96 / 327
過去~高校生編1
89
しおりを挟む-side 桐生玲人-
慶太の誕生日の夜、俺らは初めてセックスをした。
あいつはやっぱり何にも知らなくて。
慶太の初めての扉を一つ一つ俺が開けていく。
俺が触れるたびに慶太の身体は赤く染まり、身体は快楽に叫びを上げる。
一度なんかじゃ足りない。
本当は何度も何度もあいつを抱いて、抱きつぶしてやりたかった。
でもそんなの出来やしない。
誕生日プレゼントとして家の鍵をあげると慶太は涙を流して喜んだ。
本当は、それ以外にも用意していたのに。
ペアリング。
渡せなかったんだ。
なぜかは分からないけど。
『ウソツケ。オ前ハ分カッテルダロ?』
『ソンナノ簡単サ』
『オ前ハ縛ラレルノガ怖インダ』
違う。
『違ワナイ』
うるさい!
『認メタクナインダロ?本心ダカラ』
俺は慶太を愛してるんだ。
『本当ニ?』
本…当に…俺は…慶太を…。
ひとりのヤツとこんなに長く続いたのは初めてで。
一人だけを相手にするのは初めてで…。
『本当ニ慶太ダケヲ愛シテルノカ?』
『オ前ニ一人ノ人間ヲ愛スルコトガ出来ルノカ?』
執着してるだけなのだろうか?
『初メテ男ニ手ヲ出シタンダロ?』
『珍シイダケジャナイノカ?』
分からない…。
初めはただの黒い点だったのがどんどん広がって今では染みのように半分以上に侵食している。
慶太。
俺はお前を愛してるのに。
でも…
それを認めてしまうのが怖いんだ。
俺と慶太の出会った高校一年。
そして高校二年へ。
ごめん。
俺はお前を裏切る事になる。
-高校生編1終了-
5
お気に入りに追加
246
あなたにおすすめの小説

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?


彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる