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過去~高校生編2
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しおりを挟む-side 桐生玲人-
駆けていく慶太を校門で見送った。
どんどん遠ざかっていく慶太を追いかけたい衝動に刈られる。
「で…どうしたわけ、最近?」
「は、何が?」
「慶ちんでも気づくくらいだぞ。俺が気づかないわけねぇだろ?」
「……別に。なんでもないっつっただろ?」
こんな事誰にも言えるわけねぇ。
言ったところで分かるわけねぇっつーの。
ひとりの人間から真剣に愛されるのが怖い。
そして、ひとりの人間を真剣に愛するのが怖い。
分からない。
こんなの自分じゃない。
傍から見れば単なる惚気にしか聞こえねぇと思う。
あいつは俺のことだけが好きで、俺もあいつのことだけが好きで。
それの何が怖いんだって、自分でもばかばかしくなる。
大丈夫。
俺は大丈夫だ。
まだ自分で何とかできる。
ただ変化に戸惑ってるだけなんだ。
ただそれだけ。
自分に言い聞かせるように何度も何度もそう心の中で繰り返した。
-side 日比野敦-
心ここに非ずと言うか、明らかに玲人の様子がおかしい。
春休みが明けるくらいからだろうか。
慶ちんもなんとなくおかしいのに気づき始めてるみたいだし。
最近の玲人の感じは中学からずっと一緒にいる俺でさえ見たことがない。
本当はあいつが話してくるのまで待とうかと思ったけど、どうにもたまらず俺から言い出した。
案の定、はぐらかされたけど。
いや、もしかしたら玲人自身がいまいち分かっていないのかもしれない。
嫌な予感がする。
何も起こらなければいいとただただ願う。
ただ、昔から俺の嫌な予感っていうのは外れた事がないんだ。
親父たちの事故の時だってそうだった。
一体何が起こるんだよ。
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