?


そして欲張りだとでも思ってるのかな?

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