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過去~高校生編2
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しおりを挟む-side 水野慶太-
バタン、と玄関のドアが閉まったのを聞いてから僕は目をそっと開けた。
身体中が痛い。だるい。
指一本動かすのだって億劫だ。
でものどが渇きに耐えきれず、重い身体に鞭打ちキッチンへと向かう。
冷蔵庫から冷たい麦茶を取り出して一気に飲み干した。
あまりに急いで飲んだせいで、ケホっと少しむせる。
昨夜。
きっと今迄で一番玲人に抱かれたと思う。
でも、バラバラだった。
肌を重ねる行為はいつも僕たちを一つに溶け合わせてくれるみたいだった。
でも昨日は一瞬たりとも二人が重なることはなかった。
なのに。
夜中に目が覚めるとなぜか僕はしっかりと玲人に抱きしめられていた。
その状態に身を委ねることができず、きつく回された腕から少しだけ逃れてみる。
玲人の高めの体温から離れた事で少しだけ身体が冷える。
でも、それが今の心の温度と同じような気がして少しだけ楽になった。
それから眠りに落ち、幾時かしてまた人肌を感じる。
すぐに玲人だと分かる。
ちょっとだけ身体を動かしてみたものの離してくれる気はなさそうだった。
何でこんなに優しいのだろう。
何でそんな優しく僕に触れるの?
まだ僕のことを好きだと、そう思ってもいいの?
飲み終えた麦茶の入ったグラスをシンクへと置き部屋に戻る。
机の引き出しを開けると、そこにはキーホルダーと鍵。
これを渡す事ができる日を待ってもいいのだろうか。
捨てられたくないと自分がすがりついたのに、やはり思いは揺らいでしまう。
きっと玲人はまた浮気をする。
今別れたほうが辛くない。
でも、いつかは。
そう思わずにいられない自分がいるんだ。
僕が…僕が悪いんだよね?
だから、もっと頑張れば、きっといつか。
でもね。
何が悪いか分からないんだ。
どこを直せばいいか分からないんだよ。
玲人。
教えて?
そしたら、僕、何でもするから…
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