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過去~高校生編2
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しおりを挟む気を失った慶太の身体をタオルできれいにした後、背中から包み込むように抱きしめる。
あまりにその身体は華奢で、抱きしめる腕が余る。
ピクリとも動かず眠るあいつの首筋にゆっくりと吸い付いた。
少し強めに吸うと小さな赤い花が白いうなじに咲く。
(俺だけのもの。俺の印。)
それを見たときなぜか泣けた。
自分で浮気したくせに。
傷ついたはずの慶太は泣きもしなかったのに。
泣いたのは他の誰でもない。
俺だったんだ。
ボロボロと涙が溢れてくる。
慶太に気づかれないように嗚咽をグッと飲み込んだ。
目の前のうなじについた赤い印の上を俺の涙が伝うのが分かる。
抱きしめる腕に少しだけ力を入れ、俺もそのまま眠りについた。
絶対に離さない。
翌朝起きると少しだけ俺の腕の中から逃れて、それでもいまだ眠り続ける慶太が目に入る。
自分の腕の中に引き寄せてまた抱きしめた。
少しだけ慶太は身体を捩らせる。
でもそ俺はの腕を緩めはしなかった。
頭だけ動かし時計を見れば、もう六時半になろうとしている。
朝日が出てカーテンからは日が入り込んでいた。
ベッドの近くに散らばった自分の服に手を伸ばし身に着ける。
一度だけ慶太の柔らかな髪に手を通し、俺はあいつが起きるのを待たずに部屋を出た。
やたらと日の光がまぶしい。
あまりのまばゆさに目を細めてしまう。
自分の心はこんなにもどんよりと曇っているのに、実際の世界は澄み渡るような空。
これから俺はどこへ向かおうとしているのだろうか。
俺は慶太をどこへと連れて行くのだろうか。
あいつが一緒なら地獄でもいい。
だから、逃しはしない。
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