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過去~高校生編2
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しおりを挟むめちゃくちゃに走ったはずなのに僕の足は家を覚えていて、気づくとアパートの前にいた。
震える手で鍵を取り出し玄関のドアを開ける。
真っ暗な部屋。
明かりもつけずただふらふらと部屋の中に入りボスンとかばんを投げた。
床にへたりと座り込むと頭には先程の光景が浮かんでくる。
何が起こっていたんだろう。
玲人の部屋にいたのは僕の知らない女の人。
2人とも裸で。
抱き合ってて。
涙がこぼれる。
とても静かに。
嗚咽さえ出ずにただ涙だけ。
最近おかしかったのはこれ?
ほかに好きな人がいたからなの?
僕の事なんて…
部屋の隅っこに転がる小さな箱が目に入った。
かばんを投げたときに中から投げ出されたらしい。
それにそっと手を伸ばす。
誕生日プレゼント。
玲人に渡すはずだった。
クシャリと包装紙を剥ぎ取り箱を開けると、中にあるのは安物のキーホルダー。
そして、キーホルダーに付いた鍵。
僕の誕生日に自分の領域に入ることを許してくれた玲人。
僕も玲人に入ってきて欲しくて用意した。
玲人がくれたものほど高価なキーホルダーなんて僕には用意できなくて、でも自分なりに精一杯がんばって似たようなのを探したんだ。
いらなかった。
こんなの、いらなかった。
壁に向かって投げつける。
投げつけられた鍵は小さな音を立てて床へと落ちた。
そこで僕は不意に思い出したんだ。
あまりに幸せすぎて忘れていた。
『親にさえ愛されなかった自分が他人に愛されるわけなどない』
自分がどんな人間かということを忘れていた。
これは罰ですか?
人と関わらず自分ひとりで生きていくと言う自分自身への誓い。
それを破った罰ですか?
だったらもっと早く与えて欲しかった。
こんなに愛してしまった後ではなく、もっと早くに。
高二の初夏。
僕は恋人に裏切られました。
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