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過去~高校生編2
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しおりを挟む-side 日比野敦-
今朝、登校して真っ先に目に入ったのは慶太。
ボーっとただぼんやりと定まらない感じで空中を見つめてる。
ちゃんと玲人と仲直りできたのだろうか。
まさか別れたりなどはしてないよな。
俺なりに考えて見た。
やはり自分が今回の問題の一環な気がして仕方がなかった。
玲人をあそこまで追い込んだのも。
その結果、慶太を傷つけてしまったのも。
もっとよく考えればよかったんだ。
今までのどうでもいい相手と好きな時に会って好きなときにヤッて。
それとはまったく違う関係を初めて築いた玲人の気持ちにもっと注意を払うべきだった。
あいつだってこんなの初めてで戸惑ったに違いないんだ。
俺が離れることであいつの気持ちが落ち着くなら。
それでも仕方ない。
別に友達をやめるわけではない。
今までどおり毎日とは行かなくてもたまにならいいだろうし。
自分の中で決めた。
二人と少し距離をとって見守ろうと。
どうせ授業に集中できないであろう慶太に一時限目サボろうと持ちかけるとすんなりOKする。
俺が玲人の浮気の事を知ってるということ、慶太もなんとなく気付いたらしい。
そしてどうも二人はうまく話しさえ出来てないようだ。
そこで俺は自分の決意を告げた。
あからさまに傷ついた表情をする慶太に自分の心もひどく痛む。
「ほら、たまにはさ、ちゃんと邪魔しに行くから。ね?」
「………そう」
「やっぱ慶ちんの料理も食べたいからさ。だから毎日じゃなくても時々は食べさせてよね?」
「……ん。」
俺が消えて二人の時間が増えれば何とかなると思ったんだ。
もちろん今すぐというわけには行かない。
許してやれよ、なんてことは慶太には言えないし。
玲人だって自分の中のわだかまりをすぐになくすことは無理だろう。
でも時間が解決してくれる。
二人でいる時間が増えれば必然的に話す時間も増えるし、触れ合う時間だって…
自分が選んだ道は正しいと思って疑わなかった。
結果的にもっと追い込んでいく事になるなんて本当に思わなかったんだ。
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