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過去~高校生編2
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しおりを挟む玲人のマンションに来てしまった。
本当に連絡もせずに。
バイトも無理を言ってお休み取ったし。
明日来るはずなんだからきっと玲人びっくりするよね?
僕は自分の手の中にある鍵を見つめる。
なんだかんだで今まで一度も使った事がない。
いつも一緒にいたから使うタイミングがなかった。
神聖な地に踏み込むようですごくすごく緊張する。
なぜかわずかに震えている手をもう片方の手で押さえて、鍵を鍵穴に差し込んだ。
カチャリ。
(開いた!)
そっとドアを開けてみる。
明かりがついてるから玲人はいるみたいだ。
それが嬉しくて靴を脱ぎ捨ててあがって行く。
玄関にある女物の靴なんて気づかずに。
(うわ…どきどきする。なんか心臓に悪いなぁ。)
リビングへ行こうと足音をたてずに廊下を歩いていると、途中にある玲人の部屋から声がした。
部屋にいるんだ、とわずかに開いた扉のノブに手をかける。
音も立てずにドアは開いた。
そこに広がる光景は。
ただただおぞましかった。
力の抜けた手から鍵がこぼれ落ち、ガチャっと音を立てた。
その音にこっちを振り向く。
玲人と、玲人の上で腰を振る女。
ココだけ時間が止まったみたいで。
瞬きをするのさえ忘れてしまう。
「慶太!」と声をかけられようやく我に返った。
「ぁ…あの…僕、ごめんなさい」
それだけ言い残し部屋を飛びだした。
何、今の?
何。何。何。
いつも僕を抱くベッドの上で、他の女が抱かれてた。
僕に口付ける唇であの女に触れていた。
僕に回す腕をあの女の腰に回していた。
何?ねぇ、何?
理解が出来ない。
息も出来ない。
とにかくこの場にいたくないということしか頭になかった。
ただひたすらここから離れたくて方向なんて考えず僕は走り続けた。
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