157 / 327
過去~高校生編2
61
しおりを挟む「慶太のことなんだろ?前も言ったけど、お前が急にここに来るなんてそれくらいしかねぇしな」
「………」
「………聞いたのか?」
「…聞いたって、何を?」
「聞いたんだろ、大学の事」
言葉が出なかった。
俺が昨日まで知らなかったことを、なんで敦が知っているんだ。
「いいか、怒んなよ!これで慶太にキレたりしたらマジで許さねぇから」
「…分かった」
込み上げる怒りとどす黒い感情を何とか自分の中で押さえ込む。
「俺もそんなに前から知ってる訳じゃねぇよ。本当にたまたま会ってなんか大学の話になってさ。てっきり慶太もお前とS大に行くものだと思ってたから…」
「……あいつ行かないんだと」
「…みたいだな」
「担任には夏休み明けに言ったくせに俺には昨日まで言わなかったんだ」
「そうか」
「いい訳いっぱい言って。……俺もT大に行こうか、なんて言ったら焦りまくってさ…はは…」
「……」
「敦……慶太はさ…俺と別れる気なのか?」
あいつには聞けなかったことをなぜか敦に聞く。
敦は何も答えはしない。
が、かえってそれが答えになっていた。
「やっぱ……そうか」
「玲人…。いいか、俺は同情はしねぇ。正直自業自得だと思ってるよ」
「………」
「あれほど…何度も言ったろ?なのにお前は止めなかった。その報いだよ」
「……報い…か」
俺のしてきたこと。
別の女を抱きまくった。
男にも手を出した。
無理やりあいつを抱いたりもした。
記念日をすっぽかした。
それから。
あいつから笑顔を奪った。
普通に考えりゃ、別れるに決まってるよな。
どう考えたって俺が一方的に悪い。
いくら自分で慶太が好きだと言ってみたところで信じてもらえる訳もねぇし。
でも。
「なぁ、敦」
「…んだよ」
「……それでも、それでもさ」
「…」
「それでも…離したくないときはどうすりゃいいんだよ」
「玲人、お前…」
「なぁ?どうすりゃ、あいつの事離さないですむ?ずっと俺のそばにおいていられる?」
教えてくれよ。
俺にはわかんねぇ。
誰でも良いから俺に答えをくれよ。
12
お気に入りに追加
244
あなたにおすすめの小説
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
その日君は笑った
mahiro
BL
大学で知り合った友人たちが恋人のことで泣く姿を嫌でも見ていた。
それを見ながらそんな風に感情を露に出来る程人を好きなるなんて良いなと思っていたが、まさか平凡な俺が彼らと同じようになるなんて。
最初に書いた作品「泣くなといい聞かせて」の登場人物が出てきます。
※完結いたしました。
閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。
拙い文章でもお付き合いいただけたこと、誠に感謝申し上げます。
今後ともよろしくお願い致します。
紹介なんてされたくありません!
mahiro
BL
普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。
けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。
断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる