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過去~高校生編2
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しおりを挟むあの後担任の先生にはこのことを誰にも言わないでほしいと口止めした。
なんでか全然分からないって顔されたけど。
残りの時間。
卒業までの時間。
僕に残された玲人との時間はそれだけ。
それが過ぎればもう玲人の隣にいることなんて出来なくなるんだ。
モヤモヤしてなんていられない。
そんなことで無駄にはしたくなかった。
そう考え出すと自然と気持ちが穏やかになっていく。
もちろん玲人の浮気が辛くないといえば嘘になる。
でも、それを気にして悲しんで傷ついて。
それに費やす時間が僕にはもったいなかった。
玲人とただ単に楽しい安らいだ時間を過ごしたかったんだ。
自然と笑えるようになっていた。
いつもみたいな作り笑いじゃなく、ちょっとしたことでも楽しめるようにと身体が変化していく。
そんな僕を見てなんだか玲人もとても嬉しそうだった。
「玲人…おいしい?」
「すっげぇ、うまいよ」
「ほんと?結構自信作なんだよ今日のは」
「だと思った。いつもより五割り増しでうまいから」
「もう。…返して。そんなこと言う人にはあげません!」
「ちょっと、慶太。ごめん、悪かったって。いつもおいしいから。だから返してください」
「……ほんとに?」
「あぁ、ほんと」
「ほんとのほんと?」
「ほんとのほんとだ。特にこの春巻きめっちゃうまいよ」
「ヘヘっ、よかった。でもね、それ実は冷凍食品なの」
「は?自信作ってそういう意味かよ。あははっ!」
「ふふっ」
二人で笑いあう。
負の感情など一切ない穏やかな時間。
柔らかな時間。
だから正しかったんだと思う。
僕の選んだ道は正しかった。
そう自分に信じ込ませた。
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