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過去~高校生編2
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しおりを挟む寒い。凍えてしまいそうだ。
あまりの寒さにカチカチと歯が鳴る。
何も考えずにふらりと出てきてしまったために、僕の格好はこの時期では考えられないほどの薄着だ。
僕はある場所に立ち止まってそこからマンションを見上げる。
もうこの状態で三十分くらいは経っているだろうか。
真冬。
深夜一時過ぎ。
見上げるその部屋に明かりはない。
もしかしたら誰かと一緒に過ごしてるのかもしれない。
そうでなくとも、もう寝てしまっているだろう。
一度だけ。
前に一度だけ来たことがあるんだ。
あっちゃんの家。
どうしてかなんて全然分からないけど、気づいたら僕は彼のマンションの前に立っていた。
手にはあっちゃんのコートを握り締めて。
(寝てる、よね?彼女とか来てたりするかな…。)
そう考えていたら三十分も経ってしまった。
もう感覚などなくなってしまったかじかむ手を両手でこする。
ハァ、っと息をかけてみると少しだけあったかくなる。
五秒後にはまた寒さで痛むけど。
そっとエントランスに入ってみた。
呼び出し口の前でナンバーを眺める。
503号室。
押してみるけど鳴らせなくて。
そうしてるうちに表示は消えて。
また503を押して。
数回繰り返したところであまりに手が震えすぎて押してしまったんだ。
(どうしよう、押しちゃった…)
でも返答はない。
やっぱり寝てるんだ。
いや、いないかもしれない。
そう思ってくるりと出口方向へと向きを変えたときに反応した。
呼び出しが。
「………はい。どちらさん?」
明らかに寝てた声。
起こしてしまった。
返事ができなくて。
「誰?…いねぇの?はぁ…真夜中にピンポンダッシュかよ……」
あっちゃん。
慶太だよ?
来ちゃった。
でも、それが口から出ることはなかった。
僕はそのままゆっくりと出口から外へと出た。
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